アイテム番号: SCP-060-KO
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-060-KOは現在、サイト-17の標準的な収容室において保管されています。実験のために収容室に出入りするにはセキュリティクリアランスレベル2以上の職員の許可が必要であり、実験後の被験者は結果報告を兼ねた精神カウンセリングを受けなければなりません。実験以外の目的で収容室へ出入りして自由に利用することも可能ですが、オブジェクトの利用は1ヶ月に2回までとします。
説明: SCP-060-KOは、███社で製造された2段ベッドで、既存の同じモデルのベッドと比較した結果、材質や大きさなどに変わった特徴はありません。メーカーに問い合わせた結果、オブジェクトも同じ製造行程で作られたことが確認されましたが、他のベッドには異常は発見されませんでした。何故このベッドのみに異常現象が発生するのかについては現在継続して調査中であり、特別な手がかりは見つかっていません。
オブジェクトの置いてある場所が明るい場合にはオブジェクトの中で眠っても何の現象も発生しませんが、暗室もしくは最小500lm~最大900lmの電球などが1つだけ点灯している状態では、オブジェクトの下段で一定時間以上(通常30秒ほど)横になった場合、オブジェクトが活性化します。オブジェクトの上段で異常物体(以降060-KO-1と表記)が出現し、その姿は主にオブジェクトで横になった人物またはその人物と近しい人物として表現され、たまに人間型ではなく動物型や物品として現れることもあります。060-KO-1はベッドの上で横になるか、時折横になった人物に近付いて声をかけ、約30分~2時間程度の一種の「相談」のような会話をします。会話が終わると会話をしていた人物は徐々に睡眠状態へと陥り、060-KO-1は睡眠状態に陥っていくのを見守った後に跡形もなく消失します。睡眠状態に陥った人物を途中で目を覚まさせることはできません。約3時間後に自然と目を覚ます他に方法はありませんでした。睡眠の後、その人物は相談の結果に関係なく心理的な安心感を得ることになります。一部では、これはオブジェクト自体の効果ではなくその人物が話をすることで負担と悩みを解消しているだけという意見も出ました。会話中に第三者が部屋に入ってくると060-KO-1は即座に消失し、横になった人物はすぐに睡眠状態に移行し、同じように3時間後に覚醒します。相談の内容は、その人物のことを中心としつつ孤独、金銭、身体のことなどトピックは様々です。
オブジェクトは日本の███市の家庭で発見されました。その家庭では姉妹で使用していましたが、途中片方が遊びに行っているときにもう片方が寝ようと横になった瞬間、上段から自分と同じ声が聞こえ、一緒に話もしたという内容の話が日本のあるコミュニティサイトで発見され、それを重要視した財団職員が上層部に報告した後にオブジェクトを回収し、その家庭には同じモデルの2段ベッドを提供した上でクラスB記憶処理を施しました。
補遺1: 実験記録060-KO
実験060-KO-1
被験者: D-2472
実験方法: 部屋の蛍光灯を点けたまま実験。
結果: 何も反応なし。
実験060-KO-2
被験者: D-2472
実験方法: 部屋の明かりを消したまま実験。
結果: 060-KO-1が出現。オブジェクトの姿は被験者本人のものであり、被験者は大きく動揺したが瞬時に落ち着いて会話を開始した。会話の内容は自分のカッとしやすい性格についての問題であり、その後睡眠状態に陥って3時間後に覚醒した。
実験060-KO-4
被験者: D-0685
実験方法: 部屋の明かりを消したまま実験。
結果: 060-KO-1が出現してすぐに下段に降りる。オブジェクトの姿は、現在被験者と同じ部屋に住んでいるD-8695のものだった。被験者はオブジェクトに暫く不愉快そうな顔を向けていたが、すぐに会話を開始した。会話の内容は自分自身とD-8695との間にある不満であった。
実験060-KO-9
被験者: D-3956
実験方法: 部屋の明かりを消し、060-KO-1をより鮮明に識別できるようにするために照明を設置する。
結果: 060-KO-1が出現し、下段にすぐに降りた。オブジェクトの姿は被験者の妻であり、暴漢によって殺害された当時の姿だった。被験者は急に驚いて嗚咽し、060-KO-1は慰めてすぐに会話を開始した。会話の内容は以前妻に対して良くすることができなかったことに対する反省であった。
