見出しを切り取った
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ヘレンを椅子に座らせながら、ぎりぎり音が聞こえるテレビを見つめた。

「……は消え去り、巨大な穴だけが残りました。この地域で報告されているハリケーンは、実際には空気と水が押し寄せた結果で、その目的は……」

「さあさあ」
僕は別のチャンネルに切り替えながら言った。北朝鮮のことはどうでもいい。僕は大きなニュースを探していた。

「……両者のギャップはこれまでになく広がっています。国防長官は、それは私たち自身の保護のためだったと言って、秘密主義を擁護しています。大統領は否定……」

これはさっきよりマシだったけど、まだそこまでじゃない。
「チャンネルを切り替えるのが嫌いなのは分かるよヘレン。でもお願いだよ、世界が変わったんだ! ワクワクしないかい?」
僕にはなぜ彼女がワクワクしていないのかわからなかった。僕は女性を理解できないのかもしれない。

顔の前のハエを払いのけて、またチャンネルを変えた。

「……は、これらの出来事に関する知識があれば、情報を提供するよう求められています。議会の情報筋が確認したところによると、世界オカルト連合は資金源の一部として……」

僕は首を横に振った。まだそこまでじゃない。ヘレンの表情は不満げだった。
「ごめんよ。でも、君は僕にとってそれがどんなものか理解していない。君は普通だ。僕は一度も溶け込んだことがない。僕は一度も属したことがない。君には簡単でも、僕には居場所がない」
チャンネルを変えた。

「……他の誰とも同じようにお金、ロバート。私どものお客様は洗練された趣味をお持ちで、できる限り対応させていただいております。私たちが違法なことをしたことに気づくとは思いません。私は……に電話することは……」

ヘレンの頭に手を置いた。
「今日すべてが変わった。僕のような人は他にもいるんだ。想像できる? 一人じゃない。そうじゃないんだ」
僕は急に首を横に振った。
「ああ、違う、違う。そんなつもりじゃなかった。もちろん会えて嬉しいよ。でも、僕たちは知り合ってまだ数日しか経っていないし、僕はずっと僕のような人を見つけたいと思ってたんだ。想像してみて、いいかい、世界で自分だけしか見ることができない。誰も青とは何かを知らず、空と何の関係があるかは言うまでもない。君はそれがどれだけ孤独か考えられるかい?」

「……国際裁判所での裁判のための……。SCP財団はこれまでのところ……への同意を拒否……」

「ほら、僕たちはすぐに物事を進めることができる。いいのを探させてよ。誰かがその話をしてるだろう」
僕はヘレンに言った。もう一度変えてみると、今度は若い女性がスタジオでインタビューに答えていた。
「ほら見て!」

「……の検査です、一部の博士は不気味でしたから。でも、大体は悪くありませんでした。ただ、ひどく孤独でした」

彼女はブロンドで、二十代前半くらいらしかった。ヘレンほどじゃないけど、きれいな顔。

「そしてそれはすべてあなたの……才能のせいで?」
インタビュアーは訊ねた。

野暮な男。メガネ。メガネをかけた男には我慢できない。イライラする。

「その通りです」
彼女は答えた。
「彼らはそれが危険になりうると言っていました」

「実演を見られますか」
インタビュアーは訊ねた。

彼女はうなずき、写真を手渡された。肌の黒い、立派なスーツを着た別の男が写っている。彼女がそれを手に取ると、それは動き始めた。

司会者が楽屋に合図し、色の黒い男が入ってきた。彼の写真は彼の動きに同調している。少女がその写真に触れると、男は飛び上がり、少女が自分に触れているのを感じると言う。拡大すると、彼女が指を置いた場所にある彼の皮膚がへこんでいるのが見える。カメラは近づき、彼女の指がどのように写真の中に入っているかをみんなに見せた。

「あなたはいつでもこれをすることができましたか?」
インタビュアーは訊ねた。

「少なくとも、小さいころから」
彼女は言った。

僕はテレビを消した。もう十分だ。
「ああ、ヘレン」
僕は目尻に涙を浮かべて言った。
「とてもすばらしいよ。僕はもう変人じゃない。僕は属している、僕の惨めな人生で一度だけ、僕は属している」
僕は手を伸ばし、彼女の頬を優しくなでた。彼女は青ざめてたけど、その前の日に見せていたバラ色がまだうっすらと残ってた。

彼女の皮膚からハエを払い落とした。僕たちは十分長く話していたから、次に進む時間だった。死んでいる時間が長すぎると、臭いがし始めて、人は理解できなくなる。僕は彼女の腕の皮膚と肉を引き裂いて尺骨を引き抜いて、噛み始める。顎の周りの筋肉が膨れ上がり、発達して骨を砕いた。一旦終わったら、一度外を見る時間だ。

世界は新しくなり、そして一度だけ、僕はその中に居場所を感じた。

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