SCP-1036
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アイテム番号: SCP-1036

オブジェクトクラス: Euclid

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SCP-1036-1

特別収容プロトコル: SCP-1036はそれぞれ施錠された鉄製の容器に収容し、湿度を低い状態にしてください。これは、収容容器とSCP-1036に打ち込まれた釘の酸化を抑制するためです。常時、SCP-1036の取り扱いは慎重に行い、SCP-1036から釘を脱落する危険性を最小限のものにしてください。何があってもSCP-1036から釘が脱落するようなことがあってはなりません。SCP-1036の検査の際に釘が脱落する可能性があることが判明した場合、文書1036-3P.BRにある修復手続きを参照してください。

一定間隔 (この時期はサイト-06の職員のンガンガnganga⦆⦅シャーマン⦆が天文観測に基づいて割り出します) に、ンガンガはSCP-1036の全実体に8グラム以上の質量の釘を少なくとも1本は打ち込んでください。

いかなる理由でも、ンガンガ以外の職員がSCP-1036の存在する場所に行く必要がある場合、ンガンガが最初にSCP-1036の目やその他の光を反射しうる部分を絶縁テープやその他の不透明な被覆物で覆うことが推奨されています。

説明: 西中央アフリカのコンゴ文化で制作された呪物と一致する木製の小立像を集合的にSCP-1036と指定します。財団は現在、4体のSCP-1036を収容しており、SCP-1036-1、SCP-1036-5、SCP-1036-6、SCP-1036-7として指定しています。

SCP-1036は人間の形をしており (動物の形をしているものもあります) 、典型的には威嚇的な姿勢をとった形状をしています。SCP-1036はアフリカの熱帯林の堅木で構成されており、アフリカビャクダンの粉末や樹脂、ウラジロラフィアの葉などの植物繊維などの素材で装飾されています。SCP-1036には磨かれた銀などの、光を反射する金属で作られた部品 (典型的には目や腹部に存在します) があり、この部品は木に由来するゴムで固定されています。SCP-1036には██████地方の埋葬地のものと一致する土が微量に含まれています。また、SCP-1036には多数の鉄製の釘が木製部分に打ち込まれています。

SCP-1036は触れてみるとわずかに温かいです。解析により、SCP-1036の表面温度は通常、収容室内の温度よりも4から8℃ほど高いことが判明しています。しかし、観察記録1036-986-B.233によれば、イベント・カラジマ-1 (Event Kalazima-1) の直前には、SCP-1036-3の表面温度は観察が中断される4秒以内に少なくとも90℃変化したようです。

SCP-1036は、とある感覚をもつ霊的な実体と関係があります。この霊的な実体は、SCP-1036が財団に認知されるより前に、コンゴの伝統的なシャーマニズム的な儀式によって個々のSCP-1036に拘束されています。財団の管理下にあるSCP-1036は1870年代半ば以降に作成されたものです (霊的実体の拘束のしきたりの実行を含みます) 。1SCP-1036をそのままの状態に維持する限り、その霊的な実体はンガンガと意思疎通を図る、またはSCP-1036と目が合った生物に影響を及ぼす以外の力を自由に行使することができません。SCP-1036は拘束された霊的実体の力を様々な有用な目的のために使用するために土着のンガンガによって作成されましたが、この儀式を行うためのしきたりに関する知識は喪失しています。そのため、財団はSCP-1036に対しては収容に努力を集中しています。

補遺1:

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SCP-1036-6 (細部)


