
回収直前のSCP-066-JP-2画像
アイテム番号: SCP-066-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-066-JP-1は沿岸部に建設されている監視駐留所-03A7によって常時監視と記録の保管が行われています。監視駐留所-03A7、03A8、03A9には"ハエトリ計画"の実行に於ける初動的対処と監視、SCP-066-JP-2出現と飛去方向の特定と報告が可能である機動部隊ぬ-29"コマドリ"を常時待機させてください。"ハエトリ計画"は、48時間以内にSCP-066-JP-1周辺地域への台風の接近が予測される場合即座に発令されます。
"ハエトリ計画"の概要については付属資料を参照してください。現在"ハエトリ計画"にはサイト-8101、サイト-8109、サイト-8116、サイト-8125、サイト-8132、サイト-8145、サイト-8147、サイト-8155、サイト-8169、サイト-8174、サイト-8181、サイト-8187、サイト-8190、サイト-8193、セクター-8151、セクター-8173、セクター-8192が参加しています。
"ハエトリ計画"によって確保されたSCP-066-JP-2はセクター-8151の専用収容倉庫へと収容してください。専用収容倉庫はセキュリティクリアランスレベル1以上の承認によって入室が可能です。
説明: SCP-066-JP-1は[削除済]沿岸部から██km沖合の海洋上に存在する半径37m範囲と思われる海面領域です。SCP-066-JP-1は特定の気象条件下に於いて範囲内のいずれかに極端な局所的加重重力場を形成します。重力場の重力の大きさは現在まで数値の測定に成功していませんが、地球に対して作用しており、瞬時にして海面と周辺の分子を海中方向へと引き込み始めます。
これらの現象は分子同士の摩擦、または崩壊による放熱と、それらエネルギーの重力場内部への閉じ込めを誘発します。重力場は沈下に伴い収縮を続け、内部の物質とエネルギーを極限まで圧縮させ電荷を備えた小質量によるブラックホールまたは極小の空間トンネルを発生させるのと同時に消滅します。
重力場の消滅は圧縮されたエネルギーの解放に繋がりますが、それらの解放に伴う壊滅的余波の大部分はブラックホールまたは空間トンネル内に吸引されます。しかし同時にSCP-066-JP-2が出現します。SCP-066-JP-2の出現後、ブラックホールまたは空間トンネルは即座に消滅します。
SCP-066-JP-1がこれらの現象を引き起こす特定の気象条件は、一般的に台風と呼称される温帯低気圧の接近であると考えられています。しかし人工的に操作された気象による再現実験によって現象発生が確認されなかった事から、自然状態の台風に、SCP-066-JP-1内の現象発生を誘因する未知の要素が存在すると見られています。
現象はSCP-066-JP-1領域が台風の勢力下に入っている状態で発生しますが、領域が勢力下に入ってからいつ現象が発生するのかについては、明確な規則性を発見出来ていません。
SCP-066-JP-2は直径9〜31mの車輪部分と、車軸間に存在する本体部分によって構成される実体です。鉄を主成分とした未知の合金によって構成され、この合金は1㎤辺りおよそ3.75kgの質量を有しています。
SCP-066-JP-2はSCP-066-JP-1内で発生した現象に於いて、ブラックホールまたは空間トンネルへの吸引を免れたエネルギーの余波の炸裂によって急上昇し、海上へと飛び出します。この時点でSCP-066-JP-2が射出される速度は現時点までの観測により、1123kgのSCP-066-JP-2bw出現時に確認された849km/hが最高値となっています。
SCP-066-JP-2は最高高度海抜37〜46kmに到達後、自由落下します。これまで全ての例に於いて、SCP-066-JP-2は意図的な干渉または操作が行われていないにも関わらず、必ず日本国土上の無作為な地点が最終的な落下地点となっています。
後述の発見から、これらはSCP-066-JP-2出現以前からの計画的な投擲軌道予測の結果であると見られています。
しかし殆どの場合でSCP-066-JP-1が台風の勢力下にある状況でSCP-066-JP-2の出現が確認されるため、SCP-066-JP-2は低気圧の影響による軌道の湾曲から、正確な落下地点を事前に特定するのは困難であるとされています。
それに加えてSCP-066-JP-2実体の造成の杜撰さに由来する不安定な形状と姿勢状態は、予測困難な空気抵抗の影響を実体の空中軌道にもたらします。
SCP-066-JP-2に対する広汎的軌道予測システムの手順成立による、SCP-066-JP-2実体の空中確保を目的とした"ハエトリ計画"が実行されています。
付属資料1: SCP-066-JP-2実体詳細記録
現時点まで124個体の存在を確認。うち102個体の確保・収容に成功。
