SCP-1047-JP
評価: +67+x
blank.png

アイテム番号: SCP-1047-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1047-JPの各個体は強化プラスチック製のケースに収容し、食餌として機密性のない文書を印刷したA4用紙を1匹につき1日6枚与えてください。SCP-1047-JPの収容個体数は1種類につき5体を上限とし、実験により余剰分が生じた場合は焼却処分してください。

説明: SCP-1047-JPは、握り寿司に用いられる食材に酷似した生物の総称です。██県██市での「出前の寿司が動いた」という通報により発見・収容されました。寿司を提供した企業について調査を行いましたが異常は発見されず、SCP-1047-JPの起源は不明です。
SCP-1047-JPは外見の異なる複数の種がありそれぞれSCP-1047-JP-1、2、3、4、5に分類されていますが、現在外見以外の性質の差異は見つかっていません。以下は、SCP-1047-JPの種類ごとのリストです。


SCP-1047-JPは全身がほぼ均一な筋肉質で、内臓や感覚器などは確認されていません。また、検査の結果によると外見から想起される魚介類ではなく人間に近いDNAを持ちます。SCP-1047-JPは「データ」と呼称できる概念を消費することで活動エネルギーを得ていると考えられます。消費可能なデータは絵画や文字などの紙面上のものから、画像、音声、動画などの電子データまで多岐にわたります。SCP-1047-JPがデータを消費した際、紙面上のものであれば塗料が滲んだように広がり、電子データの場合はファイルが破損し、いずれの場合も元のデータは復元不可能になります。
SCP-1047-JPの体内及び体表には、タンパク質からなる未知の物質(以下、SCP-1047-JP-A)が微量に含まれています。SCP-1047-JP-Aは人間に対し、筋肉の成長を促す作用を示します。また、消費したデータが鮮明であればあるほど、一時的にSCP-1047-JPの体内のSCP-1047-JP-Aの量は増加します。
データの消費を行っている最中以外では、SCP-1047-JPは以下のような行動を積極的に行っています。
  • 身体の一端を固定し、全身の曲げ伸ばしを繰り返す
  • 全身を使って飛び跳ね回る
  • 別個体と体を絡ませ合う
  • 物体を引き裂いたり折り曲げるようにして破壊する

これらの動作を行う際、床面や別個体などを不明な原理により体表に非常に強く吸着しています。動作内容やSCP-1047-JPの身体的特徴から、これらの動作には筋肉を増強する意図があると考えられています。
実験記録-1047-JP-I

対象: SCP-1047-JP全個体。

実施目的: SCP-1047-JPの知能の調査。

実施方法: 知恵の輪(太さ5mmの鉄製の棒を折り曲げた構造)をSCP-1047-JPに与える。

結果: 折り曲げたり引き延ばしたりするように知恵の輪を変形させた。2つのパーツを分離させようとするような動きを見せた個体はなかった。

分析: 一応、想定内です。-鈴木博士

実験記録-1047-JP-II

対象: SCP-1047-JP全個体。

実施目的: SCP-1047-JPの知能の調査。

実施方法: 知恵の輪の解法を図示した紙をSCP-1047-JPに与えてから知恵の輪を与える。

結果: 全ての個体が知恵の輪を変形させて2つに分離することに成功した。

分析: 「外す」という目的自体は理解できたようですが、立体的な図を読み解いて記憶するのは難しいようです。-鈴木博士

実験記録-1047-JP-III

対象: SCP-1047-JP全個体。

実施目的: SCP-1047-JPの習性の調査。

実施方法: 醤油の入った小皿をSCP-1047-JPの近くに置く。

結果: 全ての個体が小皿の近辺に移動し、平行に整列した。

分析: 寿司または刺身として摂食されるための行動でしょうか。また、離れた位置にいる個体も醤油に反応したので、SCP-1047-JPは嗅覚を持つと考えられます。-佐藤研究員

備考: 実験中に担当者が「美味しそう」と発言した際、SCP-1047-JP全個体が一斉に動きを止めた。その後の検証により、「美味しそう」「食べたい」「いただきます」等の言葉に反応して動きを止める習性が確認された。

