SC-19/122-14/073-JP
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DeCIROカタログナンバー: SC-19/122-14/073-JP

ドキュメント・タイプ: ステップ・コンピレーション

受諾された日付: 02-28-2019 から 06-10-2020

作戦状態: オープン

序文:

怒下烈斎(どげれつさい)自傳より: (現代語訳)

題名: 本当にがっかりだ

枯れ尾花の方がマシだった。ただただ時間の損をした。

財団ならこんなのはオチに持ってくるのだろうが、「今の」うちの優先的な文書であるステップ・コンピレーションの場合、時系列昇順の作戦書という形式上、古文書の引用なんてのは一番上に持ってこられることになる。
(昔はそんなこと無かった気がするが……一過性のムーヴメント的なものだろうか?)

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「怒下烈斎自傳」より

さて、怒下烈斎先生は当時、江戸の町を恐怖と混乱に陥れていた「赤い殺人骸骨」について、探求心と、あの人にしては珍しく緊張感を持って調査を進めていたようだ。

ところが上記で引用した通り、その調査の詰めの所ですっかり何かに失望してしまったらしく、詳しい資料をろくに残さないまま、こっちの時代に戻ってきてしまった。

まあ当時の先生は他に赤べこロボの開発だとか、W嬢(パクラレのラレの方)への復讐なんかもあって、多忙だったのだろう。(後者は先生の自業自得だと思うが……)

しかしながら我らカオス・インサージェンシー、第3日本支部は、世界から忘れられたその存在に、金脈の匂いを嗅ぎつけた!

一連のメランコリー・コーム作戦はインサージェンシーの新たなる資産、そして我ら第3日本支部の物語が地に足を着けるその瞬間へと繋がる、大いなる飛躍である事をここに明言しよう。

以下に、デルタコマンド(筆者こと第3日本支部長)はエンジニア諸氏によって書き写されたプランのステップを記録する。

1. ステップ 19/122

作戦開始だ。櫛(Comb)の「歯」を折っていこう。

ベータクラス1名の指揮による、武装アルファクラス職員13名の部隊が作戦エリアに派遣される。現場に到着後、職員は各クリアランス毎に配布された調査手順書の通りに行動する。

第1作戦の目的が対象の撃破では無いことを、ベータはアルファへよく厳命しておくこと。

DeCIROカタログナンバー: POR-19/122-001

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付: 03-19-2019

著者: ベータエージェント/公認シャーマン・揚帆(あげほ)

注: 報告投稿システムに強制念写されたスタンプはステップ文書上では未対応のため、構文状態で表示する。


目標通り、アルファ隊員は全滅しました。:smile:

13の死亡事例は充分な情報をインサージェンシーへ提供すると共に、対象に短時間で超常能力を連続使用させ、場/物語(フィールド)に能力パターンをある程度固着させることにも成功しているはずです。後者の効果により、研究の進んでいないオブジェクトが突然新しい特殊能力に目覚めてこっちを出し抜く、良くあるアレの大幅な確率低下を期待できます:laugh:

これから更に詳しい研究が行われるでしょうが、現時点で推測される対象の主な攻撃能力は、恐らくレベル3から4の認識阻害……観測者の視界外への瞬間的な退避、およびそこからの襲撃。ざっくり言うと、ディズニーリゾートの同じキャラクターが、同じ方向を見ている客の視線上には絶対に1体しか存在しないとかの、よくあるやーつです。:popteamepic_2:

ベータ用の特殊任務である未来視された地点の詳細な特定も、勿論達成済です。座標情報は作戦後すぐに送信したので、次の指示をお待ちしております:girl_bowing:

なお、1対どうしても振り切れず、撃退してしまった対象がいたことをご報告いたします。

なんか真っ赤になっててうけた:laugh::laugh:

……寧ろ、「赤い骸骨」ってその個体しかいなかったような?? :partyparrot:

所感[以下、第3日本支部長より]: この無理して流行りに乗っかろうとしている感。

2. ステップ 19/174

第2の歯を折る。前回の作戦で判明した対象の攻撃能力に基づき、部隊を再編成する。

まず、某大学の遊びサークル幹部を洗脳した臨時アルファ職員の誘導により、目標座標の近隣で、大学生数十名のキャンプ(夜の肝試し付き)を実施させる。

インサージェンシーの武装部隊は、今回も引き続き、対象への攻撃が主目標では無い。武装部隊の第2班は、肝試しの始まる頃にキャンプ参加者の退路と外部との連絡経路を断ち、殺人の痕跡を多数の参加者に示唆するように活動し、パニックを起こさせる。そして、それとな~く対象の「騎士」グループを、その弱い人間どもがたむろする場所へと誘導させよう。あくまで武装部隊は「現代人を襲う頭の狂った旧日本軍だか何だかの兵士」の体(てい)を維持し、真の作戦目標を悟られないように注意すること。

第2班は作戦遂行のために、任意のタイミングで任意の数の大学生を殺害してもよい。ただし、第1班が目標を達成する前に全滅させてしまわないように!

