
SCP-010-FR収容前の ███████駅B区画。
アイテム番号: SCP-010-FR
脅威レベル: 橙 ●
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-010-FRのあるB区域はそれ自体がサイト-He-010に組み込まれ、既存の路線から壁で路線や換気の面でも隔離されます。かつての地下鉄路線区域については、カバーストーリー010-4B(構内において安全性を脅かすほどの腐食が発生)を適用します。
サイト-He-010の入り口は常時施錠され、さらに少なくとも2名の私服警備員によって警備されます。さらに収容室010(B区域)へは専用の階段を経由して移動します。セキュリティゲートは1人以上のセキュリティスタッフによって監視されます。SCP-010-FR内を調査したい職員は上級職員からの書面による許可、またはセキュリティクリアランス4が必要です。重機を必要としない実験は思わぬ結果の発生を防ぐためにサイト内にある実験室(B区域の旧路線)で行うことができます。
インシデント010-22以降、Dクラス職員と遠隔制御ロボットのみがSCP-010-FRから半径10m以内に入ることができます。
収容室は月に1回、自動システムを使用して清掃を行ってください。
週に1回、死亡してから5日未満の死体1体を収容室に投入します。現在までSCP-010-FR-1とSCP-010-FR-2への使用可能な代用食は見つかっていません。
説明: SCP-010-FRは一部が壁に埋め込まれている直径5mの電気ケーブル、ワイヤー、プラスチック帯で構成された物体です。この構造は地下鉄███████線、██████駅の北東にあるB区域の床から天井の中間にケーブルによって支えられた「巣」を形成しています。B区域の異常の原因と断定された██/██/██に起きたインシデント010-22までは、この巣がSCP-010-FR-1と指定されていました。

SCP-010-FRの一部分。
不活性状態のSCP-010-FRは「接続」できないものがケーブルに近づくと、液体のように壁に「収縮」して受動的に防御を行います。この時の壁の状態は記録されていません。1分から6分で元の形態に戻ります。これによりSCP-010-FRの移動、壁から離す試みは失敗しました。
まれにSCP-010-FRは活性状態になります。状態変化のタイミングの検出は不可能です。この状態のSCP-010-FRは周囲10m以内にいるすべての近付いてきた人間(以下対象)の目に向けて高速で平滑な金属片を投射して脳に「接続」します(現在までこの過程を反転させる手段は見つかっていません)。2分後に対象の肩甲骨を通って傘の骨に似た6本の細い金属棒が2列ずつ平行に生えてきます。この過程が終わると対象はSCP-010-FRの周囲200mから離れることを拒むようになります。
現在、SCP-010-FR-1とSCP-010-FR-2と指定された2名の被験者がSCP-010-FRに「縛られ」ています。
SCP-010-FR-1はSCP-010-FRに接続されている身長1.75m、体重約70kg1 の30歳から35歳とみられる、体の一部が金属に置き換えられている男性です。
SCP-010-FR-2は29歳の男性で、インシデント010-22でSCP-010-FRと接続したエリック・ムール博士です。現在、対象の頭蓋骨(前頭部)の21%が金属チップ(6平方cmから20平方cm)で構成されており、目が存在しません。
SCP-010-FR-1とSCP-010-FR-2はSCP-010-FRの周囲200m以内で別の構成物を未知の手段を使用して自身の身体に接続します。彼らの動きは非常に不器用ですが、多くの機能と構造物を利用します。これらの機能は財団の収容前からSCP-010-FR-1の「狩猟」の範囲が限られていた理由につながります。SCP-010-FR-1は周囲を調査するために金属「言語」を使用して範囲内の人間を把握します。「巣」に「言語」が伝わると、範囲内の生存、または死亡している人間は脱出を阻害されてSCP-010-FR内に捕獲されます。捉えられた人間はSCP-010-FR-1とSCP-010-FR-2によって消費され、場合によってはSCP-010-FR内の物体を利用して改造されます。生きている生物が標的だった場合、多くはこの改造中に死亡します。この行為がSCP-010-FR-1およびSCP-010-FR-2にとって自身の複製を作るためなのか、または相手への同情なのかについては不明です。
「狩猟」を行っていないときは、SCP-010-FR-1とSCP-010-FR-2は巣であるSCP-010-FR内で大半を過ごします。狩猟の標的が200mの範囲外にいる場合は構成物の分離のためSCP-010-FR-1とSCP-010-FR-2は「巣」へ戻ります。「巣」の遠隔操作はSCP-010-FR-1かSCP-010-FR-2のどちらかが「接続」を中断しないと続行できません。
