SCP-029-VN
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アイテム番号: SCP-029-VN

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-029-VNに割り当てられたすべての収容リソースは、将来の収容試行の円滑化を意図し、可能な限り長期にわたってSCP-029-VNの研究および研究成果の保存を継続することに充てられます。

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既知の5本のSCP-029-VN経路の図解

説明: SCP-029-VNは、天の川銀河内の生命を維持しうる可能性を有する恒星系を結ぶ仮説上の経路群です。該当する経路群は銀河中心へ向かって緩やかに進むピッチ約12°の対数螺旋として表現されます。財団の研究者の計算によれば、SCP-029-VNに該当する経路は天の川銀河内に少なくとも5本存在します。恒星密度の影響により既知のSCP-029-VN経路はいずれも天の川銀河の渦状腕上に位置しており、それぞれ位置する渦状腕に対応した命名がなされています。

  • SCP-029-VN-いて-りゅうこつ
  • SCP-029-VN-じょうぎ
  • SCP-029-VN-ペルセウス
  • SCP-029-VN-たて-ケンタウルス
  • SCP-029-VN-オリオン

SCP-029-VNの存在という概念は、タイプI1以下の文明が居住可能な惑星のうち地球から最も近距離にあるものを発見する試みに立脚しています — あらゆる利用可能な捜索手法は、SCP-029-VN上のいずれかの恒星系を指し示します。各SCP-029-VN恒星系に共通の特徴として、類似した性質を有する天文学的電波信号が挙げられます。これらの信号により、天体物理学の基礎的な知識を有する文明であれば容易にSCP-029-VNを発見し、そこに到達することが可能です。超長基線電波干渉法(Very Long Baseline Interferometry, VLBI)を用いることで、財団の研究者は本異常が発する信号の復号に成功しています。しかしながら、復号された情報の内容は科学的価値よりも文化的価値の高いものでした。

太陽系はSCP-029-VN-オリオン経路上に位置することが確認されており、実際にSCP-029-VNに属する恒星系にみられる全ての特徴を備えています。大気組成、光合成の痕跡、大気汚染の兆候に対する観測において、SCP-029-VN-オリオンの観測可能な範囲内に知的生命体が存在する惑星は、地球を除き、発見されていません。このことから、各SCP-029-VN経路が一度に有することのできる文明は1つのみであると考えられています。

SCP-029-VN-Ωは天の川銀河の中心にあるいて座A*ブラックホール(Sgr A*)のシュバルツシルト半径外部に位置する特殊な空間領域です。SCP-029-VN-Ωは全てのSCP-029-VN経路の終着点であるとされており、その内部には地球を除く多種多様な文明を起源とする総数不明の星間航行船が存在しています。加えて、SCP-029-VN-ΩはSCP-029-VNと同様の信号を発しています。他のSCP-029-VNを起源とする信号と異なり、SCP-029-VN-Ωの信号が内包する情報は本宇宙およびSCP-029-VNがどのように運行しているかに関する詳細な知識です。ある文明の科学の進歩が一定の水準に達すると、その文明はSCP-029-VN-Ωの信号によってSCP-029-VN経路へと誘導されます。

SCP-029-VN-Ωは文明の発展を促進し、その恒星系の主星の崩壊を加速する2性質を有します。このプロセスを通じ、SCP-029-VN-Ωは対象の文明を間接的にSCP-029-VN経路の次の地点へと導きます。これは非常に長いプロセスであり、最大で数十億年に及ぶと推定されます。恒星系が生命を維持可能な期間は、文明がSCP-029-VN経路の終点に接近するにつれて短縮されていきます。

補遺01: 発見

1933年10月、物理学者・無線技術者のカール・ジャンスキーは“Electrical disturbances apparently of extraterrestrial origin(地球外に起源を有すると思われる電気的擾乱)”と題した論文を発表し、その中でいて座の方向から発せられる未知の電波を検出したことを報告しました。7年後の1940年4月、同様の手法により財団は火星に起源を有する類似の信号の検出・復号に成功しました。先述の信号と研究の過程で検出された複数の別の信号に異常なほどの類似性が認められたことから、財団はいて座A*ブラックホールから発せられる最も強い信号の復号に焦点を合わせました。これにより収集された情報が、SCP-029-VNに関する基礎理論の土台を築くこととなりました。


SCP-029-VNこそがフェルミのパラドックスに対する答えであり、人類が常に探し求めてきたグレート・フィルター3の正体であるのかもしれない。かつては火星、今は地球。いつの日か、人類は先に進み続けるために太陽系を離れなければならないだろう。そのとき、人類はもはや我々の知る人類ではないかもしれない。それは文化や歴史、さらには自らの姿形さえも捨て去った種族となるだろう。運が良ければ、私たちが携えていく知識によって、より遠い地点から再出発できるかもしれない。SCP-029-VNは文明に進歩のための猶予を与えるが、決して予め定められた道筋から外れるほどの発展は許さないのだ。

SCP-029-VN-Ωは味方なのか?敵なのか?それは進化の次の段階 — 高度な文明が物理的な存在状態を放棄し、より大きな何かの一部となり始める段階なのだろうか?あるいは単に、グレート・フィルターを乗り越えられない文明を飲み込もうと待ち構える、ブラックホールのようなものなのか?SCP-029-VNそのものがそのフィルターなのだろうか?

ひょっとすると、数十億年の内に、私たち、あるいはその子孫がSCP-029-VNから抜け出す技術を手に入れるかもしれない。その時になって初めて、人類は真に自らの運命を決める自由を得るのだろう。

—チャールズ・ファム博士

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