インタビュー記録Aから抜粋された音声記録 19██年██月██日

モリソン博士: こちらモリソン。ええ、私は今、チャンバー06-SSDの外で、ンジンガ氏と一緒に、観察窓を通じてその部屋の内部を観察しています。ンジンガさん、すみませんが記録のため、我々が実験で行っていることの説明をしてくれませんか。
ンジンガ: 分かりました。私はフランソワ・ンジンガです。サイト-06で働いているンガンガです。今朝、私はチャンバー06-SSDに入って、この部屋に保管しているSCP-1036-6に拘束された実体とインタビューをするつもりです。
モリソン博士: ありがとうございます。今から行おうとしていることについて説明してください。
ンジンガ: (記録失敗)
モリソン博士: フランソワ、すみませんけど、マイクに。
ンジンガ: 了解。まず最初に████を使います。これは……いわゆる「蒸留酒」ですね。これが私の精神を開け放つのを助けるわけです。催眠のようなものです。私はイワ (iwa)、つまりは魂を受け入れます。こうすることで安全にその実体と対話ができるのです。その後、SCP-1036-6を収容する容器を開けます。
モリソン博士: これは、あの、あなたの身に危険はないのですよね。
ンジンガ: (長い沈黙) 大丈夫です。
モリソン博士: では始めてください。
(約11分後)
モリソン博士: ンジンガさん、準備はいいですか。
(不明瞭な声が約2分間が続く)
ンジンガ: はい、博士。準備の間に応答することができず、申し訳ありません。今準備ができました。 (不明瞭な声) 今、金庫からSCP-1036-6を取り出しています。ンキシ (nkisi) と話をするためにSCP-1036-6の目を見ようとしているところです。これは…… (軽度の苦痛のうめき声) …… (この後対話が続く。明示した部分を除き、コンゴ語から翻訳したものである) 私はフランソワ・ンジンガ、█████████のシャーマンだ。お前は誰だ。俺はフーラ族 (Fula) のクムペンバ (KuMpemba) だ。この屑め。俺を出せ。さもないとお前を……。……礼儀正しく話せ。どうしてお前はこの中に閉じ込められているんだ。…… (猥語、直訳すると「山羊と性交する者」) の妖術師が俺を鉄で閉じ込めたんだ。俺を出したら誓おう、俺は……。……もう一度言う、礼儀正しく物を言え。何年前にお前は閉じ込められたんだ。……326年前だ、この (猥語、直訳すると「病んだ男性器」) の人間め。……どのような目的でお前は閉じ込められたんだ。……俺を閉じ込めた妖術師は俺の力をンロンゴ (nlongo) (おおよそ「薬」という意味) を作るのと、一族を災難から守るために俺を捕まえた。奴とその後継ぎはほとんどいつも俺をこき使ってきた。別の妖術師が俺を呪術に使うこともあったし、俺に奴の一族の領地を侵した人間を破滅させたこともあった。まあ面白くもあったが、そのときも囚われの身だったわけだ。ここはどこなんだ。森の臭いがしないぞ。……私の前にあるこの物体は保安施設に移されたんだ。どうやったらお前の力を使ってンロンゴを作ることができるんだ。……どうして俺がそんなことをするんだ、この (猥語、直訳すると「カバの糞を食べる者」) めが。お前なんかが俺にやり方を教えるように命令できるってか、 (猥語、直訳すると「ヒルを自分の肛門につけなさい」) 、この無知蒙昧の (翻訳不能な猥語) 。俺をここから出せ。ガラスの壁の後ろにいるのは誰だ。……気にするな。私が話しかけたときにだけ応答すればいいんだ。お前はいつ……(むせび声)……。
モリソン博士: ンジンガ、大丈夫か。
ンジンガ: 私は……待て……見るな……。
モリソン博士: フランソワ、今すぐ出してやるぞ。ビル、部屋を開放するんだ。
エージェント・ロペス: ンジンガさんは前にそうするなと……。
モリソン博士: きっと彼は舌が喉に詰まっているんだ。彼は手当てが必要なんだ。フランソワ……。
ンジンガ: (コンゴ語で) 見……見るな……。

(扉を開ける音と不明瞭な声)

(映像記録には、モリソン博士はンジンガ氏に対してトリアージを試みている最中にSCP-1036-6と目を合わせ、その後、勢いよくSCP-1036-6によろめきかかり、釘の1本を引き抜こうとするも、エージェント・ロペスに鎮圧される様子が記録されている。ンジンガ氏は回復すると観察室を退出している。ンジンガ氏はSCP-1036-6内の霊的実体に対するSCP-1036-6の拘束に損傷はないと報告しているが、モリソン博士の鎮静状態を保つことを推奨している。)

補遺2:

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SCP-1036-2、-3および-4 (財団に回収される前に1902年に撮影された記録写真)