インシデント010-22 ██/██/██
09:43 ムール博士と███████博士がB区域にあるSCP-010-FR収容室内に入り構造解析装置を配置する。この時、「巣」は後退を行う。
09:44 SCP-010-FR-1(当時はSCP-010-FR)が静かに近づき、部屋の北側にある「巣」の近くに座る。
09:45 ███████博士が各種装置をB区域の床に配置、「巣」は撤回し始める。ムール博士は「巣」の挙動をノートに記録している。
09:48 突然「巣」が形状を変え(監視カメラには材料を用いて大まかな円状になっているのが映る)ムール博士の目に2つの金属片を投射する。███████博士はセキュリティスタッフを呼び出す。SCP-010-FR-1は静止している。
09:49 セキュリティスタッフ██████ ████が███████博士を収容室から避難させる。██████ ████はムール博士を収容室の外に出そうとするが、彼は「巣」の一部であるケーブルをつかんで抵抗する。
09:50 金属棒がムール博士の背中に刺さる。セキュリティスタッフ5名が救出のために収容室に入る。「巣」はムール博士の右腕をつかんで収容室の北の壁に後退すると彼を閉じ込める。
09:55 「巣」は円形になる。セキュリティスタッフ6名はムール博士を残して収容室から避難する。収容室が「巣」に覆われていく。
13:11 「巣」は元の形状に戻る。カメラはムール博士の頭蓋骨の一部がSCP-010-FR-1のように金属に置き換えられているのを映している。この件を受けてオブジェクトクラスの「Euclid」への変更と収容手順が更新が行われた。
補遺010-FR-b : SCP-010-FR-1とのコミュニケーション試験
SCP-010-FR-1と会話する決定的な試みは、対象が盲目であることと頭蓋の85%が改造されていることで聴覚障害を起こしており、言葉を明確に理解できないためコミュニケーションが困難であることからなされていません。一方でSCP-010-FR-1は筆記用具を与えられるとそれを使用してシンボルを描画します。それらは図面に変化はありますが、多少は非常口のピクトグラムに類似しています3

SCP-010-FRが描いたピクトグラム。
補遺010-FR-c : SCP-010-FR-2とのコミュニケーション試験
インシデント010-22の2日後、マイクを利用してSCP-010-FR-2(元ムール博士)との通信が行われました。
███████博士 : SCP-010-FR-2、聞こえていますか?
(10秒間沈黙)
███████博士 : SCP-010-FR-2、こちらの声が分かりますか?
(12秒間沈黙)
███████博士 : エリック・ムール博士、こちらの声が分かりますか?
(7秒間沈黙)
SCP-010-FR-2 : ああ。
███████博士 : あなたに何が起きたのかを教えてください。
(4秒間沈黙)
SCP-010-FR-2 : 存在している。
███████博士 : なんです?
SCP-010-FR-2 : 存在している。
███████博士 : この2日間、部屋で何が起きたのかを教えてください。
SCP-010-FR-2 : 来た。
███████博士 : (一瞬ためらう) 何が来たのですか?
SCP-010-FR-2 : 機械。
███████博士 : どのような機械ですか?説明してください。
SCP-010-FR-2 : 機械。
███████博士 : 「巣」のことですか?
SCP-010-FR-2 : 違う。
███████博士 : では何のことですか?
(15秒間沈黙)
███████博士 : 今はどんな気分ですか?
SCP-010-FR-2 : 彼女のために存在している。
███████博士 : 誰のためにですか?「機械」ですか?
(8秒間沈黙)
SCP-010-FR-2 : 母のために存在している。母は壁にいる。
███████博士 : その母のために外で何をしているのですか。
SCP-010-FR-2 : 歯、手、足として存在している。
███████博士 : ではSCP-010-FR-1について教えてください。
SCP-010-FR-2 : 歯、手、足として存在している。
███████博士 : なら「母」とは何なのですか?
(20秒間沈黙)
███████博士 : どうしました?
(20秒間沈黙)
███████博士 : どうなっているのか分かっているのですか?
(8秒間沈黙)
SCP-010-FR-2 : 来たから、存在している。
(通信終了)