逆因果の円環 インタビューB
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被質問者: 被験者 ███████

インタビュアー A: ███████博士
インタビュアー B: ███████助研究員

秘密裏の 観察: 心理学の博士号を持つ███████博士、神経学の博士号を持つ██████████博士

はじめに:
三度目の実験の後、被験者は標準任務手順に従って実験結果について尋ねられた。
被験者には知られずに、受動的なポリグラフテストが実施された。
注記:被験者は情緒不安定かつやや誇大妄想的である。


被験者: 俺達が何を話し合っていたか覚えていることを教えてくれないか?

インタビュアー A: 何だって?

被験者: この実験は何度目だ?

インタビュアー A: 三度目だが、それが何か?

被験者: 三度目だと?

インタビュアー A: 君に言わせれば何度目だと言うんだ?

被験者: これは第十九回試験だろ。

インタビュアー A: そんな筈はない。

被験者: まだるっこしいことは抜きにしようか。

インタビュアー A: 是非そうしてくれ。

被験者: SCP-████とSCP-████の発見及び収容は行われているか?

インタビュアー A: …それらについて議論することは…

被験者: …それなら、あんたも照合できる別のネタだってあるぞ。あんたらが俺を信じてないことは分かってるが、最後に実験を行った時、俺達はあるものに関係する奇妙な現象を発見したんだ。…あるものというのは確かそう… カシミール力だったか?

(インタビュアーたちが互いに相談する。)

インタビュアー A: (インタビュアー Bに向けて) ああ、任せる。

インタビュアー B: カシミール力とはどういう意味ですか?

被験者: ああ。そのまんまの意味さ。アーティファクトはそれに作用する。

インタビュアー B: そのようなことをどうやって知り得たんです?

被験者: あんたらがそれについて話してるのを立ち聞きしてたからな。

インタビュアー B: 何時そんなことがあったというんですか?

被験者: あんたは覚えちゃいないさ。第十七回試験の後だったか。頼むから分かってくれよ。あんたらはコレが俺の記憶に影響を及ぼすと考え続けてる。俺の思い違いだってな。もしそうなら、俺はどうやってSCP-████とSCP-████について知り得たんだ?もし俺の言う現象を確認しちまったら、そん時はどう説明するつもりだ?

インタビュアー A: 君は…

被験者: どう説明するつもりだってんだ?真実を覆い隠すために理論を延長させでもするのか?分かるだろ、たった2つの可能性しかない。:俺がイカれてるか、あるいはそうじゃないかだ。

インタビュアー A: 未だ究明中だ…

被験者: 納得したら、また話そうぜ。それまで俺は用済みだ。宿舎に連行して、監禁するなり解放するなりしてくれ。


(インタビュー中断)

Dクラス職員を使用して実施された数回の実験は、アーティファクト起動後すぐに終了した。
被験者の実験的予測が確認された。

注記: その後すぐに、███████助研究員(このインタビューを補佐していた人物)
が自分自身を被験体として用い、非承認の実験を行った

その後に彼と会話した職員は確認できなかったものの
彼が財団の非機密データベースを利用しての調査に二時間従事していた際に
母親に電話をかけたことが分かっている。

だが、実際には███████助研究員が母親への通話をし損なったこと
(少なくと十数回以上、それ以上の時間を費やして通話を試みたにも関わらず)
が確認されている。
彼は母親のボイスメールメッセージを繰り返し再生した。
間もなくして、███████助研究員は自殺した。

(インタビューは50時間後に再開)


被験者: 助手はどうしたんだ?

インタビュアー: 転任したよ。

被験者: さて?

インタビュアー: さて何だ?

被験者: よく眠れてるようには見えないな、あんた。

インタビュアー: 私に信じて欲しいこととは… 一体何なんだ?

被験者: そいつぁおかしい、毎回顔合わせて喋ってるってのに。あんたが思い出すのを期待してるよ。

インタビュアー: もう一度聞く、私に信じて欲しいこととは何だ?