19██年██月██日のインタビュー記録 (イベント・カラジマ-1)
<記録開始>
トルヴァルドスドッティル博士: 記録開始。エージェント・リー、あなたからSCP-1036-2、-3および-4の喪失についての報告を受けたいと思います。我々はこの出来事をイベント・カラジマ-1と指定しています。
リー: 喪失……糞。我々は南東棟で何もかも失ったのか。何人助かったんですか。
トルヴァルドスドッティル博士: 3人です、あなたを含めてね。でも、あなただけなんです、その、話が聞けそうなのは。記録のためにあなたから事の詳細を聞く必要があるのです。
リー: 了解。そうですね、Dクラス職員がSCP-1036-3の入っている箱の点検役を交替したんです。
トルヴァルドスドッティル博士: D-4933ですか。
リー: そうです。通常の維持規約では当直の祈祷師が最初に光る部分にカバーをつけて、その後に点検をすることになっていました。本来はピエール・コンヴームが担当する予定だったと思うんですけど、娘さんが産気づいたということで不在だったんです。それで、テリーの判断でD-4933を目隠しして収容室に送り込むことにしたんです。
トルヴァルドスドッティル博士: SCP-1036-3内の実体による影響に対する対抗策ということですか。
リー: ええ、そうです。以前にも同じことをしたのです。ジーン・バンバ……、そう……、彼が仕事をやめたときと、ピエールが参入したときの間にです。
トルヴァルドスドッティル博士: その後何が起こったのでしょうか。
リー: 前に言ったとおり、D-4933は目隠しをしていました。それで、彼は温度計を探すために箱の内部を手で探っていたのですが、そのときに彼はあの小像にぶつかったか何かしたに違いありません。それで釘が抜け落ちてしまったのです。その後、D-4833はのたうち回り始めました。彼は自分が火か何かにまかれているかのように叫び声を上げながら腕を振り回して、そのせいでSCP-1036-2とSCP-1036-4の箱を押し倒してしまったんです。それで、私はすぐに収容室の扉を外部から封鎖して、観察窓のブラインドを閉じるためのボタンを押しました。
トルヴァルドスドッティル博士: 何かが収容室から出てきたのでしょうか。
リー: いえ、扉は封鎖していましたから。ただ、エージェント・クノールが私の隣にいたのですが、彼が自分の頭を観察窓にぶつけ始めたんです。何度も何度も。窓ガラスと血がそこら中に飛び散るまで。その後、ディピアノ博士が事務所の端の方にいたのですが、発作のようなものを起こして、それで自分の指を食いちぎり始めて……。
トルヴァルドスドッティル博士: あなたが管理局に退却したのはそのときでしょうか。
リー: ええ……確かそうだったと思います。南廊下を通ってチェックポイントCに行ってブラストドアを閉鎖しようとしました。そこにはエージェント・マイフロフスキーがいました。彼は、うう、自分の目とお腹に鋏を突き刺していました。彼は「キンドキ」というようなことを叫んでいました2。……私は誰かが自傷行為をするのを防ぐためにスプリンクラーと全身麻酔呼吸装置を起動しようとしました。数分後に私は気を失ったので起動には成功したのだと思います。
トルヴァルドスドッティル博士: 記録によれば、装置は18時37分20秒にオンラインになったようです。
リー: あ…… (苦痛のうめき声) ……あの、ピートは助かったのでしょうか。
トルヴァルドスドッティル博士: ピート……えっとですね…… (紙をめくる) ……残念ですが。エージェント・フォイの遺体は車庫で発見されています。死因は……ガソリンを2リットルほど飲んだことが原因のようです。ところで、あなたは意識を取り戻した後に何をしたのでしょうか。
リー: 私は……私は意識を取り戻した後、肩の傷に包帯を巻きました。誰かが私の肩にかじりついたみたいです。その後、私はSCP-1036の収容室に戻りました。あの像は粉々になっていていました。D-4933は自分の体にたくさんの釘を打ち付けていたみたいです。あの、博士、像の中にいたあいつらは、皆に……あんなことをさせたあいつらは、まだここにいるのでしょうか。
トルヴァルドスドッティル博士: そうですね……うん……その兆候はありませんね。機動部隊ミュー-13に確認してもらいましたが、異常なしとのことです。
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