
SCP-004-1
アイテム番号: SCP-004
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 物品SCP-004-2~SCP-004-13の取り扱いの際は、適切な手順が不可欠となります。物品類はセキュリティクリアランスレベル4の職員二名による同伴のない限りサイト外への移動は許可されません。如何なる状況下においてもSCP-004の他の構成要素をSCP-004-1に通すべきではありません。左記の行為の結果はこれまでのところ未知であり、これまでの実験の代償からさらなる研究は現実的ではありません。万が一SCP-004-1内に収容されている何らかのオブジェクトが収容違反した場合、或いは当施設が収容違反に見舞われた場合、サイト-62のサイト内弾頭の起爆に先んじて鍵の内部への運搬と当該扉の閉鎖を行って下さい。権限を得ず鍵を試験エリアから除去する事は、即時終了の理由となります。
SCP-004の基本情報へのアクセスにはレベル1セキュリティクリアランスが要求されます。SCP-004-2、SCP-004-3、SCP-004-4、SCP-004-5、SCP-004-6、SCP-004-7、SCP-004-8、SCP-004-9、SCP-004-10、SCP-004-11、SCP-004-12、SCP-004-13の使用にはレベル4セキュリティクリアランスが要求されます。
説明: SCP-004は古い木製家畜小屋の扉一基(SCP-004-1)と錆が見られる12個組の鋼鉄製の鍵(SCP-004-2~SCP-004-13)から構成されます。扉自体は[データ削除済]にある廃工場への進入口となっています。
年譜
1949/07/02: ██████████近郊の連邦所有地に侵入した青年グループ三名が扉を発見する。証言によれば、青年らは錆びた鍵の束を鉄製のロックボックスから発見し、鍵で開くドアを特定した。青年たちはその一人であった(SCP-004-CAS01)が行方不明となり保安官█████████████████への連絡後に拘引される。
1949/07/03: 地元当局がSCP-004-1から八キロメートルの地点でSCP-004-CAS01の切断された右手を発見する。SCP-004-CAS01の遺体の他の部位は工場より32kmほど離れた場所に散乱している状態で発見される。尋問下において、拘束された青年らは当局に対し、ドアを鍵の一つで開放する際SCP-004-CAS01が四散し、その肉片それぞれが消失したと供述する。この時点でSCP財団が調査の引き継ぎを行う。
1949/07/04: 財団エージェント█████が地元当局から鍵を試験開始の目的で入手する。検証により、SCP-004-2~SCP-004-13の全てが閂付き大型扉の錠前一個に適合する事が判明する。12名のDクラス職員が扉の効果の検証のために配属される。それぞれ入室に別個の鍵を使用した十二名の被験者のうち、二名のみが生還する。SCP-004-7やSCP-004-12以外の鍵を用いた扉の開放は、被験者らの身体を様々な方向に四散させる結果を招いたが、後になるまで四散した部位が発見される事は一切なかった。本報告書執筆の時点で、各被験者の部位二つのみが回収されている(SCP-004-█を使用し、その肉片がごく至近に散乱した被験者の事例を除く)。その他の者らに関しては事実上、存在自体が消滅している。
生還した被験者二名1のうち、一人(SCP-004-7を使用)のみが無傷での帰還を果たした。もう一名は緊張病に近い状態で帰還し、部屋からの退出だけで精一杯でその後に床上に崩れ落ち、自らの眼を摘出する事を回避するべく、已むを得ず拘禁する措置が取られた(付録A: SCP-004の精神衛生効果を参照)。SCP-004-7を使用した被験者は付属している建造物の規模に対してあり得ない程の大きさの大部屋に入ったと供述した。同被験者の退出後、SCP-004-1は支えにより開放状態とされ、武装したレベル3職員の班による突入が行われた。部屋の規模は計測不能であり、扉の枠と室内の個々人のみが体感可能、或いは光の反射が可能なものとなっている。
1949/07/16: 容疑者の青年らおよび保安官█████████████████が終了される。
1949/08/02: █████████████████は「不発弾により」危険エリアと宣言され、一般人の立ち入りを回避する目的で柵が設置された。SCP-004-1の向こう側の環境への曝露の安全性を鑑定するための検証実験が開始される。
1950/12/01: SCP-004への曝露の結果による時空間異常が確認される。検証実験は追加の通達が行われるまで凍結となる。
19██/07/02: 行方不明となっていたSCP-004-CAS01の遺体が予兆なくSCP-004-1の外側に出現する。死亡が数十年も前の事であるにもかかわらず、SCP-004-CAS01の遺体は如何なる方法による腐敗も見られず、接触による体温の確認が依然可能である。血液は依然凝固していない。遺体は検査のため再拘置されている。
19██/07/04: 行方不明となっていた十二(12)名の被験者らの内一名の遺体がSCP-004-CAS01のものと類似した方法で出現する。当該遺体はSCP-004-CAS02と指定されている。両記録により、SCP-004-CAS01とSCP-004-CAS02はいずれもSCP-004-██を使用したと推測される。
