SC-99/734-01/506
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DeCIROカタログナンバー: SC-99/734-01/506

ドキュメント・タイプ: ステップ・コンピレーション

受諾された日付: 10-22-1999 から 08-19-2001

作戦状態: オープン

序文: 世界を包む不可視の膜が破れた時、人々は自らの預かり知らぬ存在へと思いを馳せた。それは遥か昔に世を去った数々の異常者どもを呼び覚ます悪夢の衝動となった。現世へと舞い戻った悪しき亜人種は能なき財団と連合の監視を掻い潜り、何食わぬ顔で人間の日常を侵食している。

我々デルタコマンドは、パラヒューマン人権活動家を名乗る詐欺師の口車に乗せられ、崩壊した世界で偽りの秩序を築こうとしている無能な勢力に向けて警鐘を鳴らす。彼らは影に呑まれゆく光の中に立つ人間のひ弱さを忘却しつつある。亜人種に付け入る隙を与えたが最後、たちまちのうちに全ての人間は世界から追放されることになるであろう。

世界の支配権は最も美しい者に与えられるべきである。カリスト作戦の成功によって、太古の封印を破った醜悪な亜人種の一つは地表から一掃され、我々は世界を人間の手へと取り戻す偉大な一歩を踏み出したのだ。

以下に我々デルタコマンドはエンジニアによって書き写されたプランのステップを記録する。

1. ステップ 99/734

ギリシャ・アテネのセルB-04に所属するベータクラス研究員15名を、1999年から拡大し続けているSCP-4500実例の調査班に割り当てる。サイト-28に潜入中のベータクラス工作員により、財団が認知しているSCP-4500の間取り図がセルB-04へと転送される。調査班は古代ギリシャ建築による多数の収容房にかつて概念的に収められていたアノマリーの性質を物質的および哲学思考的に解明し、それらが現在どの地域へと拡散しているかを予測することになっている。

他のベータクラス工作員10名は出版社を通じてプラトン哲学と古代ギリシャ神話との非関連性を喧伝し、SCP-4500-A実例群の更なる現界の進行を抑制しなければならない。

2. ステップ 99/805

ネグロイド系の80代男性 ファイサル・“アルタイル”・バシャール氏が、1999年11月2日にエジプト・カイロのセルH-09に直結したカフェを単身で訪問する手筈になっている。セルH-09に駐在する職員は氏を丁重にもてなすこと。彼自身は超常性を持たないが、SCP-711に記録された内容を所持者である彼以外の非デルタクラス職員が閲覧することは禁じられている。適切な本人証明が終了したのち、氏はSCP-711および4名のベータクラス職員と共にイエメン・ムカッラーのセンターセルΔ-8へと護送される。本ステップにおいてバシャール氏と接触した全ての職員は記憶処理を受けること。

3. ステップ 99/823

カイロを拠点とする穏健派人権活動家のエジプト人60代男性 ファイサル・バシャール氏は、常に2名以上のアルファクラス職員によって警護される必要がある。氏に護衛の存在を悟られてはならない。このステップに割り当てられる職員に予測される損耗率は高くないが、予備人員の確保は常に行われていることが望ましい。

4. ステップ 00/581

SCP-4500-A実例群のうち現在までに再収容/粛清を免れている勢力の一部が、ペロポネソス半島・アルカディア県一帯に集結している。かつての理想郷と結びつけて語られる地に、遥か昔にイデア界へと放逐された古代ギリシャの異常民族たちが再び姿を見せるようになっている。その個体数の多さ、並びに彼女らが人間との外交関係交渉の意志を堂々と提示していることが、本来ならヒト文明の守護者たるべき世界オカルト連合と財団の足を鈍らせている。カオス・インサージェンシーはこの状況を決して容認しない。

我々デルタコマンドは、ギリシャ・トリポリのセルQ-01をカリスト作戦の本部として開放する。召集の対象となったガンマクラス・ベータクラス職員は、2000年11月30日までにセルQ-01へと集合すること。移動手段は指定しないが、セルに到着するまでは個人行動とする。

5. ステップ 00/659

ガンマクラス工作員 サイラス・アイザックスが、ギリシャ・レオニディオの集落に頻繁に出入りする1体のニュンペーの存在を報告している。当該アノマリーはドリュアス1型の亜人であり、SCP-4500-A実例群に所属する。アイザックスは集落への潜入調査を継続し、彼女が交友関係、あるいは交際関係を結ぼうとしている集落の人間のリストを作成せよ。

DeCIROカタログナンバー: FR-00/659-004

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付: 12-07-2000

著者: 諜報員 サイラス・アイザックス

結果報告書: エウリュディケーと名乗るニュンペーは、明らかに人間に対して好意を抱いている。彼女は少なくとも人前では礼節を欠くことなく、それでいて最大限の愛想を振りまいている。レオニディオの住人たちは皆、彼女を含むニュンペーの存在を好意的に解釈している…すなわち、知性を持つ非ヒト種族であるニュンペーは他の亜人と同様の深刻な危険性を孕んでいるにもかかわらず、ヒトとニュンペーは上手く付き合える、協力してより良い社会を営むことができるという幻想を信じて疑っていない。その幻想は2000年前のギリシャ人類が既に否定したというのに。

