SCP-028-JP
評価: +70+x

アイテム番号: SCP-028-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-028-JPはサイト-8181の物品保管庫-██に設置された木製キャビネットに収容されています。キャビネットの開閉には、セキュリティクリアランス1以上の職員による許可と、精神鑑定による正常な意識レベルであることの証明が必要です。万が一意図せずSCP-028-JPに乗り込んでしまった職員がいる場合、乗車から約40分経過後にSCP-028-JPの外から催眠処理を行い、下車するよう促して下さい。

説明: SCP-028-JPは縦方向に潰されたコンパクトカーです。幅は2.7cmと非常に薄く、ほぼ平面に近い形状をしています。こうした形状にもかかわらず、SCP-028-JPは支えなしでも常に直立状態を保ちます。平面の前方はトヨタ・iQのフロント部、後方はマツダ・デミオのリア部に類似した形状をしており、このことからSCP-028-JPは2台の潰れたコンパクトカーが接続されているものと推測されていますが、現在のところ分離には成功していません。前方、後方いずれもナンバープレートは取り外されており、所有者の特定には至っていません。

SCP-028-JPは平面に近い形状をしていますが、飲酒や催眠、薬物投与などにより意識レベルが低下している者がSCP-028-JPを見ると、潰れていない乗車可能な一台の白い4人乗りコンパクトカーであると誤認します。このコンパクトカーは前述の二車種とは異なる形状をしており、未知の車種であることが判明しています。

SCP-028-JPを誤認した者はSCP-028-JPに乗車することが可能です。この時、外部からは対象の人物がSCP-028-JPの中に吸い込まれるようにして消失したように見えます。SCP-028-JPに乗車した人間は、運転知識、免許の有無に関わらず運転動作を行おうとします。

SCP-028-JPの誤認者が複数いる場合、その中の一人が運転者を務め、残りの者は助手席、あるいは後部座席に乗車します。これらの役割分担は言葉を交さずに行われ、同じ人物の組み合わせであれば必ず同じ役割を果たします。以上のことから、SCP-028-JPは誤認者に対し何らかの精神的な影響を及ぼし、乗車、運転を行うよう指示を与えているものと推定されます。SCP-028-JPから受けたと思われる精神的な影響は、意識レベルの回復と共に解除されます。しかし、SCP-028-JP乗車中は常に意識レベルが低下している必要があり、乗車中に意識レベルが回復した場合、乗務員は外圧により幅2.7cmに圧縮された形でSCP-028-JPから放り出されます。これにより運転席が空いた場合、運転席には即座に助手席の人間が座ります。助手席が空いた場合は後部座席の人間が座ります。

SCP-028-JPへの乗車時の車内の様子は乗務員に無線の音声通信機、映像通信機を取り付けることで確認することが出来ます。運転手がSCP-028-JP内部で発車動作を行うと、車内からは車が移動しているような風景が見えますが、SCP-028-JP自体が移動することはありません。

SCP-028-JPの発車後、車内では紺色のコンパクトカー(こちらも車種不明。以下、SCP-028-JP-1)との追突事故が発生します。SCP-028-JPの外観が2台のコンパクトカーで構成されていることから、この現象はSCP-028-JPの形成と関わっているのではないかと思われますが、現在のところ関連性は不明です。

SCP-028-JP発車後の車内で発生する現象は以下のように変遷します。

発車後の時間 車内で発生する現象
0~25分 車内からは道路を走行しているように見えます。車窓の風景は常に夜中で、左手がガードレールにより仕切られた崖、右手には森が広がっています。約100m間隔で電灯が設置されており、対向車はこれまでの実験では一度も確認できていません。車速は時速60km前後を保ち、外部からの催眠指示によるブレーキ、アクセル等の操作は効きません。運転手による発車動作以後、SCP-028-JPの誤認現象は一時的に発生しなくなります。
26~33分 車内後方よりSCP-028-JP-1が接近してきます。SCP-028-JP-1の車速は相対的な位置関係から時速約110km程度と推測されます。SCP-028-JP-1には運転手とみられる人物が一人だけ乗車しています。
34~35分 前方に信号が出現します。信号は常に赤信号を示しており、運転手は信号に従い停車動作を行います。
36分 SCP-028-JP-1がSCP-028-JP後方部に追突します。SCP-028-JP-1がブレーキをかけた様子はなく、ほぼ接近時同様の速度で追突してきます。車内に発生する振動は軽度である一方、追突してきたSCP-028-JP-1は大破しており、SCP-028-JP-1の運転席に座る人物はハンドルから出てきたエアバッグに顔を埋めた状態で動きません。
37~59分 SCP-028-JP-1の運転手と名乗る声から救援要請が届きます。この間、SCP-028-JP-1の運転手とみられる人物は運転席から微動だにせず、声だけが車内に響きます。救援要請の声は何度も繰り返し発せられ、徐々に大きく、深刻な声に変化していきます。音量と声の深刻度は43分にピークを迎え、その後59分までの間は徐々に小さく、か細い声に変化していきます。
1時間~ 突如として車内前方、SCP-028-JP-1後方よりそれぞれ2本の強い光が差し込み、強い衝撃とともにそれまでの乗務員は消失します。乗務員に取り付けた音声記録装置や映像記録装置も同時に消失し、無線で通信を行っていた場合は通信が途絶えます。その後、SCP-028-JPの誤認現象が再開します。

35分の停車動作以後は乗務員をSCP-028-JPから下車させることが可能です。下車させる方法は外部からの催眠による指示がありますが、乗務員が自発的に下車する場合があります。これは37分以後のSCP-028-JP-1の救援要請に従った結果であると推測されています。

補遺: ████年██月██日、秋田県██市のスクラップ工場にて突如として若い女性が現れたことで、SCP-028-JPは発見されました。当初は女性をSCP-028-JPとして調査を進めていましたが、インタビューの結果スクラップだと思われていた鉄塊をSCP-028-JPとして認定、収容しました。女性とスクラップ工場の関係者にはAクラス記憶処理を施しました。

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