アイテム番号: SCP-1004-RU
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1004-RU-4は、財団の管理下にある唯一のオブジェクトです。それは、最大10m以下の大きさのチャンバー内に保持されなければならず、その結果、対象の動きは制限されることとなります (これによって、対象は尾を動かすことができなくなります)。 壁、床、天井は少なくとも10cmのシリコンゴムの層で覆われていなくてはならず、継ぎ目はシリコンシーラントで満たされています。換気によって、チャンバー内の温度が摂氏+70度を超えないようにする必要があります。給餌は1日1回天井のバルクを通して、100kgのケイ酸塩岩石 (砂、砕石、砂利)を与えてください。 飼料は、鉄やニッケルなどの不純物を除去するために、あらかじめ工業用マグネットの下をくぐらせてください。チャンバーの床には、酵素を排出するための斜面と空気穴が必要です。 火格子、排水管および酵素の貯蔵タンクは、固体のシリコーンプラスチック製でなければなりません。酵素の貯蔵量は少なくとも1m3以上でなければならず、3日ごとに交換する必要があります。
オブジェクトに、鉄やニッケルを接触させないでください。万が一接触が起こってしまった場合、プロトコル557 - ブーメランが発動されます。
説明: SCP-1004-RU群は2011~2013年にかけて太陽系の各地に飛来した隕石の総称です。それらの基本的な情報を以下に示します。№ | 落下地点 | 落下した日時 | コメント |
SCP-1004-RU-1 | 火星、Aeolis Palus平原 | 2011年10月 | 隕石の墜落による光は、NASAの火星探査機オービターによって記録されました。赤外線カメラはすぐにクレーターの冷却が異様に遅いことをとらえました。これは内部に熱源をもつ地球外起源の人工物の証拠であるとして専門家たちに解釈されました。情報は直ちに隠蔽され、NASAの███████部に、そしてそこから財団へと転送されました。財団とNASAの間で、火星探査機Curiosityによる研究プログラムを行うということで合意に至りました。 |
SCP-1004-RU-2 | 小惑星E████████ | 2012年12月 | █████望遠鏡は、近地球惑星でおこった閃光の冷却が、異様に遅いことを発見しました。この事件は隠蔽され、無人探査機が現場へ送られました。 |
SCP-1004-RU-3 | 月、雨の海 | 2013年2月 | 今までのパターンと類似した月での事例。無事情報は隠蔽されました。 月面探査機Юйтуによる研究プログラムを行うということで財団とCNSAとの間での合意に達しました。 |
SCP-1004-RU-4, 5および6 | 地球、ウラル地方 | 2013年2月 | 明るい物体の飛行は多くの人が目撃し、インターネット上に瞬く間に投稿されたビデオクリップは、隠蔽ができませんでした。隕石の落下地点は財団のロシア支部の支配下に置かれ、海に落下した隕石の噂はメディアで取り上げられ、その後、別の隕石の破片が学会に提出されました。3つの同一の異常存在が発見され、封じ込め区域に配送されました。そのうち二つ(1004-RU-5および6)は実験の途中で破壊され、残るひとつは保存のため収容されました。 |
SCP-1004-RUは生物的な反応を示す有機ケイ素の形成物です。それぞれのオブジェクトには3mの卵形の《頭部》があり、その鋭い先から40mの細い尾が生えています。《頭部》の先端には、6つの排泄腺に左右対称に取り囲まれた口があります。オブジェクトの色は半透明の乳白色で、ゼラチン状で弾性があります。外殻は容易に切断し、穿孔可能ですが、強力な荷重や衝撃に耐えることができ、1000気圧以上の気圧、4000Kを超える熱に耐えることが可能です。また内部構造は未知のままです。X線および超音波による研究では特に内部を観察することはできず、SCP-1004-RU-5の解剖は速やかに内臓の化学分解を引き起こしました。
SCP-1004-RUの頭部の腺は、所謂酵素、高い溶解力を有する未知の流体を分泌します。この酵素は地球の地殻、金属および有機化合物のほぼすべてを腐食しますが、シリコンおよびほかの有機ケイ素化合物とは反応しません (これはSCP-1004-RU自身には無害なようです)。これによって土を溶かし、形成された液体を吸い込み、不明な方法でこれを消化します。中性子束が弱いことから鑑みるに、その代謝には化学反応のみではなく核反応も関わっているようです。最終的にはそれは、大量の熱を伴い、新しい酵素に変換されます。これは鉱業および化学工業にとって非常に有意なものであり、財団の利益のために商業利用することが検討されています。
SCP-1004-RUに知性はありません。彼らの行動は原始的なもので、惑星の内部に浸透するという単一の目的に従属しています。オブジェクトは宇宙から惑星の表面に落ちた後活性化し、酵素を分泌し始め、その下の土壌を溶解させ、形成された液体に体をひたします。その中で尾を使った回転運動で地表を掘り進み、さらに中心に向かって加速します。このような方法で、オブジェクトはもっとも硬い岩の中でも毎分█mで掘り進みます。 さらに液体の中に完全に体をひたすと、コルク抜きのように《尾》を折り畳み、プロペラのように回転して意図的に急落します。固定化されたチャンバー内でも、SCP-1004-RU-4は酵素を持続的に分泌していますが、それが効果がないことには気付いていないようです。
地球の深い部分でのSCP-1004-RUの挙動を研究するために、鉄とニッケルの溶融混合物の層の上に溶融玄武岩を充填した試験用熱プールを建設し、その流域で起こっていることが超音波ソナーで観察されました。SCP-1004-RU-6は自分の《頭部》を溶解物に浸した後、地球のコアを再現している鉄-ニッケル層と接触するとすぐに、オブジェクトの外郭が崩壊しました。鉄とニッケルとケイ素との合金からなるフラクタル型の複雑な変化をする構造(図2参照)の成長と自己組織化のプロセスがただちに行われました。このオブジェクト(SCP-1004-RU-7)は生物的な反応を示し、SCP-1004-RU-4、5および6よりも複雑な行動反応を示しました。注目すべきは、対象は周りに居る研究者を認識し、その場から《脱走》しようとしているように見えたことです。SCP-1004-RU-7が急速に肥大化し、熱プールの充填材を約██立方メートル/分の速度で吸収していることをかんがみて、施設での実験を中止し、緊急冷却を行うことが決定されました。しかしながら、凍結した状態でさえ、SCP-1004-RU-7は[データ削除済み]。完全かつ最終的な鎮圧は、[削除済み]によって達成されました。
もしSCP-1004-RUが地球の内部に侵入した場合どうなるかについては、小惑星E████████の例から推測することが可能です。SCP-1004-RU-2の衝突から6ヵ月後に小惑星に到着した無人探査機は、E████████の代わりに地球のSCP-1004-RU-7で観測されたものよりもはるかに複雑な枝分かれした構造体を発見しました。この構造体は距離████kmで探査機の子機を《発見》し、自らその模造品を生成することで反応しました。最初の状態では研究者に言わせれば《粗雑な模造品》でしたが、その後すぐに精度を上げました。その数が10個を越えるころには子機の側に無線信号を送るようになりました。探査機は、ミッションの計画通りに小惑星を[削除済み]によって破壊しました。
火星と月がSCP-1004-RU-1とSCP-1004-RU-3によって《受精》した場合の危険性を考慮して、火星探査機Curiosityおよび月面探査機Юйтуには[削除済み]が配備されました。これを用いることで、地表から███mの距離にある物体を破壊することができます。201█年には2つの探査機は目標を達成することが期待されています。