アイテム番号: SCP-104-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-104-JPはその性質から物理的な封じ込めが不可能であり、また[編集済]の存在を社会から根絶した際の文化的影響への配慮から完全な無力化も現在望ましくないとされています。SCP-104-JPへの対処は、SCP-104-JP現象発生後の被害者の確保、関係者への記憶処理、可能であれば被害者の治療及び解放(不可能である場合は即座に終了)という実際の事象への対策。並びに杏仁豆腐と[編集済]の両方を調達可能な国家の文化面に対する誘導によって、杏仁豆腐と[編集済]が同時に食される可能性を可能な限り減らしてください。
現在、各財団支部の協力の下、中国、韓国、オーストラリア、アメリカ、ベトナム、トルコ、ハンガリー、日本で食文化の監察と誘導が実行されています。特に日本は最もSCP-104-JP現象の発生例が多いため、より大々的な誘導が行われていることに留意してください。
SCP-104-JPに関係する発見または著作物に対する情報統制・記憶処理には、特別に専任対策チームを以てあたってください。
確保された被害者は通常規格の対放射線設備内で遠隔操作の耐線ノズルを用いた反応物質の取り出しを行った後、無菌室に隔離し治療してください。取り出した反応物質は特殊有害物質除去プロトコルに従い処理してください。
説明: SCP-104-JPは一般的な調理法によって製造された杏仁豆腐と[編集済]を約40分以内に、同一人物が同時摂食した場合に発生する不可思議な化学反応です。杏仁豆腐が、その製造過程で獲得した現代では未分類のセルロースと、加熱後の[編集済]が保温状態の継続によって獲得する未知の金属物質が、胃腔内の塩酸物質とヒスタミンの媒介によって急激に化学反応を発生させた状態がこれに該当します。
反応を開始した杏仁豆腐と[編集済]は瞬間的に燃焼しますが、その熱エネルギーは胃腔内ガスと反応物自体が排出する不純物が反応して形成される粘膜の影響により、内側へと向けられます。そのため被害者は反応が最終段階に入るまで異常に気付きません。
粘膜は、反応物内部に蓄積されていく熱エネルギーの影響によって、おおよそ7分後に結合の臨界点を迎えます。臨界点を迎えた粘膜は均一に縮小し、結果、内部の反応物に対して均一に高い圧力を与えることとなり反応物の爆縮を誘引します。
この時点で反応物内部の熱エネルギーは極めて不安定な状態になっているため、この爆縮によって一挙に反応物は高温・高密度化し、核融合反応を発生させます。爆縮に伴う破壊的な余波は、爆縮と同時に高密度化し硬化した粘膜によって防がれ、粘膜は破壊されますが被害者へは微々たる影響しかもたらしません。
爆縮後、反応物は最終段階に入り、それ以降は完全に核融合反応を安定して行い続けます。SCP-104-JPでは未知の理由から、通常のD-T反応に必要とされる約1億度よりも遥かに低温である███℃で反応が維持されます。
SCP-104-JPの原因となる杏仁豆腐は、アンズ類の種子を用いたものでもアーモンドの種子を用いたものでも同様の核融合反応を誘引しました。[編集済]の場合も同様の実験結果が出ています。更に、条件を再現した状態での実験では核融合の発生を確認出来なかったことから、胃腔内という環境がSCP-104-JPに対して与える影響について未知の要素が存在すると考えられています。
杏仁豆腐と[編集済]のどちらもが古くから人間社会の食文化に存在していながら、SCP-104-JPが近年まで発見されなかったのは、杏仁豆腐と[編集済]が異なる文化圏で発生した食品であることが原因とされています。また、近年にその発生が確認された原因は、流通と社会の国際化に伴う混合的な食文化の形成傾向にあるとされています。
それでも、SCP-104-JPの報告例が世界でも極めて稀であるのは、杏仁豆腐と[編集済]を同時に食すことが一般的には「好ましくない」嗜好と見なされているからであると考えられています。
補遺: SCP-104-JPは意図的な発生が容易であるのに対して絶大な効果を生じさせる点が懸念され、[編集済]に関する情報が当該オブジェクトの担当研究員以外には制限されることとなりました。担当研究員が[編集済]の情報を得る場合は、先任または他の担当研究員から口頭で説明を受けるようにしてください。
これは本当に我々が管理すべきモノなのかな? 単なる科学的な大発見なんじゃないのか? ──███研究補佐
食べ合わせが悪いと胃の中で核融合が起きる。そんな馬鹿げたことをどうやって一般社会に受け入れさせる気だ。 ──██博士
確かにSCP-104-JPは「未知である」だけで、相対性理論や二元論と同じく有用なものなのかもしれない。
だがSCP-104-JPは今の人間社会にとっては特殊すぎる。特殊なものに対する驚き、恐れ、狼狽、そして画策。SCP-104-JPは悪用されやす過ぎる。しかも悪用に対して、今の社会は十分な対策を立てられていない。いや、立てようとする気さえ起きていない。
忘れるな、財団が存在する理由を。SCP-104-JPは今の人間には過ぎた贈り物だ。間違っても、我々の敵、そして味方にもその秘密を渡してはならないのだ。──█ ███博士