アイテム番号: SCP-1037-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1037-JPはサイト-81██の標準収容ロッカーに収容されます。実験の際に使用する写真については、サイト管理者の許可が下りた物のみ使用してください。
説明: SCP-1037-JPはベニヤ製、L判サイズ(約127 × 89 mm)の写真立てです。このオブジェクトに紙焼き写真を飾ることで異常性が発揮されます。
このオブジェクトに飾られた写真を視認した者(以下、"観測者")は、その被写体に対して懐旧と喪失の感情を覚えます。また、観測者は被写体がいかにして失われたかについての知識を得ます。複数の観測者が被写体を視認した場合も、得られる知識は同一のものとなります。特筆すべき点として、観測者が得た感情と知識は、財団の保有するいかなる記憶処理法によっても消去(または上書き)することが出来ませんでした。
実験記録1037-JP-1 - 日付████/█/█
実験担当者: ██研究員
観測者: D-852
被写体: D-136
実験内容: D-136を被写体とした写真をSCP-1037-JPに飾り、D-852に視認させます。D-136は別サイトにて雇用されており、過去においてD-852とD-136に交流・面識はありませんでした。本実験において、D-852にD-136に関する事前情報は一切与えられていません。D-136は本実験が行われる以前に、別の実験にて消費され、死亡しています。
実験結果: 以下のインタビュー記録1037-JP-1を参照のこと。
インタビュー記録1037-JP-1 - 日付████/█/█
インタビュアー: ██研究員
インタビュー対象: D-852
(SCP-1037-JPに飾られたD-136を被写体とした写真を視認した直後、D-852は嗚咽し涙を流し始める)
██研究員: どうしました、D-852?D-852: (つぶやくように)可哀そうにな。
██研究員: なんですって? もう少し大きな声で話してください。
(D-852は数分応答せず咽び泣き続ける)
██研究員: D-852。聞こえていますか?
D-852: 確かに、善人ではなかった。だが、どんな人間だろうと、あんな死に方をしていいものじゃない。
██研究員: その写真に写っている、D-136について話しているのですか?
D-852: (語気を強めて)あいつをそんな番号で呼ぶな。███1という名前があるだろう。
██研究員: D-136がどのように死んだか、知っているのですか?
D-852: お前たちが殺した。
██研究員: 詳しくお願いします。
D-852: わかりきっていたはずだ、あんな実験をすれば死ぬことぐらい。あんな化け物の前に、1人で、立たされて。
(再び、D-852は数分応答せず咽び泣き続ける)
██研究員: D-852?
D-852: 何も残らなかった。
D-852の語るD-136の死亡時の状況は、実際のものに即していました。D-852は何らかの手段によってD-136の死亡状況の知識を手に入れたようです。
実験記録1037-JP-2 - 日付████/█/█
実験担当者: ██研究員
観測者: D-852
被写体: D-644
実験内容: D-644を被写体とした写真をSCP-1037-JPに飾り、D-852に視認させます。D-644は別サイトにて雇用されており、過去においてD-852とD-644に交流・面識はありませんでした。本実験において、D-852にD-644に関する事前情報は一切与えられていません。
実験結果: 以下のインタビュー記録1037-JP-2を参照のこと。
インタビュー記録1037-JP-2 - 日付████/█/█
インタビュアー: ██研究員
インタビュー対象: D-852
(SCP-1037-JPに飾られたD-644を被写体とした写真を視認した直後、D-852は居住まいをただし、写真を凝視しました)
D-852: ああ、████2さん。██研究員: その写真の主について、何か知っていますか?
D-852: 誇りに思う。俺たちは感謝すべきだな。
██研究員: どういうことですか?
D-852: 男なら、彼のように死にたいね。
██研究員: D-644は死んでいるのですか? どのように死んだのです?
D-852: 逃げなかった。怖かったろうに。俺ならどうしたかな。
██研究員: どうか詳しく説明してください。
D-852: 引き返して、再起動ボタンを押した。簡単に言えばそれだけだが、それができたのは彼だけだった。まったく、大した男だよ。
██研究員: それでどうして死んだのですか?
