アイテム番号: SCP-033
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 実施中の観察や実験に用いられない時、SCP-033は不規則な形状かつ手作りの紙、パピルス、キャンバス、羊皮紙いずれか一枚に記入されていなくてはなりません。紙状製品の寸法は、辺々が平行直角であってはならず、長さも等しくないという条件が満たされていなければなりません。(これを033-セーフ寸法と呼称します。)このように収容される場合、紙状製品はあらゆる演算・記録デバイスから少なくとも30m以上遠ざけられた施錠済み非併用保管庫内にて保管される必要があります。SCP-033の持出・返却記録は、それを記入した紙製品や電子機器が汚染される可能性を避けるために、30mの最小安全距離から出て記入されるべきです。
研究のために移動する場合、SCP-033の内容は033-セーフ寸法のホワイトボード・黒板にDクラス職員を使ってコピーすることができます。ホワイトボード・黒板への転送時に、元のSCP-033が含まれていた紙製品は焼却されるべきです。観察と研究はあらゆる演算・記録デバイスから少なくとも30m離れた安全な会議室で行い、観察は最大でも2560秒に制限されます。すべての観測資料やノートは033セーフ材料にするべきです。いかなる状況下でもノートを保管施設を残したり、SCP-033を演算・記録装置に入力してはいけません。
正確に2000秒の観察時間で研究を停止しなければなりませんし、SCP-033は新しい033-セーフ製品に写され、Dクラス職員によって保管庫に返却されなければなりません。研究で利用された白/黒板は、転写が完了した後SCP-033が2560秒でその表面から "自然に"色あせたかどうか関係なく、可能な限り速やかに焼却処分しなければなりません。
033-セーフ手順がSCP-033の有害な効果を停止させるのか、あるいは単に遅延させるのかどうかは分かっていません。不規則な縁や数学的に予測不可能な人間の手作りであることがSCP-033を機能させる論理をどういう訳か混乱させることが理論化されています。
説明: SCP-033は、素人でも理解できる単純な表現から高度な訓練を受けた数学者によってのみ解釈可能な表現までを含む複雑な数学記号の集合体であると思われます。 数式の"総和"はこれまで知られていなかった整数(ハッチンソン教授によりΘ-プライムと命名されました。)であり、█と█の間の中間値に等しいものです。
現代数学のあらゆる計算はSCP-033に関する知識と利用法を欠いたまま行われています。SCP-033抜きで整理された数学的な系にそれが導入された場合、数値そしてやがては構造的整合性が侵食され始めます。SCP-033の効果はこれが非033-セーフ寸法の紙状製品(紙、羊皮紙、パピルス、キャンバスと定義されます。)の表面に書き写されたときや、演算・記録デバイスに入力された時に発生します。その他の素材上に書き込まれたとき、SCP-033は正確に2560秒で霧散していきます。加えて、SCP-033は033-セーフ製品から工業製品や電子機器に”跳躍”する能力を示し、少なくとも一つの実体を変容させます(事件報告033-D)。そのため、電子機器や非033-セーフ製品はSCP-033から30mの安全距離をとる必要があると定められています。
電子記録のための033-セーフ仕様は現在ありません。 SCP-033に関連する██運用研究プロジェクト内の█は、電子記憶装置上における同様のセーフ仕様を発見することに専念しています。██運用研究プロジェクトは、潜在的な機械論理ベースの敵性SCPオブジェクトに対する無力化因子として、SCP-033を応用することに専念しています。専門外の職員のためにハッチンソン教授の具体的な解説文書033-Aがあります。SCP-033効果は文書033-Qを受けて見直される可能性があります。
文書033-A: 初期観察後のハッチンソン教授による報告会
[議事録は内容の明瞭化のために編集されています]
ハッチンソン教授 : すべての小学生は2+2=4であると知っています。数の並びの順番や大きさの数学的確実性はあらゆる論理システムの基礎に使われる大変重要なものです。2の後に3が来て、3の後に4が来ることを我々は知っています。ところがこの式が証明することは、私たちはどこかの数字を抜かして数えていたということです。4の次は6であるという信念が我々のあらゆる技術の基礎をなしていた場合を想像してみてください。我々は5を知らないか想像すらしないでしょう。つまり、この式が証明するものこそが本質なのです。 — 我々はどこかで数を見失っていたようです。
ハッチンソン教授 : 手作りの羊皮紙がSCP-033を封じ込めるのになぜ最も有効なのかを説明することはできません。ただ推測できるのは、それが2つの点で数学的予想を変位させているということです。一つには、ヒューマンエラーに起因する製造工程の不規則性が、機械で作られた製品に見られる規則性の痕跡を排除することに寄与しています。二点目は、不規則な輪郭がどういうわけかΘ-プライムを混乱させ、脱出口として特定・利用するためのパターン検索を妨げているようです。しかし、SCP-033が同じ紙上に数日以上残されるべきではないということは進言しておきます。それは最終的にパターンを見つけ出すでしょう。
ハッチンソン教授 : 私はSCP-033が何かを”破壊する”とは考えていません。SCP-033は我々の数学体系に自身を統合させようとしていますが、我々の数学体系はそれを内包し得ないのでしょう。このことはもうこれ以上入らない本棚へ本をさらに詰め込もうとするのに似ています。ハンマーを使えば本を詰めることができるかもしれませんが、最終的に棚は破裂してしまいます。SCP-033がインターネットに流出してしまった場合、我々は数時間の内にITインフラの完全な崩壊を経験することになるでしょう。
文書033-Q: 実験結果試験033-Δ5
SCP-033を標準的な8.5×11インチの白色のコピー用紙1枚に記入する。(以後これをX1と呼ぶ)何も記入しない同じ仕様の紙(以後X2と呼ぶ)を30cm離して設置。
80秒: X2にSCP-033の内容と一致する記号が現れ始める。X1は変化なし。
160秒: SCP-033の数式の全内容がX2表面に現れる。X1は変化なし。
320秒: X1、X2が両方とも濡れているように見える。記号はなお視認可能。
640秒: 現在X1は外見上おおよそ1の水に対して、5のパルプ状の物質という状態であるが、8.5×11インチの平面という性質は保持している。記号が不鮮明になる。X2は濡れているように見えるが記号はなお判読可能。
1280秒: X1が見えなくなる。液体部分は蒸発し、パルプ状物質は明らかに昇華したように見える。X2は現在おおよそ1の液体に対して、5のパルプ状の物質という状態であるが、8.5×11インチの平面という性質は保持している。記号は視認できない。
2560秒: X2も消える。液体部分は蒸発し、パルプ状物質は明らかに昇華したように見える。