アイテム番号: SCP-023-KO
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-023-KOは標準Safeオブジェクト収容ロッカーに保管されています。実験時を除いてSCP-023-KOは常に収容ロッカーに保管されている必要があり、実験を行うにはレベル3以上の職員の許可を得なければなりません。実験時には、直近の2日間で財団の建物外に外出したことがない人物を用いる必要があり、4倍速以上の速度を使用する実験は一般的には推奨されていません。レベル2以上の全ての財団職員はSCP-023-KOにアクセスすることができますが、オブジェクトを直接触ったり使用することは許可時以外には制限されます。
説明: SCP-023-KOは、伸縮性の高い紫色のゴム製バンドと金属製の時計部を有するChaxigoブランドの腕時計です。リングをかける7つの穴のうち下部の3つが塞がれていることと、時計部か完全に左右反転していることを除けば、一般的な腕時計と同じような見た目をしています。左右反転しているために、時計の針は全て反時計回りに動きます。時計部の塗装は若干剥がれており、ガラスには少しの損傷があります。Chaxigoにおいては、同じデザインの時計を作製したことはあるものの、このように反転している形態の時計は作製してはいなかったといいます。SCP-023-KOがいつ作製されたかを確認するための実験は全て失敗に終わりました。
SCP-023-KOは人間が手首に着けた際に「活性化」します。SCP-023-KOを、人間が手首にオブジェクトの針の動きが逆になるように、つまり時計回りになるように装着した場合、その人物はそれまで生きてきた中での行動をまるで「巻き戻し」をするように実行します。装着した対象は無生物を通過したり、空中に浮いたりすることはありますが、生命体は通過しません。(実験記録SCP-023-KO-Aを参照)オブジェクトの伸縮性により掛け金をどこにでも挿入でき、誰でも装着することが可能ですが、掛け金をどの穴に固定させるかによって巻き戻しの進行速度が異なり、上からそれぞれ2倍速、4倍速、8倍速、16倍速であることが確認されました。塞がれている5~7番目の穴も同じパターンで、それぞれ32、64、128倍速であると推測されますが、穴を開けての実験は余りにも速い動作により人命被害がもたらされ、収容が困難になることが懸念されたために却下されました。
SCP-023-KOを装着した対象は、オブジェクトを装着するまでの記憶を持ちますが、装着した時に取った行動は覚えていません。また、装着した対象は時間に比例して若化しており、外傷を負った事件があった場合は外傷も時間に比例して元に戻ります。(実験記録SCP-023-KO-B参照)装着中にはSCP-023-KOも時間に比例して損傷していた部分が元に戻っており、これは完全に壊れて時計の針が動かない時にも発生しました。(実験記録SCP-023-KO-C参照)装着している対象は、装着中は意識を持たないため無理に時計を取り外す必要があり、取り外すと元に戻ります。
SCP-023-KOは200█/██/█に「全ての動きを逆に行う男」の噂として財団に報告されました。調査の結果、その男は█████の都心から遠く離れた小さな家に住んでいた████████氏であることが明らかになり、財団が彼の家に侵入して彼を気絶させ、収容するために収容エリアに護送している最中に偶然SCP-023-KOが外れて正体が明らかとなりました。████████氏は199█/█/██の終わりに家に向かっていた最中にSCP-023-KOを拾って身に付けたと証言しました。確認の結果、オブジェクトの装着以来、意識を失ったままこれまでに行ってきたことを逆にしてきたことが判明しました。████████氏は、自分の畑で農作業をし、山で狩りをすることで自給自足をして生きてきていたので、時間を逆にしながらも人と出会うことが少なく、おかげで市民の注目を引き付けていないことが分かっています。████████氏は19██年生まれでSCP-023-KO装着時には7█歳、確保当時は9█歳でしたが、身体検査の結果、身体年齢は3█歳となっていました。
████████氏は生存している血縁関係の人物がいなかったため、クラスB記憶処理を施して釈放しました。
補遺1: 実験記録SCP-023-KO
実験SCP-023-KO-A
対象: D-71182
実験方法: D-71182にSCP-023-KOを身に付けるように指示する。
