SCP-095-KO
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アイテム番号: SCP-095-KO

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-095-KOは全世界に広がっていますが、ほとんどの場合は症状もなく、全ての保菌者の追跡は事実上不可能であり、SCP-095-KO-pは社会に肯定的に作用する場合が大半です。したがって、収容プロトコルは芸術市場と実質的に症状が現れる感染者を持続的に監視し、必要な場合にのみ、SCP-095-KO-pの回収を実行します。感染者を監視する途中、4段階の末期に進む可能性が感知された場合は事実を確認した後、直ちに収容して除去しなければなりません。現在、一部の音楽家とパフォーマンスアーティストが公演で発生させるSCP-095-KO-pの収容方法に対する議論や研究が進行中です。

異常性が重大だと判断されたSCP-095-KO-pは別途のSCiPに再分類して収容します。

説明: SCP-095-KOは人間の体内で育つ、正確には確認することが出来ない真菌類であり、世界中にいる80%以上の人間は保有した経験があると推定され、感染を繰り返して累積することが可能です。SCP-095-KOと胞子は外環境での生存力が非常に弱く、保菌者との直接的な体液交換、特に性的接触や妊娠で伝染します。免疫体系も対象にとって非常に致命的ですが、脳に到達すれば4段階にわたって発達する幻覚を誘発し、SCP-095-KOに対する免疫を抑制します。

  • 1段階: 主に若い頃に発症し、特定の類型がない曖昧な幻覚を経て、幻覚を実現しようとする強い欲求が伴う。軽い精神的な問題が発生する可能性がある。通常は1段階以上感染が進行せず、自然治癒されたり、他の部位に対象が転移して症状が消えたりするが、幻覚を実現するとSCP-095-KOは脳に定着する。
  • 2段階: SCP-095-KOが胞子嚢を形成して幻覚が具体的なものに変化する。幻覚を具体的に実現するのに必要な知識が幻覚に同伴され、実現しようとする欲求が強くなるため、感染者が「創作活動」をするように誘導される。この現象は大衆で「芸術的インスピレーション」として知られている。2段階まで発達すると自然治癒率が急減する。
  • 3段階: 胞子が成熟し始め、感染者の体液にて胞子が観察される。特定の異性との接触により、幻覚がさらに強烈かつ高い頻度で発生するようになるが、この症状は特に身体的な接触がある時にはより明確に見えてくる。さらに感染者が理性により、継続して新たな幻覚を感じるように誘導する。インスピレーションの結果は現実に影響を及ぼすことがある。
  • 4段階: 感染者がSCP-095-KOの胞子を排出していなければ、強力な幻覚により精神疾患を患うようになったり、胞子を排出するために性的欲求の調節が難しくなったりする。体液の胞子密度が1ml当たり700,000~1,500,000L以上の場合、[データ削除済]。

SCP-095-KO-pは「インスピレーション」の結果です。SCP-095-KO-pに持続的に曝露されるとSCP-095-KOに対する免疫力が微弱に低下して、感染者を魅力的に感じさせる弱い暗示が累積され、これにより感染者との体液交換を誘導します。SCP-095-KO-pは特性によってp-1~-6に分類します。

  • SCP-095-KO-p-1: 「平凡な」芸術品。軽い心の変化を誘発。
  • SCP-095-KO-p-2: 変則的な強制力、スタンダール・シンドローム1のような半永久的あるいは極端な感情の変化を誘発。
  • SCP-095-KO-p-3: 単純で些細な物理的変則現象を誘発。
  • SCP-095-KO-p-4: 複雑で深刻な物理的変則現象を誘発。
  • SCP-095-KO-p-5: 別途のSCiPに再分類待機中。
  • SCP-095-KO-p-6: [データ削除済]

感染者は幻覚を自ら認知し、上述の現象から正常な生活に直接的な影響を受けませんが、時折、他人の耳目を集中させる独特な言動を見せることがあります。その理由はSCP-095-KOの分泌物が[データ削除済]を介して快楽中枢を直接刺激するためのものと推定され、当該物質が中毒性を示す原因でもあります。一般的な抗精神薬とは違って身体に直接的な副作用はなく、感染者を対象に実施された心理検査では、むしろ生活の質が向上したという結果が示されました。その副作用はSCP-095-KOを治療した時に発生しますが、2段階の中期後に人為的な治療を受けた感染者は深刻な禁断症状に悩まされることになり、このうち██%は抗精神薬に依存するようになる、もしくは自殺を選択しました。自然治癒した場合、0.8%前後の感染者のみが禁断現象を経験し、その症状は微弱で非常に速い回復が見られるため、感染者に対する治療は有効でなくなった収容方法と判断されるため、施行されません。現在、対象を人為的に脳で育つように誘導し、うつ病の治療に活用する方法に関する研究が検討中です。