街の一角に、ティモンという男が営む骨董屋がある。エウリュディケーはしばしばそこで長い時間を過ごし、時にはティモンを連れて不明な場所へと向かうことがある。おそらく彼は人ならざる者に愛される禁忌を犯していて、そして彼女とそれが暮らす世界の秘密を最もよく知る男となっているだろう。幸い、彼は私と殆ど背丈が同じで、体格が良い…ターゲットは決まりだ。

6. ステップ 00/701

ギリシャ辺境の古集落を舞台としたカリスト作戦に供される武装は、兵器としての特徴をなるべく隠匿し、部隊人数削減のため遠隔展開を可能とし、なおかつ巨大な出力が得られるものが望ましい。デルタコマンドは、これらの条件を満たすものとしてアルカディアに係る名辞災害を起用することを提案する。すなわち、アルカディア社による異常な改変(悪魔回路の搭載)を施されたアーケードゲーム“センチピード”2の筐体3台を積載した亜空間運搬トラックを、アテネのセルB-04からトリポリのセルQ-01へと向かわせる。輸送の任はガンマクラス工作員 カシアン・ヤルゼルスキに命じる。作戦中、トラックは任意の用途に用いて構わない。

7. ステップ 00/712

ガンマクラス特別職員 ファイサル・バシャールは、カリスト作戦の要綱を作成し、デルタコマンドへ送付せよ。期日は2000年12月20日とする。

DeCIROカタログナンバー: FR-00/712-001

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付: 12-19-2000

著者: 特別職員 ファイサル・“アルタイル”・バシャール

結果報告書: カリスト作戦の要綱を添付致しました。あたかも荒唐無稽に見えるかもしれませんが、作戦の成功は私が保証致します。アルカディア・センチピードによるレオニディオ焼き討ちの主犯が我々であることすら、少なくとも5年間は明るみに出ることはないでしょう。

私は亜人の存在を心の底から憎悪しております。奴らはヒトではないにもかかわらずヒトの社会を真似て、自分たちにはヒトと同じ人権があると宣い、地球の支配者としての人類に比肩する存在であると嘯いています。我々は亜人を地上から排斥しなければなりません…亜人に肩入れする悪しき人間も。ポーランド崩壊によって揺らぎ始めている人類社会の絶対性を、今ここで立て直す必要があるのです。さもなくば、必ずや人間の放逐される日がやってきます…私はカイロの地にこの先起こるであろう数々の惨劇を再び経験することを望みません。財団も連合も、早晩、異種族の傀儡となるでしょう…ですから、我々がやるしかないのです。かつて財団であった者たちの矜持を示すのです。

8. ステップ 00/755

2000年12月25日にカリスト作戦を決行することがデルタコマンドによって許可された。カリスト作戦を主導するガンマクラス工作員は、作戦翌日の2000年12月26日中に作戦結果報告書をデルタコマンドへ送付すること。

DeCIROカタログナンバー: POR-00/755-001

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付: 12-26-2000

著者: 諜報員 サイラス・アイザックス

結果報告書: “アルタイル”の作戦は最高の出来栄えだった。レオニディオの町を踏み潰すアルカディア・センチピードの群れを抑え込んでもらう名目で、冥府の門の前に広がる“楡の森”の中でエウリュディケーたちに増援を頼んだら、奴さんは古代の怪物たちを連れてゾロゾロと森から出てきたよ。でもモンスターとはいえ所詮はケダモノ、大きなボクセルが連なった電子存在には歯が立たないんだ。

ニュンペーの隠し玉として出てきたのは戦鎧に身を包む巨大な乳白色の女神で、コイツだけは流石にセンチピードに対抗する力があった。女神の槍がムカデの胴体を一直線に刺し貫き、センチピードの頭のボクセル一つ一つが小さなキノコへと崩壊し始めたのを見て、争いの女神は自分の仕事は終わったとばかりに消えていった。そこが絶好のチャンスだった。それまで自分が命を賭して護ろうとしていた愛するティモンが実はただの作り物のガワだったと知って、その中から出てきた私の姿を見た時のエウリュディケーの間抜け面ったら酷いものだったよ。あれを司令部にお見せできないのが残念だ、そのあとすぐにヴァシリーが彼女を血煙に変えてしまったから。

戦利品として、エウリュディケーが持っていた金色に光るリンゴを頂いてきた。どうやら女神エリスの核として機能していたみたいだ。司令部のお眼鏡に叶うことを期待しているよ。