第1班の任務は……これも戦闘が目的ではないが、かなり重要度が上がる。今回の部隊全体の指揮、および第1班の現場リーダーは、熟練したシニア(初老)エージェント氏にお任せしよう。

DeCIROカタログナンバー: POR-19/174-001

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付: 04-30-2019

著者: Senior(Code: 003-JP)

作戦は成功した。

「気狂い軍人」と「歩く骨」という2つの怪異に大勢のキャンプ参加者が挟み撃ちにされるという「ブック」の成立により、作戦対象は大いに油断したことが確認された。

認識阻害は、対象が注意を向ける狩りの相手に対して作用する。対象には我々とは別のエサを用意し、我ら武装職員の第2班は、そのエサを狙う「非積極的な」競争相手の捕食者であるかのように振る舞った。目の前にエサがある時、そのエサを横取りしようとはしてこないハイエナに、過剰な注意を払うライオンはそうそういないという訳である。

そうして第1班は、まず、前線の戦闘要員でない対象の個体が、木に登ってその実りを頬張ったり、小型の動物を数体がかりで、プロレスのような体術を使って狩りをする等の行動を、つぶさに観察することができた。彼らは時に道具を使い、いくらかの食べ物を、備蓄として持ち帰ろうともしていた。

真っ直ぐな背筋で行われる彼らの振る舞いは、野生の猿のそれよりも、日本に古代より伝えられている、「山の民」の姿を連想させる。様々な事情で平地の人里にはいられなくなり、山で暮らすようになった者たちの姿だ。

怒下烈斎が研究を支障なく完了させ、対象の認知度が上がってもっと頻繁に人間が襲われていたら、対象は今ごろ、登山家の模倣でもしていたのだろうか。

それとも、自然の中で生きる力を失った現代人に、模倣の価値など無いとでもいうのだろうか。

さて、キャンプ場の惨劇が最高潮に達し、対象の住処に対する警戒が最も薄れたタイミングになったことが確認されると、第1班は目標座標へと移動しつつ、そこへの車両の導線を確保した。

我々は予言された秘宝である、大量の「青みがかったゴルフボール大のクリスタルスカル」を容易に発見し、回収できた被害者の死体と共にトレーラーへ積めるだけ詰め込み、撤収した。戦闘要員の死者数は0名。

撤収中、財団の機動部隊が事態の鎮圧に向かってきたことを確認。事後処理は任せることにする。

所感: 非戦闘要員の振る舞いについて。キチン質外皮の矮小な動物だと思ったら、脳の容量からしてあり得ないくらい人間のマネが上手かった、とかいう話は、枚挙。それ自体は、特別に驚くべきことではないだろう。

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回収実例1

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回収実例2

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回収実例3

3. ステップ 19/217

第3の歯を折る。ここからは研究フェーズが中心だ。

前作戦の取得物を複数の機関に送り、多角的な側面から調査を進めていこう。本件で特に重要となる研究機関は、次の2種類。

  1. 時間異常部門。指示書RS-2/3と共に、最も多くのサンプルを提供する。

  2. 異常団体コード: "JP-Bio"への持ち込み。提案/契約書RS-0111を併せて提出。
    手隙の職員の中で、最も交渉能力の高い人員を担当に割り当てよう。

4. ステップ 19/351

第4の歯を折る。試算通り、最初に生成された時間異常部門からの成果物を利用して、更に以下の対処を進める。

  1. 入手サンプルを中心とした現行の研究結果に基づく申請書/出願書を、裏東京特許許可局へ提出。

  2. 経過時間の異なるサンプル個体を使い、比較(関係性)研究を軸にして取扱方の調査を進捗する。
    ここにおける研究は科学のためではなく、営利的活用に向けたものであることに留意しよう。のめり込みすぎは禁物だ。

