SCP-051-JP
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Libera_me_Domine.jpg

SCP-051-JP(検閲済み)

アイテム番号: SCP-051-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-051-JPは地下収容サイト-81EA標準防音ドームの中央に設置された16×16×16mの特別防音ユニットの内部に収容されています。特別防音ユニットは厚さ3mの防音壁で密閉され、内部には吸音材が詰められています。SCP-051-JPは防音ユニットの幾何的重心位置に固定されています。防音ユニットの開放は許可されません。また、防音ユニット周囲半径60mをレッドゾーンとし、立ち入りは原則禁止されます。もし入る必要がある職員は、収容サイト-81EAのセキュリティクリアランス3以上の職員2名の署名の元、サイト管理者に申請書を提出して下さい。また、レッドゾーン内では、対人・対物問わずあらゆる暴力行為および破壊行為は禁止されます。これらの行為の徴候が確認された場合、非殺傷の麻痺性神経ガスにより違反者を無力化してください。違反者は2段階クリアランスレベル降格処分となります。

説明: SCP-051-JPは200×720×90mmの木箱に入った72弁オルゴールです。木箱は合板製でステインとニスで塗装され、蓋の中央に小さく「Libera me Domine」と焼印があります。蓋を開けるとガラス製の内蓋があり、その内部に機構部が観察できます。蓋の裏にはラテン語の歌詞が記されています。

SCP-051-JPからは、グレゴリオ聖歌「Libera me Domine」の男声斉唱が48秒周期で常に再生されています。初期封じ込めの失敗により、現在、音量は旅客機のエンジン程の大きさであると評価される程に大きな物となっています。旋律は機構部のシリンダーとコーム部分から想定される曲とおおよそ一致しますが、男声がどのようにして発声されているか、何故ゼンマイを巻かずに再生が続いているのかは不明です。SCP-051-JP分解実験では機構部に損傷は一切付きませんでした。また、機構部分に障害物を差し込んでも、差し込んだ物が破壊されるだけで再生は止まりません。

SCP-051-JPから半径約53m範囲1(以下SCP-051-JP-A)で敵意を持った暴力行為2が行われた場合、聴こえる音量及びSCP-051-JP-Aが拡大していきます。████████ ████で████████████から収容した当初は一般同型のオルゴールと同程度の音量でしたが、この性質が知られていなかった初期での実験並びに収容違反、及び19██/██/██に発生した収容サイト-81EAでのインシデント████-████-E8の影響で、現在の音量まで上昇しました。この為、現在の収容設備及び収容方法が策定されました。

旋律は、聴いた者に対する強い鎮静効果を持ちます。この時、被験者への非侵襲脳波検査ではα波の顕著な増大を示し、主観的には多くの被験者は非常にリラックスできると評価します。被験者はこの旋律を出来るだけ長く聴こうとし、無制限にSCP-051-JPに曝露させた初期の実験では、実験中断が判断されるまで8時間20分に渡り聴き続けました。ただし、この効果は強制力を伴うものではなく、指示すれば中断させる事が可能です。また食事などの理由で自発的に離席もします。ただし、最終的には旋律を聴きに戻ってくる事が殆どです。現在の非常に大きな音量でも旋律自体への評価は同様の物となっており、被験者はSCP-051-JPから距離を取ったり、耳を手で塞ぎながらも旋律は聴き続けようとします。

更に、旋律を1周分以上聴いた被験者は、人格に永続的な影響を受けます。具体的には、利他性及び協調性の増大、攻撃性の急速な鈍化、共感能力の大幅な増大、などが挙げられます。この影響は記憶処理では排除できませんでした。また、この人格への効果は曝露した時間に比例し強化される累積的なものです。2分程度では、以前より言葉遣いがやや丁寧なものになる程度です。しかし20分の暴露では、情緒の安定、暴力的傾向の消失、危険な状況での自己を顧みない利他的行動、協調性とコミュニケーション能力の顕著な増大、集団内でのトラブルを積極的に解決しようとする傾向などが見られました。前述の最長実験での被験者は、強度の共感能力と非常に極端な利他主義の傾向を見せ、再配置後行われたSCP-███-JPの実験で[削除済]。クリアランスレベル3以上の職員は当該被験者の再配置後行われたSCP-███-JP実験20██████-013レポートを参照してください。

なお、この旋律は録音やPA機器、各種計測機器で捉える事が出来ない事がわかっています。この事から旋律は実際に鳴っているわけではなく、周囲の人間の知覚に影響を与え、聴かせている物と考えられます。しかしながら、通常の音声のように密閉する事で音量を抑える事は可能です。

性質が判明した当初は、この効果を適切な職務の職員に用いる事も検討されましたが、SCP-███-JP実験20██████-013での被験者の自破壊的なまでの利他性の発揮を鑑みて、将来における人員喪失の可能性が高い事、及び人道的観点(倫理委員会通達20██████-051-3参照)から却下となりました。

また、もし更なる収容違反が発生し、SCP-051-JP-Aが地下収容サイト-81EAの敷地範囲を越え市街地に到達する事態が発生した場合、SCP-051-JPは市民の普段行う些細な暴力行為に反応し、SCP-051-JP-Aと音量を際限なく増大させ続ける可能性があります。その為、万が一大規模な収容違反が発生した場合は、サイト-81EA周辺の広域地域の封鎖も視野に入れる必要があり、その為の緊急プロトコルが現在検討されています。

なお、SCP-051-JP-Aを縮小させる手段は現状存在しない上SCP-051-JP-A拡大によって財団が対処しなくてはいけない区域面積も指数関数的に増える為、収容違反の早期収束及び再収容確立に失敗した場合、SCP-051-JP-A並びにSCP-051-JP可聴領域の拡大が止められなくなる恐れがあります。最悪の場合SCP-051-JPの影響は全世界に広がり、既存の文明社会に多大なる影響と構造改編を促す「AK-クラス:世界終焉シナリオ」に繋がる可能性もあると指摘されています。

このような超常的事象によって我々の護ってきた既存文明が改変される事態は何としても避けねばなりません。例え争いから解放された平和な楽園が訪れるのだとしても。 - ███上級研究員

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