実体は鉄74%、銅12%、亜鉛8%、タングステン2%、未知の蛋白質1.2%、クロム1%、未知の有機体1%、スズ0.8%によって構成。しかし現在収容されている実体のうち8個体は6〜12%の成分比率の誤差が確認されている。
化合・製造の手段は不明。密度が均一ではない事から原始的な鍛冶技術によるものであるとの仮説が有力視される。
構造は車輪と円筒を一本の車軸で貫通させて固定させる単純なもの。しかし円筒部と車輪の接触部は溶接されており、車輪と円筒部の関係から、元は車輪の回転を前提に設計・製造されたものを、本来と異なる用途のため後に溶接によって固定したものと思われる。
収容された実体のうち39個体には、円筒部内部に空洞の痕跡有り。これらも後ほど用途の変更に伴い、同合金の注入による穴埋めが行われたと思われる。
車輪部の厚みから見て、実体は3種類の規格を基に製造されたものと思われる。直径が9〜17mのものは均一に車輪の厚みが15.3cmとなるよう設計されているものと考えられ、同様に直径18〜29mのものは21.7cmの厚みを持ち、直径30m以上のものは39.2cmの厚みを持つ。
しかし原始的な鍛冶技術によって製造されたためか、厚みには部分的な差異が存在し、厚みが均一では無いもの、規格から外れているものも存在する。
その保護手段と原理は重力場による空間分子の規則性の湾曲と、重力場の中心に位置する熱核部がブラックホールまたは空間トンネルへと吸引される速度に関係していると推測されているが、詳細は調査中。
SCP-066-JP-2関連特記事案リスト
実体出現日時 | 実体規模 | 落下地点 | 被害 |
---|---|---|---|
19██/07/14/██:██ | 車輪部直径11m。総重量1352kg | 滋賀県██████ | 民家三棟全壊、民家二棟一部損壊。死者7名 |
19██/08/03/██:██ | 車輪部直径20m 総重量1829kg | 熊本県████ | 着地時の衝撃による斜面崩落を誘発。死者8名、[編集済]四ヶ所で通行止め及びライフラインの寸断 |
19██/09/11/██:██ | 車輪部直径17m 総重量1681kg | 長野県████████ | 一部山岳斜面の崩落。死傷者無し。SCP-███-JPの活性化を誘発 |
19██/08/27/██:██ | 車輪部直径30m 総重量2419kg | [削除済] | サイト-81██の一時機能喪失及び周辺地盤の陥没 |
19██/09/02/██:██ | 車輪部直径9m 総重量1123(最小値) | 沖縄県██████ | [削除済] |
19██/09/16/██:██ | 車輪部直径26m 総重量2167kg | 北海道███████ | 地盤の陥没。震度██の地震を誘発 |
19██/08/30/██:██ | 車輪部直径21m 総重量1959kg 円筒内部に空洞痕跡が確認された初の事例 | 山梨県███████ | ███の大規模な一部崩落。死傷者無し。修復不可能 |
20██/08/27/██:██ | 車輪部直径14m 総重量1503kg | 三重県████ | 複数の建築物の倒壊。死者16名。地殻への影響により[削除済] |
20██/09/24/██:██ | 車輪部直径19m 総重量1741kg | 千葉県██████████ | [削除済] |
20██/██/██/██:██ | 車輪部直径31m 総重量2574kg(最大値) 殺傷用と思われる複数の突起が溶接されていた | [削除済] | [削除済] |
20██/██/██/██:██ | 車輪部直径11m 総重量1356kg SCP-066-JP-2cfと命名 | 愛知県████ | 一部海岸線の損傷 民間の漁業活動の一時停滞 |
全ての実体には円筒部の不定位置に20×20cmのサイズで何らかのシンボルと思しきものが描かれている。
シンボルは既存の紋章学の規則に一部則っているものの、使用されている塗料の原料が現行世界では塗料として使用されていないものである点、標語の記述にあたる部分が未知の言語によって描写されている点から、未知の文化由来のものであることが示唆される。
シンボルは全て交差した直線状の引っ掻き傷によって意図的に損傷しており、シンボルに対する何らかの反意を示していると思われる。
全実体にはシンボルに対する引っ掻き傷と同様規模の刻字が為されている。殆どの例に於いて、その内容は以下のものに統一されている。
Godeco di-jodix
SCP-066-JP-2cfと、それ以降に発見されている実体では、刻字は以下の日本語文字による文章となっている。
我々は 開拓と侵略を 区別しない
かつて 奴らが そうしたように
奴らの ひかり は すでに穢された
我々は 穢すべき 新たな ひかり を求む
死せるものは死なず
文章の内容については現在も複数の解釈が存在するものであるが、以前より郡博士が提唱していた"ハエトリ計画"の承認と発足に於ける決定打として、公式的に言及されているものである。
付属資料2: ハエトリ計画梗概