DeCIROカタログナンバー: FR-19/351-001

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付: 10-15-2019

著者: ベータエージェント/拷問官・ククリナイフ

結果報告書: エンジニア様を含みますデルタコマンド各位様方のご明察通りで御座います。

可能な限り生きたままアルファ職員の皮を剥ぎ、肉を削いで行って作り上げた新鮮な人骨は、ともすれば本来の成体以上に雛どもを懐かせ、円滑な刷り込みを行う事に成功致しました。

これを以て、改善検証フェーズは次なる段階へと進めさせて頂く所存で御座います。

ですが大変畏れながら、ご指示を頂きました回転率での人骨の量産及び「操演教育」の継続は、現状における拷問チームの規模では、些か困難な部分が御座います。

お手数をおかけして大変申し訳御座いませんが、お手隙の際で構いませんので、次のご提案をご考慮賜りたく、よろしくお願い致します。

  • 人骨生産作業への、医療チームからの増援。
  • アニマトロニクスへの、培養した血液を塗布することによる再利用。
    こちらは必要な試行期間をいただけましたら、改めまして、その実証された有効性をご報告いたしましょう。

以上、何卒どうぞ宜しくお願い致します。

5. ステップ 19/421

本事業の先見性が脅かされる事態が起きつつある。
まあ、それ自体はいずれ来るべきことではあったから、そう慌てることでは無い。

ドキュメント・タイプ: 敵対機関: 財団からの情報取得

受諾された日付: 11-02-2019

報告者: 潜入ベータエージェント

傍受内容:

Anomalousアイテム説明: 人骨の姿をしたカニ。
回収日: 2019/05/12
回収場所: [編集済]自然公園
現状: サイト-8102に収容。
追記: 様々な伝説に登場する歩く骸骨は、一体どうやって歩いているのか?
……骨の中に筋肉があるのさ! ……ってか? ちょっとナンセンスすぎない?

-[編集済]研究員

所感: ……今となってはクソの役にも立たない情報だが、大事なことは、この手の最大手たる財団がオブジェクトの存在を正式に捕捉/把握した、という点だ。これがどのような意味を持つのか、最早この作戦書(ステコン)に従う構成員諸君には、詳しく語るまでもないだろう。

多くの組織が動き始める可能性が現れ始めた。これからは、油断できない状況が続いていくだろう。

ドキュメント・タイプ: 協力機関-コード: "JP-Bio"との連絡内容より抜粋

受諾された日付: 7-15-2019

報告者: 渉外部門

内容:

CI3-JPご担当者様

いつもお世話になっております。[機関/個人情報は、本文書では検閲]

お預かりしたサンプルですが、ご提案書の通り、アダムの肋骨のみを大量複製して作成した「布団」で暖めることにより、無事に孵化を確認することができました。

契約の通り、孵化したサンプルの半数と、ご提供できる研究内容をお渡しいたします。そちらのお役に立つようでしたら幸いです。

以上、よろしくお願いいたします。

所感: どーせ先方はタダの平凡な人骨で暖めても孵化することまで把握しているのだろうが、ここで重要なのは、"JP-Bio"の技術力による、信頼できる上述のサンプルを獲得できたということだ。(はした金だが、アダムを大量購入する費用も浮いた)

早速、これまでに整えた実験/利用環境にサンプルを適用しよう。並行して、先方から提供された研究内容を、我々の調査結果と照会して、此方の研究精度を確認していくのも良いだろう。

くれぐれも、我らによる研究の先進性が他所に追いつかれないように注意して、櫛の歯を折っていこう。

6. ステップ 20/019

第5の歯を折る。完成した流通予定モデルを持ち込んで、特許局に審査/査定を進めてもらおう。

DeCIROカタログナンバー: FR-20/020-001

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付: 01-17-2020

著者: Senior(Code: 003-JP)

結果報告書: デルタコマンドの指示により、現状の判明事項について簡単な中間報告を行う。

概要

生物学的には、オブジェクトは十脚目の短尾下目、つまりカニの仲間と、同じく十脚目の異尾下目、つまりヤドカリの仲間やタラバガニ等の、それぞれの特徴が多分に含まれていると分析されているが、鋏角亜門、つまりクモ等の仲間が持つ性質もいくつか確認されている。また食性面では、幼生体~成体を通じて雑食である。