感染者が苦しむほとんどの幻覚は音を味わう、特定のイメージを聞くなど、共感覚的な特性を持ったものと見られます。また、約80%の感染者は親世代と同様な種類の幻覚を経験するだけでなく、芸術的才能も同じ分野で現れますが、これは感染者の成長環境と人格形成が幻覚に大きく関与するためと推定されます。しかし、最近█████博士がSCP-095-KOの感染者に「音楽的才能」を誘発させる11個の遺伝子を究明することに成功し、幻覚の種類はSCP-095-KO自体の形質によって決定されることが明らかになりました。これにより、孤児のように親の影響を受けていない感染者も幻覚やSCP-095-KO-pの発生において、親世代と同じ様相を見せることを説明することが出来るようになりました。現在まで、いくつかの芸術的才能を誘発させる70以上の遺伝子が解明されました。

事件095-KO-7以降の研究を通じて、芸術的見識と才能が芸術的異常性との互換性があることが確認されました。芸術的感覚自体は変則的ではないだけに該当者のSCP-095-KO感染とは無関係であり、各芸術分野に優れた素質がある者で構成された別途の起動部隊を運用する場合、変則的な芸術をより効率的かつ安全に扱うことが出来ると考えられます。

事件記録095-KO-7
SCP-095-KOによる4段階の末期感染者と推定されていた芸術家のうち、特に活動が活発で、監視下にあった画家C█████がSCP-095-KO-p-6と同一の特性を持つ物体を発生させました。財団は直ちに収容しようとしましたが、SCP-095-KOに感染していなかったことが確認されました。それだけでなく、彼が発生させた物体はSCP-095-KO-p-6と全く同じ異常性を持っていたのにも関わらず、如何なる直接的な危険性もなく、完璧に安全でした。彼が如何にその物体を発生させたのかを研究していたところ、彼は事故によってSCP-095-KOに感染して11分で4段階の末期まで感染が進行し、肌に発生した胞子は[データ削除済]。しかし、一般的な感染者と違って対象は無効化された状態であり、C█████は自然治癒されました。彼は「何かが私の頭の中に勝手に入り込んでは、私に半強制的にインスピレーションを与えようとした。絵描きになったことは本当にありがたいことだが、そのインスピレーションは私のものより劣っていた。奴はすぐにその事実に気付き、私の頭の中から抜け出そうとして、そのまま消えてしまった。」と証言しました。

注目すべき点として、C█████は美術形態の異常性に耐性があり、そのような物体の基本的な特性を容易に見抜くと思われます。財団では、彼は単に「美術的天才」であると判断し、美術品形態SCiPの回収と収容のための職員として採用されました。現在まで、彼は合計███つの異常な美術品を回収して適切な収容プロトコルを提示し、█つの収容不可能な異常な美術品を無力化させました。セキュリティのために身分は非表示ですが、C█████は変則的ではない活動に限って美術家としての活動を継続することが可能で、彼の作品が財団でも人気があるため、心理安定に役立てるために技芸家2としての活動も、内部的には可能としました。

事件095-KO-7を機に、SCP-095-KOと絶縁出来る芸術家を探索していますが、現在まで、C█████以外は如何なる成果もありません。

インスタレーションを行う感染者は時代が経つに連れて増加し、4段階まで感染が進行した者たちも、正確な数値も分からないくらいに増えました。感染者の治療や収容はもはや選択肢でないと思います。 -█████████博士

我々は過去に数多くのアーティストを治療しましたが、彼らはほとんどインスピレーションを失った廃人になりました。このようなことを継続することは芸術の絶滅に繋がりますし、人間を人間らしくする人類の貴重な財産の一つを失いたくないですね。-O5-█

芸術自体が変則的だということはよく理解しており、長い長い芸術の歴史においてSCP-095-KOが非常に重要な役割を果たしたことは、私も認めます。しかし、芸術自体が変則的であっても、その根源はSCP-095-KOでないことを忘れてはいけません。こいつは一般的な人間の社会生活と芸術を繁殖媒介にしたカビであり、自分の繁殖手段を掌握することに成功し、優占種になっただけです。C█████は我々が知っている最後に残った本物の芸術家であり、もしそれが事実であれば、芸術はすでに絶滅しました。-█████████博士

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