SCP-374-JP事案-1
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食堂に無造作に置かれた封筒。
便箋には、サイト-81██では有名な一文が添えられていた。

20█3/2/22
AM:9:00
東 宗吾殿

3時間預からせて頂きます


秘密結社キャッチ&リリース

開封した東博士はこの時が来た、と思った。
博士は封筒の出現を報告すると共に、メールを送っていた。

To:SCP-374-JP担当官
件名:実験の許可について
SCP-374-JPの対象として選ばれましたが、以前お伝えしていたように私自身で実験を行いたい。
以前の提案書のとおり、この実験はDクラスに任せられません。
もう一度提案書を添付しておきます。どうかよろしくお願いします。

To:東 宗吾博士
件名:Re:実験の許可について
提案書を承認。実験を許可します。

誘拐当日。用意された部屋の中央には東博士が立っている。
『博士、残り120秒で予定時刻です。実験器具のチェックは済んでいますね?』
「遠足に行く子供のように何度もしました」
『楽しみにしすぎた子供は忘れ物をしますよ』
監視員たちと談笑する。穏やかな雰囲気はSCP-374-JP特有のものだ。目立った害もないSCP-374-JPはサイト81██の日常となっている。
許可がたやすく降りたのも、そのおかげだ。建前と実施方法を記載すれば疑われない。博士が提出した提案書の8割はでたらめだった。
『残り5、4、3、2、1――0』
監視員によるカウントが終わりを告げる。彼らの出現は同時だった。
部屋の床が、壁が波打ち、魚達が顔を出した。彼らは一斉に博士に、虚ろな瞳を向ける。
バシャッと音を立てるように出てきたのは、魚の顔に不釣り合いな、スーツ姿の人間の体。彼らは全身が湿っていた。
「よろしくお願いします」
博士は右手を差し出す。SCP-374-JP-Bの一体が握手に応じ――。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
SCP-374-JP事案-1

日付: 20█3/2/22
20█3/2/20、東宗吾博士がSCP-374-JP-Aに対象に選ばれました。東博士の提案により、博士本人が実験に参加することになりました。博士はSCP-374-JP-Bに誘拐され、部屋でSCP-374-JP-Bとの交流実験を行う予定でした。3時間後、博士は意識を失った状態でSCP-374-JP-Bが出現しました。この際、観測されたSCP-374-JP-Bは頭部の側面がかじられた様に欠損しており、内臓が見える状態でした。全身には切り傷が確認されています。SCP-374-JP-Bは博士を床に横たえると、頭部を残して淡水に変化して消失。博士のカメラの記録を調査しましたが、部屋で目を覚ました東博士の実験放棄の宣言しか残されていませんでした。所持品の中には封筒が確認されており、以前エージェント・██が受け取ったものと同じく、淡水化はしませんでした。内容は以下の通りです。

 


ねこです


秘密結社キャッチきゃっと&リリース

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