SCP-1072-JP
評価: +108+x
blank.png
立ち返る

収容初期段階のSCP-1072-JP(SCP-1072-JP-1)

アイテム番号: SCP-1072-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1072-JP個体はサイト-81██の飼育室に収容されます。現存する生物と同様の範囲で収容を行うことができます。1日3回、適したサイズの昆虫類や魚肉を摂取させてください。飼育室内の環境を熱帯雨林のものに近づけるために、室内は高湿度に保たれます。また、SCP-1072-JP個体に応じて室内の二酸化炭素濃度は調整されます。遊泳用の淡水池の水は3日に1回の頻度で取り替えてください。

説明: SCP-1072-JPは過去改変もしくは現実改変能力を有するクサガエルの個体(発見当時)です。当初は"瞬間的に体重と外見が変わるクサガエル"として20██/██/23に発見され、Anomalousアイテムとして収容されていました。もともとはアフリカ大陸█████共和国の熱帯雨林地域で捕獲された個体で、財団内で実験に使用される予定でした。

収容開始から約1か月後の20██/██/22にクサガエルが突如変異し(事案1072-1)、その異常性が明らかになりました。

変異によって、個体は黄緑色かつ小型のカエルから茶色と白のマダラ模様が見られる大型のカエルとなりました。しかしながらこの個体は現存するどのカエルにも性質が一致しませんでした。外見、骨格、体重や摂取していた昆虫の種類などのデータを参照した結果、生物研究チームはこの個体を白亜紀1後期に生息していた"ベールゼブフォ"、もしくはその仲間であると結論づけました。

ベールゼブフォは現在からおよそ7500万年前、地質年代においては白亜紀後期に存在していた種ですでに絶滅しています。また現存の無尾目2の祖先であると考えられています。

事案1072-1の発生後に個体はSCP-1072-JPとして収容され、その特異性に関して以下の仮説が提唱されました。

・SCP-1072-JPが現実改変能力を有し、約1か月のスパンで自らの形質を直系の祖先のものに変異させている。
・SCP-1072-JPが過去改変能力を有し、約1か月のスパンで自らと古代に生息していた祖先の1個体を時空を超えて入れ替えている。
・SCP-1072-JPは現象系のオブジェクトであり、生物において発生するものである。その特異性は上記2つのいずれかと同様である。

ベールゼブフォ個体が現存しない昆虫類を捕食し体内に有していたことから、1つめの仮説の信憑性は低いと考えられています。このオブジェクトが個体であるのか現象であるのかということについてはさらなる議論が必要となります。収容の都合上初期のクサガエル個体をSCP-1072-JP-1、ベールゼブフォ個体をSCP-1072-JP-2、今後出現すると予想される個体をSCP-1072-JP-Xと呼称することに決定しました。また、この段階で特別収容プロトコルが制定されました。

補遺-事案1072-2: 事案1072-1発生から約1か月後の20██/██/25にSCP-1072-JP-2個体が変異し(事案1072-2)、SCP-1072-3個体が出現しました。体長が10cmで、カエルと似た頭を有しつつも長い胴体と短い尾を持っていることから、生物研究チームはこの個体を三畳紀において生息していた"トリアドバトラクス"であると結論づけました。

トリアドバトラクスは現在から約2億5000万年〜1億9000万年前の中生代三畳紀において分布していた両生類で、現在の無尾目の直系の祖先だと考えられています。進化の過程にあったためにジュラ紀3以降から現代までの無尾目と、古生代の両生類4との中間的な特徴を持つことで知られています。

事案1072-2の発生により、SCP-1072-JPは約1か月ごとに過去改変を起こして約1億1000万〜1億9000万年前の直系の祖先の個体と入れ替わるというようにオブジェクトの異常性を定義づけることができました。