オブジェクトが持つ超常能力の根源や原理に関する情報はエンジニア向けデータベースに移され、その研究は制限されている。

形態

オブジェクトは大まかに分けて、以下の段階で成長する。

オブジェクトの卵はゴルフボール程の大きさで、青みがかった半透明の、人間の髑髏に似た形状をしており、孵化までの間は、レベル2の破壊耐性能力を持つ。

孵化直後の卵殻や卵液の残滓を調査したところ、異常な量の酸化ヘモシアニンが検出された。ヘモシアニンは十脚目、即ち一般的に甲殻類と言われる生物の血液に含まれている成分であり、酸素と結びつくことでホッコクアカエビ(Pandalus eous、通称「甘エビ」)の卵を青くしている要因としても、よく知られている。

幼生

孵化から成体になるまでのオブジェクトは、おおよそ大きめのザリガニに似た外見だが、腹部後方にクモの出糸突起(糸疣とも。クモの糸が出る部分)とよく似た付属肢が存在している。これがクモ型生物の側面を持つともいわれる所以である。

この幼生体には、後述の「成長」時以外に目立った超常能力は確認されていない。幼生体は卵と共に、他の成体に保護されながら育つ。

成体

生後、早ければ2年目以降の個体が、頭蓋骨を含み、約7割以上の完成度を持つヒト(Homo sapiens)の骨、もしくはそれを内包する肉──生死は問わない──を手に入れられた(多くの場合において、他の成体から提供される)時、オブジェクトの幼生体は、それを用いて次のような形態の変化を行う。

まず、人骨の周りに余計な肉(脳、内臓)が付いていた場合、それはエサとして消費される。

続いて(幼生体の)オブジェクトは、上顎骨と下顎骨をこじ開けて頭蓋骨の中へ侵入し、頭頂骨付近の裏側へ密着して、出糸突起状の付属肢から、溶解性の液を纏った糸/または触手状の「肉枝(flesh)」と仮称されている器官を放出する。

肉枝は接触した頭蓋骨の箇所を溶解し、穴を空けて骨髄の存在する内部へと進行する。そして突き進む肉枝が接触した骨髄は、次々にオブジェクトの組織/細胞へと変化させられていく。骨髄が溶解液に溶かされ、オブジェクトの肉体に再構築されるこのプロセスには、昆虫の完全変態と類似する要素が見られる、という意見が存在するが、詳しい研究は進められていない──インサージェンシーの目的が学術的解明では無いためだ。

このように人骨を体の一部にするプロセスを、オブジェクトは頭蓋骨の後、主に脊椎骨を通して上半身(肩の鎖骨から肩甲骨やあばら~両手の末節骨まで)、それから下半身(仙骨や骨盤~両足の末節骨まで)の隅々へと進行させ、最初の進入から平均12時間程度で、人骨1人分を自由に操作できる状態へと到達する。

この人骨と融合した形態が、オブジェクトの成体である。

観測されている限り、骨髄から変換された半数以上の部位が、本来のオブジェクト(カニ的生物)の脚、その甲殻の中にある肉と同様のものに変換されている。即ち、オブジェクトに支配された人骨の中身は、ほぼ全身筋肉のような状態となっている。

成体となったオブジェクトは、脱皮の代わりに、自身が纏う人骨、即ち、カルシウム等で構成された外皮に対し、本来の自身の外皮を構成するキチン質を混合させるようなプロセスを行うようになる。

このプロセスを充分に(通常は3年程度)経た外皮/骨の硬度や耐衝撃性は、チタンのそれを軽く凌駕する。この時の外皮は、実際の科学的構成とは別に、レベル1破壊耐性の超常(呪術的)能力を帯びているものと推測されている。

また、上記の充分な期間を経た成体(後述の「騎士」)は、拡張された超常能力として、自己隠匿タイプのレベル4認識災害(いわゆる反ミームにも近い)能力を新たに獲得する。観測者は障害物を隔てていなくても、ある程度の距離(これは観測者の個人差やその時の注意力に大きく左右される)まで近づかなければ当該対象を視認することができず、接近していても、一瞬注視を失ってしまうと、対象の「気配」を一切感じられなくなる──その隙に、死角から襲われる時まで。


通常時の行動と外見

野生のオブジェクトは群れで活動している。卵や幼生は1か所の生息地に集められ、成体は(血縁上の親に限らず)それを保護、育成する。

成体になってまだ間もない個体は、生息地を防衛したり、植物や小動物といった入手しやすい食料を調達して、群れに貢献する。また、当該個体は小動物に対する狩りを、同様の個体による集団で実行する傾向にある。時にこの狩りは道具、あるいは火すらも用いた大規模なものに発展する場合がある。オブジェクトは成体になり立ての段階であっても、原始的な人間の所作を模倣することができると考えられている。

