中国科学報: 2016年4月刊
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北極海内部の地質活動が激化。ロシア北部で猛烈な揺れ、周辺諸国に津波被害

2016年4月13日07:31 ソース: 中国科学報

ロシア地質探査局からの情報によると、北京時間の4月8日20時31分頃、ロシア北部リャーホフスキー諸島付近でマグニチュード8.4の地震が発生。震源の深さは2.3キロメートルだった。地震による津波はロシア北部の辺境およびアラスカ、カナダ北部のヌナブト準州を直撃し、北京時間4月12日までに3000名の民間人が犠牲となったほか、演習中のロシア海軍や700キロメートル北に位置するNATO合同軍事演習にも被害が及んだ。

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震源は80°N 147°W付近に位置する

ロシア政府の発表では、地震の影響でリャーホフスキー諸島の地質構造に著しい変化が生じたとされる。二次災害の回避と地質構造の安定化を図るため、ロシア海軍は新型の機材を投入し、リャーホフスキー諸島周辺の露頭を整備すると共に、周辺海域の埋め立てを行った。この間、一部の市民が機材の作動過程を撮影し、動画共有サイトに投稿した。ロシアは新型機材の機密保護を求めたことから、大部分の動画はすでに削除されている。

事件の突発性および偶然性から、欧米のネットユーザーには今回の事件を「秘密組織による極秘実験」等、事実無根の陰謀論を主張する者もいる。打ち消し工作は現在、ヨーロッパおよび北アメリカで展開されている。ロシア外務省のザハロワ報道官は「災害の影響範囲が広大であること、突発的に発生したことを鑑み、我が国はやむなく新型機材を救援活動に投入し、リャーホフスキー周辺の露頭を埋め立て・整備した。皆様にはデマを拡散することが無いよう望む」と発言した。

また、津波等の副次的災害は現地に滞在していたロシア海軍のほか、グリーンランド海周辺で演習を行っていたNATO各国の部隊にも甚大な被害をもたらしている。しかしながら、関係各国は被害の詳細について明らかにしていない。

コロンビア大学の地震学者、グラン・エクストローム氏は今回の地震について「北極海とその周囲の大陸棚には豊富な海洋資源が存在し、とりわけ天然ガスと石炭に恵まれている。一方で、北極海地域の地質構造は複雑であるため、採掘量はそう多くない。ロシアはこれまで、現地の地質構造に対する研究をあまりしておらず、採掘時に不適切な操作をしてしまった可能性がある。今回の甚大な被害は鉱物資源の大規模な採掘、およびメンデレーエフ海嶺付近のプレート運動が同時に作用したことで起きたとみられる。地震発生前の時点で、海嶺の構造は著しく損なわれていたのではないだろうか。以上のことから、ロシア政府には北極海沿海の地質構造に対する研究を深め、類似災害の発生を防ぐよう提案する」と述べた。

現時点まで、北極海地域で大規模な余震は発生しておらず、被災者の救援と復興に向けた作業が進行している。

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