注釈: 実験以降、被験者は他の被験者とは異なり気分が持続しており、解雇日前までの実験に何の抵抗もせずに臨んでいた。 - 記録担当者██████
実験060-KO-16
被験者: D-3294
実験方法: 実験9と同じ。
結果: 060-KO-1が出現し、すぐに降りる。オブジェクトの姿は被験者本人のものであり、すぐに互いに会話を開始した。会話の内容は「今のサイトから出ていくこと」であり、060-KO-1は会話中にずっと躊躇うようにして出ていけないと話し、会話が終わるまでずっと慰めていた。被験者が睡眠状態に陥った後、060-KO-1は実験室のCCTVを見て「本当に申し訳ありません……申し訳ありません……」と発言して消失した。
注釈: 被験者は現在、何も言わずに他の実験に臨んでいる。最初の未練を捨てたと考えられる。……ああそうだ、あいつがここを出ていって自分の弟に会いたいと話したときはどれだけ驚いたことか。 - 記録担当者██████
補遺2: 相談記録060-KO
相談060-KO-1
相談者: ブライト博士。Dクラス職員の身体を借りたまま実行。
内容: 060-KO-1が出現し、すぐに降りる。オブジェクトの姿は博士が憑依しているオランウータンのものであり、SCP-963は確認できない。相談後、博士は「財団の話」とだけ言い詳細を語ろうとはしなかった。
コメント: 確かにオブジェクトはオランウータンの姿で、話をすることはできない状態だったはずだが、2人の意志疎通には何の問題もなかった。むしろお互いに冗談を言い合えるほどだったのだ。一体これは…… - 記録担当者██████
相談060-KO-2
相談者: ギアーズ博士
内容: 060-KO-1が出現し、すぐに降りる。オブジェクトの姿はクレフ博士のものであった。話の内容は、[編集済]。オブジェクトは互いに会話をしている途中、何度か渋い表情をした。博士が睡眠状態に陥ると、オブジェクトは博士を眺めながらしきりに首をかしげつつ消失した。
相談060-KO-4
相談者: アンカー
内容: 060-KO-1が出現。オブジェクトは相談者本人の姿であり、すぐに会話を進めた。会話の内容は「コンピュータ」のものであり、その会話が3時間以上継続した。
コメント: 結果報告中、相談者は報告しながらも何かをずっと望んでいるような表情であった。 - 記録担当者██████
相談060-KO-5
相談者: ダイアモンド研究員
内容: オブジェクトの上段から鳴き声がし、相談者が覗き込んでみるとゴールデンレトリバーの姿の060-KO-1が横になっていた。やがて2人は下段に降りてきて、30分間撫でながら遊びそのうちに睡眠に入った。特別な話はせず、ただ撫でただけであった。
コメント: 該当の研究員は3週間ほど前、自身が飼っていた犬が死んでしまいそれを埋葬していた。品種は違っていたが、久しぶりに会った動物だったからかとても嬉しいと証言した。 - 記録担当者██████
相談060-KO-8
相談者: サル博士
内容: 30秒経過しても何の反応もなかったため、異常に思った博士が動き出すと、サリー博士の姿をした060-KO-1が「いないいないばあ」と言いながら顔を急に突き出した。サル博士はとても驚いて終始呆気に取られた状態で会話を行った。会話の内容は自身の第2人格に対する不平であった。その際、サル博士の第2人格であるサリー博士は会話の最中に出てくることができなかったという。
相談060-KO-9
相談者: エージェント・タスク
内容: 時間が経っても何も反応がなかったため、エージェントが登ってみるとベッドの上に携帯用一般カセットが1つ出現していた。つけてみるとカセットはラジオであり、M██放送局の「███の星が光る夜に」が流れ始めた。放送は既存のプログラムの順に流れ、その最中に「リスナー接続」でエージェントと電話で接続し相談が進められた。話の内容は恋人がいなくて寂しいというものであった。相談が終了した後もプログラムが終わるまでエージェントは睡眠状態に移行せず、終わってから睡眠し始めてカセットもやがて消失した。放送されたラジオプログラムは相談時刻と放送時刻が異なっており、それを行っていたプロの司会者である███はすでに他のDJに変わって久しい上に、その人物は当時個人コンサートの準備中であったことが明らかになった。
現在はカウンセリングのための職員が足りないために、相談目的での利用を黙認していることに注意すること。単にリラックスするためだけにオブジェクトを利用した職員は懲戒を受けることになるので参考とせよ。 - 管理者███