実験記録-1047-JP-IV

対象: SCP-1047-JP全個体。

実施目的: SCP-1047-JPの習性の調査。

実施方法: SCP-1047-JPを箸で掴む。

結果: 箸で掴まれるている間、SCP-1047-JPは身動きを止め、放すと1分後に再び動き出した。

分析: 実験-Iの結果と同様に、普通の切り身のように振舞い摂食されようとしているように思えます。-佐藤研究員

実験記録-1047-JP-V

対象: SCP-1047-JP全個体。

実施目的: SCP-1047-JPの身体強度の調査。

実施方法: 省略。

結果: 1500kPa以上の圧力に耐えた。

分析: 人間の顎の力で噛み切るのはほぼ不可能です。噛み切れないなら食べられませんね。-佐藤研究員

インタビュー記録-1047-JP

インタビュアー: 佐藤研究員

対象: SCP-1047-JP-1

付記: SCP-1047-JPが「意味のあるデータ」のみを消費すること、「美味しそう」などの発言に反応することなどから、SCP-1047-JPが日本語を理解できると推測されたためインタビューを行いました。インタビュアーの口頭での質問に対しSCP-1047-JPにローマ字専用の入力装置を用いて解答させました。また、インタビュアーの後方で研究主任の鈴木博士が待機しています。

<録画開始>

インタビュアー: インタビューを開始します。

SCP-1047-JP: [解答入力装置のボタンを乱雑に押す]

インタビュアー: そちらの装置を使用して解答してください。使用方法はわかりますか?

SCP-1047-JP: すし たべて

インタビュアー: 大丈夫そうですね。では最初の質問です。あなたは寿司として食べられることを望んでいるように思えますが、その理由を教えてください。

SCP-1047-JP: おいしい すし

インタビュアー: あなたの体には正常な寿司に含まれる脂身やうまみ等は存在しませんし、何よりあなたの身体強度では明らかに食用には適していないと思います。そのことについてはどうお考えですか?

SCP-1047-JP: たべて

インタビュアー: [鈴木博士に助言を求める。]

SCP-1047-JP: [10秒間静止した後、身体の一端を固定して全身の曲げ伸ばしを繰り返す。]

インタビュアー: [インタビューの終了を提案したが鈴木博士は質問形式の変更を指示。約2分間議論を交わす。]

インタビュアー: えー、失礼しました。鍛錬中のところすみませんがインタビューを再開します。あなた達は[寿司店名]の商品に混入していましたが、そこで生み出されたのですか?「はい」「いいえ」「わからない」のいずれかを入力してください。

SCP-1047-JP: すしすし

インタビュアー: あなたが筋力トレーニングのような動作を日常的に行うのは、寿司として食べられるためですか?そうであれば「すし」、そうでなければ「たべて」と入力してください。

SCP-1047-JP: おいしい たべて すし

インタビュアー: [溜め息]インタビューを終了します。

SCP-1047-JP: すし

<録画終了>

終了報告書: 日本語を理解する能力があるのは間違いなさそうですが、質問に答える意思がないようです。また、やはり寿司として摂食されることを望んでいるようです。-佐藤研究員

実験記録-1047-JP-VI

対象: SCP-1047-JP-1とD-6291。

実施目的: SCP-1047-JPが摂食されようとする理由の解明。

実施方法: SCP-1047-JP-1をD-6291に摂食させる。

結果:
12:02: 実験開始。D-6291が噛んだ瞬間SCP-1047-JP-1がのたうつように動き始める。驚いたD-6291はSCP-1047-JP-1を強く噛み締め続ける。

12:05: D-6291の前歯が折れた拍子にSCP-1047-JP-1が口内に完全に入り込む。D-6291は激しく咳込んだのちに吐血し、意識を失う。後の調査によれば、このときSCP-1047-JP-1はD-6291の体組織を引き裂くようにして頭蓋内へ侵入したとみられる。

12:07: SCP-1047-JP-1がD-6291の脳を[削除済み]。

15:28: D-6291が意識を取り戻す。インタビューを試みるも、重度の混乱と記憶の混濁がみられ、会話が困難であったため中断。

15:46: D-6291が落ち着きを取り戻したためインタビューを再開。記憶障害が進行しており、自身の現状・経歴等を完全に忘却しており、インタビューの最中にも記憶の消失を確認。

16:00: インタビューを終了。最終的にD-6291は、語順等の日本語の文法に関する記憶を失い始めていた。

17:55: 実験担当者の呼びかけに対し、D-6291は喃語2のような返答しかしなくなった。

18:30: 血液検査を行ったところ、D-6291の血液中から高濃度のSCP-1047-JP-Aが検出された。

19:04: D-6291の全身の筋肉が膨張し始める。

21:21: D-6291の全身の筋肉が不規則に脈動し始める。

22:18: D-6291の表皮を突き破り、複数のSCP-1047-JP-1が出現。

22:29: SCP-1047-JP-1の出現が止まる。出現したSCP-1047-JP-1は合計196体。

分析: SCP-1047-JPが摂食されようとするのは、SCP-1047-JP-Aと人間の筋肉を利用した繁殖のためであると考えらます。-鈴木博士

備考: D-6291は全身のほぼ全ての筋肉を失っており、記憶の回復も困難であると判断されたため終了されました。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。