補遺1072-1 記述日20██/██/07: オブジェクトの異常性は生物史研究に対し多大な利益をもたらすことができます。すでにSCP-1072-JP-2とSCP-1072-JP-3個体を調べ、現行の生物史と照らし合わせる研究を始めました。以下のようなことを確かめることができました。研究の全過程は文書1072-Aを参照してください。

・SCP-1072-JPが過去に遡っているとすれば地質年代の分類や古代生物の分布、進化に関する今までの研究は概ね正しいと言える。
・SCP-1072-JP個体が摂食していた昆虫類などを胃袋から取り出し資料として取得。また、摂食した植物を調べることでその年代の植生、各個体の活動領域等を特定した。
・本来の化石標本では知ることのできない、重量、皮膚、臓器の構造などの記録。

おそらく出現するSCP-1072-JP-4は前述の過程から約3億年〜4億年前に生息していた無尾目の祖先の個体だと予想でき、原始的な四足動物ではないかと考えられます。これに合わせてあらかじめ収容体制と収容室内の環境に少し変更を加えました。四足動物は魚類から両生類への進化の過程にあり、"生物の上陸"という生物の発展において大変大きな事象を行った生物のため研究の対象として高い期待がかけられています。

補遺-事案1072-3: 事案1072-2から予想どおり、約1か月後の20██/██/23にSCP-1072-JP-3個体が変異(事案1072-3)し、SCP-1072-JP-4個体が出現しました。

SCP-1072-JP-4個体は明らかに四足動物であり、その骨格や外見の特徴から古生代デボン紀5に生息していた"イクチオステガ"であると断定されました。

イクチオステガは今から約3億6700万〜3億6250万年前、デボン紀の末期に存在していた四足動物です。体長は1〜1.5mで大型です。両生類として陸上と水中の両方で生活することができ、重力に耐えられるよう肋骨などが発達しているのが特徴です。

SCP-1072-JP-4個体の調査は今までと同じように行われ、個体の要素は現行の生物史のものとほぼ合致しました。イクチオステガに対する調査内容の詳細は文書1072-Aを参照してください。またSCP-1072-JPに対する仮説はほぼ正確なものであるとみなすことができるでしょう。

SCP-1072-JP-5個体は今から約4億〜5億年前の無尾目の祖先であると考えられるため、両生類になる前の古代の魚類であるという予想が立てられました。万が一個体が陸上に出現すれば個体が死滅しオブジェクトが喪失してしまう可能性があるため、すぐに水中に移動できるよう、SCP-1072-JP-4個体を常時側で監視することに決定しました。

補遺-事案1072-4: 前事案の約1か月後、20██/██/25にSCP-1072-JP-4個体が変異して、事案1072-4が発生しました。出現したSCP-1072-JP-5個体は魚類ではなく、体長1█m、2つの頭部を持ち六足で歩行する、黒色の皮膚を持った爬虫類のような生物でした。眼球が認められない未確認の生物です。出現したSCP-1072-JP-5個体は側で監視に当たっていた担当職員█名を口と鋭利な牙で[編集済]して殺害、飼育室を破壊して収容を突破しました。さらにサイト-81██内で職員██名、博士█名、エージェント█名を殺害、破壊活動によりサイトに大きな被害を与えました。駆けつけた機動部隊が█名の犠牲を出しながらも銃弾によってSCP-1072-JP-5個体を損傷させ、停止させることに成功しました。個体の激しい損傷にもかかわらず生体反応が見られることから個体の脚部を切断し捕縛、コンクリート壁の収容室を用意して再収容しました。

SCP-1072-JP-5個体はコンクリート壁の部屋の中で本体に有刺鉄線を巻きつけて固定され、常時監視されています。SCP-1072-JPのKeterクラスへの再分類は現在申請中です。これから出現するSCP-1072-JP-6個体に対して最大限の準備が必要となります。SCP-1072-JPの発生を遅らせる、もしくは停止させることは当オブジェクトの収容における最優先事項です。

4億年前に一体何があったんだ?我々の進化論は間違っていたのか? -O5-2

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。