被験者: 12週間、俺はアーティファクトでの任務に従事してきて、[注記:実験開始からまだ一週間しか経過していない。] 財団や大統領の変更、地球の土地配置の改変、そしてあんたの変化… 髭無い方が良く見えるぜ、まあ今言ったようなことをこの目で見てきた。ついでに言えば… それらは全て過ぎ去った。

インタビュアー: 何だって…

被験者: 俺の知る世界は消え失せちまったのさ。変更に変更を重ねられて、今は19回目だ。まだ同じ言葉を話せてるだけラッキーだな。いいかよく聞け。:俺がモルモットにされ続けてるのを承知するただ一つの理由は、今後もう俺自身の歴史が存在することはないからだ。あるいは歴史の外側か。自分の妹、持ったことがない子供たち、結婚したことがない妻に見覚えなんてない。俺は過去の無い亡霊なんだ。アーティファクトを使って失うものなんて何一つ無いんだよ。

インタビュアー: 再開するまで、君をそのような事に近づけさせたりは…

被験者: どうだっていい。

インタビュアー: どうだっていいとは?

被験者: あんたは変化し続ける。何もかもがそうだ。それでも、俺は変わらないまま。俺は覚えているただ一人の人間なんだ。あんただって本当は██████████博士じゃない、少なくとも俺が知っていた人物じゃない。

(この時、インタビュアーと立会人███████の間でテレタイプを介した意見交換が密かに行われた。)


インタビュアー: カサンドラ・コンプレックス1を伴う

カプグラ症候群2かもしれない。

Observer: おそらく。

インタビュアー: 提言は?

Observer: それらは矛盾しない。
改善の兆しが見られない場合、
我々は常に█████████████████████████████を試すことができる。

インタビュアー: 彼が持つ未解明の知識は?

Observer: 多分潜在感覚3 と作話症によるものだろう。
文献上には彼のようなケースがある。

インタビュアー: それと、███████助研究員の自殺については?

Observer: フォリ・ア・ドゥ4では。


インタビュアー: …どういう意味だ?

被験者: どういう意味。どういう意味かだって?ならこの説明でどうだ。:もしあんたが████████博士を尋問すりゃあ、████████████の痕跡を見つけられる筈だ。数日中に、彼からのどデカいサプライズに直面することになるだろうさ。それを何で今の俺が知っているんだろうな?

インタビュアー: 馬鹿馬鹿しい。君が保有する未解明の知識について、君は説明することができるのか?

被験者: 俺はこの… 世界交替状態 が前回よりもゆっくり展開され、出来事が起こるのもより遅くなっていると考えてる。手に負えないほど事象が分岐しないのなら、この現象は効果的に近い将来の予知を可能にしてくれるんだ。俺がちょうど第一九回試験をやってた所から来たことを考えると、ここでは…

インタビュアー: そんな説明を信用できる訳がないだろう。単刀直入に聞こう。:君は第三者に強制されているのか?君の知っていることを明かさないようにという明確な指示の下に行動してるんじゃないのか?私が言ったように、もし…

被験者: 俺をおちょくるな。理解してくれ。アーティファクトは近い内に██████████████████████する。███████████████。███、████、█████████████████████████。およそ数週間でな。

インタビュアー: 教えてくれ、もし君がそう…

被験者: 博士、あんたを啓蒙してやるよ。:██████████、████████████。███████████████?███?████。██████。████████████。████████████████████████████████████████。 ██████████████████。████。█████████████████████████。██、████████████████████、███████████████。███。██████████████。████████████████████████。█████████、█████████、████████████。████████████。█████、████、█████████████████████████████████████████████████████████。█████████████████████████████

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(O5監督官 ███████の権限により、インタビューはこの時点で突然終了された。)


末尾陳述:
ポリグラフの結果は、応答が意識的な虚偽ではないことを示した。

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