結果: 対象はSCP-023-KOの掛け金を3番目の穴に挿入し、すぐに全ての行動を8倍速で巻き戻し始め、実験室のドアをそのまま通過してDクラス職員収容所へ向かった。対象はSCP-████の効果で廊下に生じた深さ2mの穴を無視して空中を歩いて移動しており、対象の動きを防ぐために急いで設置されたクッションも突き抜けて通過していった。対象が高速で動くことによって廊下を歩いていた███博士とD-47625、█████研究員が吹き飛ばされた。約█人の財団職員が対象の動きを封じてSCP-023-KOの取り外しに成功した。対象は、突然の状況の変化に困惑している様子だった。対象に吹き飛ばされたことで███博士は足首を挫き、D-47625は左脚を骨折して全身打撲を負い、█████研究員は約1時間ほど意識を失った。
分析: オブジェクトの装着中には対象は意識が無いことが確認され、無生物は無視して通過し、足の置き場が無い場合でもそのまま歩行できることが確認された。また、急速に動くので収容違反が発生した場合、人命被害が発生する可能性があることが証明された。収容違反が発生した場合に一般人がオブジェクトを装着して高速で動く可能性を考慮すると、確保は困難を極めると推測される。
実験SCP-023-KO-B
対象: D-47625
実験方法: 実験SCP-023-KO-Aの終了から5分後にD-47625にSCP-023-KOを装着させ、掛け金を最初の穴に挿入する。
結果: 対象は、全ての行動を2倍速で巻き戻し始め実験室を出ていった。対象は左脚を全く動かさず、まるで周辺に手助けをしてくれている人物がいるかのようにどこかに腕をかけているのと同じ姿勢で歩いていき、これは実験SCP-023-KO-A以降に財団職員に支えられている時と同じ姿勢であった。対象は実験SCP-023-KO-Aの際に吹き飛ばされて倒れ伏した場所に同じように倒れ伏せ、すぐ巻き戻るように立ち上がって実験当時そうであったように正常な姿勢で後ずさりを始めた。SCP-023-KOはその時点で対象の手首から取り外され、取り外した後に身体検査を行った結果、実験SCP-023-KO-Aが行われる前の健康な体の状態に戻っていた。アザや骨折の痕は見られなかった。
分析: 対象がSCP-023-KOを身に付けて以前の行動を巻き戻すように実行すると、行動の結果として起こった体の変化が巻き戻され元に戻るということが確認された。
実験SCP-023-KO-C
対象: D-66936
実験方法: 実験の10分前に█████研究員の不注意でガラスが壊れ、短針が完全に折れて動作を停止したSCP-023-KOを、約30分間実験室で座っていたD-66936の手首に、1番目の穴に掛け金をかけて装着させる。
結果: 実験開始から5分後にSCP-023-KOが自身を修復している様子が確認された。SCP-023-KOを取り外して確認した結果、オブジェクトのガラスは元から存在していたものを除いて損傷がなくなっており、短針も正常に動作していた。
分析: SCP-023-KOもまた、オブジェクト自身の効果に影響を受けることが確認された。
コメント: █████研究員は、不注意によりSCP-023-KOに大きな損傷を与えたことにより懲戒処分が下されていたが、これはSCP-023-KOの異常性を追加で把握するきっかけになったために懲戒処分は取り消された。
補遺2: SCP-023-KO管理担当者M.K博士のメモ
私たちは、確保当時からSCP-023-KOのガラスに若干の損傷があったことに注目しなければならない。製作時期を測定する実験は失敗したが、その損傷が存在するおかげでSCP-023-KOが存在する期間をおよそでも推測することができる。200█/██/█のオブジェクトの回収時に████████氏は199█/█/██にオブジェクトを身に付けたと証言したが、これは約10年の期間████████氏がオブジェクトの異常性に曝露していたことを意味する。また、これを身に付けて、当時7█歳であった████████氏が10年の間に3█歳の身体年齢にまで若返ったことにより████████氏は2倍速で巻き戻しが行われていたことが判明している。SCP-023-KOが自らの巻き戻しの異常性に効果を受けることから推測すると、少なくともSCP-023-KOの損傷はいくら早くても196█年代には起きていたと考えられる。これは作製されるとすぐに壊れて、誰も触れることなく着用もされないまま、オブジェクトが道端に放置されていたと仮定したときの話である。ところが、先の影響を一番最初に受けたのが████████氏であったと断言することはできず、これはSCP-023-KOが想像以上に長い期間存在していた可能性があるという意味になる。 - M.K博士