1999/03/21: 核兵器の大幅な増産や第三次世界大戦から██年しか経過していない中、SCP-004-1内部にサイトを建設する工事が開始されている。当該サイトには███████人日分の備蓄の貯蔵が行われる。
1999/04/21: █████████████████がSCP-004-1内部の当該サイトに全ての可動性のSCP-███の検体用の非常用備蓄や全SCPのデータストレージ用のデータベース██ペタバイト分搬入のための拡張の指令を行っている。当該施設を今後サイト-62と呼称する事とする。
2000/09/25: サイト-62の運用が行われている。研究所や収容ユニットは完備され、最も危険な部類に入る検体も収容可能である。SCPデータベースのバックアップが開始されている。
2001/01/25: 時間異常(以下の 「時空間異常」を参照)により、サイト-62に勤務する全職員は今後永久に当該サイトに駐在する事が要求される。職員の家族には、愛する家族は産業事故により死亡したとする通知が行われる事となる。職員のクローンが葬儀用の遺体として準備されている。
2003/08/14: 合衆国北西部からカナダにかけて大規模な電源喪失。多数のSCP発電機の初期不良により、サイト-62は五十三(53)分間停電状態となった。この五十三(53)分の間、サイト職員は一切の光源が存在しない状況を余儀なくされた。異常実体の視認や感知は不可能であったものの、職員らはクリーチャーや複数人の「気配を察知した」と報告した。選抜された施設職員は████████████(付録A)の閲覧が許可されており、「気配が察知された」クリーチャーは人型大であったが、それ以外の点では記述された大型で緑色のクリーチャーに類似していた、と述べた。
時空間異常
SCP-004は時空間異常を伝播させている模様です。当施設を退去する職員は時間感覚の喪失を訴えています。当該サイトに数週間滞在していた職員らは、数日間しか施設に滞在していないと主張しており、満了となった勤務報告や備蓄の消費が左記の主張を裏付けています。他の時間異常はSCP-004-2~SCP-004-13、とりわけSCP-004-██の使用から丁度██年後のSCP-004-CAS01やSCP-004-CAS02の再出現に関するものです。████████████████████がこうした時間異常のあらゆる面に関しての調査のために配属されています。空間異常にはSCP-004-7により開放されるエリアの不可能なほど巨大な次元の件が含まれます。これと類似して、2003年の停電インシデントにより、サイト-62が占める同空間内に別の存在平面が存在する事が推測されています。
補注
SCP-004の検証試験により、十個の鍵でSCP-004-1を開放した際の次元は、物理法則や位相幾何学トポロジー的法則が我々の基底次元とは著しく異なるという事が明らかとなっています。こうした敵対的な条件に遭遇した被験者らは四散し、遺体の部位は様々な場所に配置され、そうした場所のうち地球上である事が確認されたのはわずか三例に過ぎません。そのうち二地点に配置された物質は即座に出現し、第三の地点に配置された物質は丁度██年後の未来に出現します。それ以外の七つの地点に関しては現在も不明です。
現在の検証試験は二つの研究手法に焦点を当てたものとなっています。一つはSCP-004の敵対的なトポロジーを生き抜く手段の模索です。もう一つ[データ削除済]から、SCP-004-2~SCP-004-13がSCP-004-1とは別の扉を開く可能性があると推測される事です。
付録A: SCP-004-12の精神衛生効果
SCP-004-12を使用するDクラス職員は必ず緊張病状態となって帰還し、発話不能となります。自身の両目を掻き出そうと試みるだけの余力は残されている模様である事例も存在します。被験者16名のうち、4名のみが存命です。1名のみ長期にわたる精神療法の後に発話能力を回復しています。当該被験者2は精神科医に対し、自身が大柄な緑色のクリーチャーを目撃し、その余りの大きさにより身体の大部分は視界に収まらないほどの広さであったと伝える事に成功しました。当該被験者は生得的な恐怖、突発的な「まるで[自身の]根源的な恐怖に深く根差しているかのような」認識、「不可解」な記憶の強制的な刷り込みを訴えました。被験者は急性の前行性健忘ならびに逆行性健忘を呈しています。
付録B: 追加情報
アイテム番号: SCP-004-14
発見日時: 1950/09/02
オブジェクトの来歴: オブジェクトは工場エリアの他の場所、以前は発見されていなかった経営者の執務室から発見されました。
説明: オブジェクトの外見は大型のニス塗りされていない木箱に見えます。箱は「安全な」鍵であるSCP-004-7と同時に、五つの「安全ではない」鍵による開錠の可能性が存在します(文書SCP-004-1を参照)。
SCP-004-14をSCP-004-7で開錠する際、箱は自動的に蝶番で開きます。空間内部の体積は外形寸法が示唆するものの丁度五倍となっています。蓋が開いたままとなっている間に内部に入れられた物品は、箱の重量やその他の特徴に影響を及ぼす事はありません。しかし蓋が閉められ施錠された場合、入れられた物品は全て消失し回収不能となります。箱内に閉じ込められた職員も回収不能となりますが、この方法での職員の喪失は[データ削除済]が経験する夢に著しく影響を及ぼす模様です。