充分に成長し、先述した外皮の硬化と認識災害能力を得た成体は、生息地付近に迷い込んだ人間を狩り、群れの繁殖と強化に努める。当該個体は成長しきっていない成体と比較すると、その非常に高い身体能力を用いた、単独での戦闘を好む傾向にある。当該個体の役割はアリやハチの「兵隊」に相当する側面が見られるが、その性質上、我々の間では「騎士」という通称が用いられている。

群れにはこのような緩い、しかし確実な役割分担が存在しているが、順位制や社会性昆虫のような階級(「ボス」や「女王」のような存在)は見られない。非常に強い力を持つ「騎士」であるが、彼らが群れを支配しようとする素振りは確認されていない。その理由は分かっていない。

エビやカニに近い生き物とはいっても、オブジェクトはほぼ陸生である。本来のオブジェクトは、山奥の沼地付近を生息地としている。しかし、これまでの調査により、清浄な淡水で孵化させ、えぐ味を抜いて成長させられることが判明している。

成体のオブジェクトは、成りたての頃は白色/灰色(人骨そのままの色)、「騎士」の個体の場合は、一般的な調理されていないカニやエビと同様の、暗褐色やオレンジ色等の体色を持つ。

伝承にあるような、はっきりとした赤色のオブジェクトを見るためには、次のプロセスが必要となる。

緊急行動

成体のオブジェクトは、自身が襲撃され(攻撃を受ける側となり)、窮地に陥った時、最後の能力を発動させる。「騎士」は破壊耐性を持つとはいえレベル1クラスであるため、縛り付けられて鈍器で殴られ続ければ、内出血や脳震盪でいずれ無力化され、殺害されることもあるだろう。

成体のオブジェクトはそのような危険に晒されると、自身が持つ超常能力のリソースを、自身に対する発火能力(パイロキネシス)に用いる。

全身に高熱と、その熱による過剰な活動エネルギーを得たオブジェクトの戦闘能力は倍増し、ある時のテストでは、1個体が30人の武装した(ただし未訓練の)アルファ職員を全滅させる結果となった。

しかし、一度この形態に移行してしまうと、オブジェクトは時間経過とともに全身を焼かれ、最終的には死に至ることになる。この形態は自身の命と引き換えに群れを守る、最終手段のようなものと分析されている。この形態となったオブジェクトの外皮は、その加熱により、一般的な調理されたカニやエビと同様の、鮮やかな紅色へと変化する。

この通称「踊り焼き」と呼ばれるプロセスが、現在、最もオブジェクトのうま味を引き出す調理法として知られている。

7. ステップ 20/202

第1販売モデル……極限まで「原罪」の雑味を薄め、清潔な養殖エリアで過ごさせ、独自に開発した刷り込み手順によってカニ用高級飼料を与えて育て続けた、考え得る限りの最高品種。その裏社会における正式な特許の承認を受けて、いよいよ我らは、商業化への航路を漕ぎだすことになる。

とはいえ、当面は時間異常部門の加速器で培養した商品しか出すことはできず、費用面としては、寧ろ売れるほど赤字になってしまうだろう。

だがしかし、メランコリー・コーム(憂鬱な櫛)作戦の目的は、目先の金銭的利益では無いのだ。

この作戦の本質は、オブジェクトを商業ルートに乗せることにより、我らが注目を寄せている、日本の闇グルメ界における各種団体、即ちコード: "SB-Black"、"JP-Grenadine"、"JP-Bro"といった、異常団体とのコネクションを構築することにこそある。

今こそ我らは黄泉醜女となりて、雨後の筍を収穫する時だ。

新たなビジネスとの出会いに思いを馳せて、バイヤーさん達にアピールしていこう!

ドキュメント・タイプ: 情報取集結果: 闇豊洲でのアンケート結果より抜粋

受諾された日付: 3-29-2020

報告者: 渉外部門

内容:

☆☆☆☆★


魂を込めた寿司ネタといえばマグロが定番だったが、こいつはその常識を破るポテンシャルを持っている、かもしれねえ。
ただ、実際のところどうなるかは、難しい味だ……決して、あまりにも斬新な味って訳でも無いんだが、だからこそ、評価に困る。
まあ今後に期待して、星1つ追加だ。

☆☆★★★


人間との融合体とはいえ、やはり本質はカニであって、我々の追い求めるものとは、どうしても違ってしまいますね。
でも、雛に危害を加えた時に一番うま味が増すのは良かったです。
楽しいギミックに子ども達も大喜びでした。









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