DeCIROカタログナンバー: POR-00/755-002

ドキュメント・タイプ: 作戦後結果報告書

受諾された日付: 12-26-2000

著者: 戦闘員 ヴァシリー・キリアコフ

結果報告書: アルカディア・センチピードの乗り心地は最悪だったが、作戦を締める時期を見計らう分にはやはり激しく動き回る滑りやすいボクセル面の上に立ち続けていて正解だったと考える。町の建物を一通り爆発させるか、さもなくばキノコの形をした箱で埋め立てるかするまでには少々時間を要したが、女神エリスとの一騎討ちに持ち込んでからは恙無く俺の仕事を遂行できた。高精度の擬装を披露してくれたサイラスの諜報手腕と、複雑な作戦の成否を見通した“アルタイル”の慧眼あってこその成功だ。彼らと共に仕事ができたことを光栄に思う。

異教の神を操る妖術者の狩猟はGRU-P部局時代にもビッグゲームの定番だったが、やることは決して難しくない。魔術の切れ目を狙い、ヨールカ3の多砲身を斉射するだけだ。俺はそうして同志に歯向かう人間共を数え切れないほど屠ってきた…ましてや、同志はおろか人間社会そのものに牙を剥くだろう異邦の魔族に、どうして俺が一抹の情けをかけてやる義理がある?標的の足先から頭の天辺まで、一欠片も残してやらないと決めていたし、俺は実際にそうした。

任務からの帰投中、レオニディオ唯一の生存者を俺の独断で処分したことを詫びなければならない。トラックの荷台に積み込んでいたティモンが昏睡状態にもかかわらず、サイコメトリー4で検出可能な意識レベル変容を示していた…夢界実体等による盗聴の可能性は排除したかった。サイラスに記憶処理を施す機会があるなら、その前に“楡の森”への進入方法の詳細を聞き出しておいて貰いたい。

9. ステップ 00/758

ギリシャ神話の具象化領域から回収された戦術物資は、亜空間運搬トラックを用いてムカッラーのセンターセルΔ-8へと移送される必要がある。積載量が不足した場合は、アテネのセルB-04に追加のトラックを要請せよ。

10. ステップ 01/066

センターセルΔ-8に所属するガンマクラス研究員4名を、黄金林檎の出力改良を行う研究班に割り当てる。プロジェクト期日は2001年2月14日とする。期日までに獲得された情報をデルタコマンドへ送付すること。

DeCIROカタログナンバー: FR-01/066-014

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付: 02-14-2001

著者: 神学研究員 ヤコブ・モントーク

結果報告書: エリス神(あるいは、ディスコルディア神)の有する思考は、非異常性の古代文明に属していたヒトが抱く一般的な感情の起伏によって解読可能です。これは人間の手による改変を加え支配下に置くためには有利に働きます。彼女は簡素な生贄を必要とします…異なるコミュニティ間に生じる不和と争乱の感情が彼女の原動力です。諍いの起こる場に彼女は現れ、それが収束する時に彼女もまたその場を後にします。

従って、戦略兵器としてエリス神に最大級のパフォーマンスを発揮させるためには、不死実体あるいは難死化実体の集団を黄金林檎の下に献上するのが良いでしょう。それらは可能な限り多様な種族から成り立つ集団であるべきで、世界各地から十分な献体を入手する必要があります。外敵によって生贄の集団あるいはコア自体が排除されない限り、エリスの化身となる魂の煙が消え去ることはありません。儀式現場を警護する人員さえ確保していれば、あとは化身が存分に暴れ、敵勢力を瞬く間に灰燼へと帰せしめることでしょう。

11. ステップ 01/506

センターセルΔ-8に保存されている亜人由来の戦術物資を、アメリカ合衆国・ニューヨークのセンターセルΙ-26へと輸送する。ガンマクラス工作員 カシアン・ヤルゼルスキは適切な輸送ルートを立案し、実行せよ。

DeCIROカタログナンバー: FR-01/506-001

ドキュメント・タイプ: 結果報告書

受諾された日付: 09-07-2001

著者: 軍需部門 カシアン・ヤルゼルスキ

結果報告書: 亜人どものフライトはもうすぐ終わりを迎える。地獄への片道切符を掴んでいることを奴らは知らない。コールドスリープに入った連中のうち難死化処置を受けていないものには、敵対勢力への肉壁として機能するようにヒトへの憎悪を掻き立てる擬似記憶が挿入されている。予定通りであれば決行1日目、遅くとも3日目までには必要な物資をエンパイア・ステート・ビルへと移送する。“シャルロット”が制空権を確保しているので、運搬はエアボードの遠隔操縦で十分だと踏んでいる。然るべき期間の後、かつての女神は異形と化したその姿を露わにすることだろう。

9月11日。地獄の火炎が世界に輝きを与える日。人間に後戻りの選択肢を示す最後の機会だ。我々は必ず勝利してみせる。


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