D-852: 道中、死ぬほどひどい目にあって、それで死んだ。それでも、やり遂げた。すげえよな。
本実験を行った時点で、D-644は何事もなく存命です。現在のところ、本実験の評価は保留中です。インシデント1037-JP-1発生につき、SCP-1037-JPに未来を予見する能力があることが示唆されました。詳細は添付ファイルの事案1.logを参照のこと。
実験記録1037-JP-3 - 日付████/█/█
実験担当者: ██研究員
観測者: D-852
被写体: エージェント・██
実験内容: エージェント・██を被写体とした写真をSCP-1037-JPに飾り、D-852に視認させます。過去において、D-852とエージェント・██に交流・面識はありませんでした。本実験において、D-852にエージェント・██に関する事前情報は一切与えられていません。エージェント・██は████/██/█にGoI-████3の拠点を探索中に行方不明となっています。
実験結果: 以下のインタビュー記録1037-JP-3を参照のこと。
インタビュー記録1037-JP-3 - 日付████/█/█
インタビュアー: ██研究員
インタビュー対象: D-852
(SCP-1037-JPに飾られたエージェント・██を被写体とした写真を視認した直後、D-852は薄く微笑みました)
D-852: ほう。██研究員: その写真の主について、何かわかりますか?
D-852: お前らの仕事もそれなりに大変だよな。
██研究員: どういうことですか?
D-852: こいつは苦しんで死んだ。嫌だね。
██研究員: どのように死んだのですか?
D-852: 拷問。相当憎まれてたんだな。えらく楽しそうにやられて。
██研究員: 拷問を受けた場所はわかりますか?
D-852: 住所ってことか? それなら、[編集済]。
██研究員: ほかに何かありますか?
D-852: 最後まで口は割らなかった。偉いやつさ。勲章でも贈るかい?
D-852の語った住所でエージェント・██の物とみられる致死量の血痕と少量の肉片を発見しました。
実験記録1037-JP-4 - 日付████/█/█
実験担当者: ██研究員
観測者: D-852
被写体: ██研究員の子供時代の写真より、クマのぬいぐるみ部分をトリミングしたもの
実験内容: クマのぬいぐるみを被写体とした写真をSCP-1037-JPに飾り、D-852に視認させます。本実験において、D-852にクマのぬいぐるみに関する事前情報は一切与えられていません。クマのぬいぐるみは本実験時点ですでに失われており、どのような過程で失われたかについて所有者であった██研究員も知識を所持していません。
実験結果: 以下のインタビュー記録1037-JP-4を参照のこと。
インタビュー記録1037-JP-4 - 日付████/█/█
インタビュアー: ██研究員
インタビュー対象: D-852
(SCP-1037-JPに飾られたクマのぬいぐるみを被写体とした写真を視認した直後、D-852は微笑みました)
D-852: ああ、██ちゃん。██研究員: 名前をご存じなのですね。
D-852: もちろん。
██研究員: そのクマのぬいぐるみについて、何かわかりますか?
D-852: 持ち主の女の子には、とてもかわいがられてたんだ。どこに行くにも一緒で。ショッピングモール、映画館、歯医者にだって。
██研究員: (数秒の間)そうですね。
D-852: 公園にも連れて行かれた。女の子が小学校に上がったころだ。そこに偶然、彼女のクラスメートがいたんだ。そこで女の子は友達と2人で、日が暮れるまでとても楽しく遊んだ。そうして、バイバーイと手を振って家に帰ったんだが、その時に持って帰るのを忘れられてしまった。薄情なもんだな。
██研究員: そうでしたか。
D-852: 覚えてないのか? お前のことだぞ。
D-852の語った内容について、一部は正確であると保証できます。ただし、失われた状況については記録が存在しないため、正確であると断言することは出来ません。
補遺: 添付ファイル