SCP-1075影響者たちの間におけるSCP-1075-1の人気の高さを踏まえ、財団による初期の収容試行は、この世論を逆転させて、SCP-1075-1に関する公共知識が広まるのを制限することを重視していました。パゴサ・スプリングスの観光事業を利用し、観光客を装った数名の財団エージェントがSCP-1075-1に攻撃されたと訴えました。最初の数回の非難は不適切に処理されたものの、現地法執行機関は訴えが積み重なるにつれて、より真剣にこの問題を見るようになりました。
2013年3月8日、警察官たちはSCP-1075-1の名目上の住所へ移動し、24分間パトカーの車内に留まりました。これに続いて、警官たちはSCP-1075-1を拘留したと現地警察署に報告し、帰還しました。この出来事は表面的には何事もなく進行しましたが、その後の起訴状にはSCP-1075-1が逮捕に抵抗したことに対する罰金についての記述が含まれていました。
この一件は、観察可能な出来事を一切起こさずに、現地の刑事司法制度に則って処理され始めました。最終的に司法取引が合意に達し、加重暴行への罰金は取り下げられました。SCP-1075-1は6ヶ月間の執行猶予を受けました(6ヶ月と1日の自宅軟禁)。
現地におけるSCP-1075-1の人気は現在監視されています。SCP-1075-1について新たに生成された記憶において以前の人気が取り戻されつつある場合、より抜本的な対策が許可されています。
ラムダ-4作戦の成功を受けて、後日数名の地域住民にインタビューが行われました。一人を除き、全員がラムダ-4作戦によってSCP-1075-1に関する見解を大幅に変化させていました。例外となる人物とのインタビューが参考のため以下に掲載されています。
日付: 2013年4月25日
質問者: エージェント スティーブンス
回答者: ジェニファー・スモール
場所: パゴサ・スプリングスの“グレート・チーズ・ダイナー”
エージェント スティーブンス: 本日はご同席頂き、有難うございます。
ジェニファー・スモール: 問題ないわよ。“サン”紙はアタシが子供だった頃、父さんがよく読んでたの。アタシの名前が載ってるのを見たらきっと喜ぶわ。
エージェント スティーブンス: その、実はアスペンソン氏についての話をお伺いしたくてですね。
ジェニファー・スモール: あら。
数秒の沈黙。
ジェニファー・スモール: その件に関してはあんまり話したくないわね。
エージェント スティーブンス: 何か問題でも?
ジェニファー・スモール: その…ただアタシが、高校の頃からヴィンスを知ってたってだけよ。学生時代から成績はオールAだった。それに、天文学の学位を捨てて高校で物理学を教えてるのよ。地元に恩返しがしたいんだって言ってたことがあるわ。
エージェント スティーブンス: それじゃ、今回の非難の件はかなり受け入れがたいものだと感じているんですか?
ジェニファー・スモール: まぁね。アタシは、彼の事を分かってると思う。何て言うのかな、本当に分かってるって感じなの。ヴィンスは優しい男よ。あの人たちを傷付けたなんて話はただただ信じられないのよね。
エージェント スティーブンス: 12件も事件が起こったんですよ。その全てが嘘という事は有りえないでしょう。
ジェニファー・スモール: そうとも言えないんじゃない? 彼らが言ったようなことを、ヴィンスが実際にやったとは思えないの。
エージェント スティーブンス: ボルダーから来た男性の件はどうなるんです? 彼は1週間も入院していたんですよ。
ジェニファー・スモール: アンタは正しいわ。私もその通りだって分かってる。でもヴィンスは、そんな事はしてないって言ってるのよ。
エージェント スティーブンス: 彼は何と言っているのですか?
ジェニファー・スモール: これ、新聞に載せないでもらえる?
エージェント スティーブンス: いいでしょう、それじゃオフレコで。
ジェニファー・スモール: ヴィンスは自分が囲まれてるって言ってたわ。家の近くに妙な奴らがいて、自分が怪物扱いされるように仕組んでるって。
エージェント スティーブンス: 元気でやっているという感じには聞こえないんですが。
ジェニファー・スモール: 元気なんかじゃないわよ。彼の心はボロボロ。何処の曲がり角にも自分を捕まえようとしている奴らが潜んでるんだって思い込んでるんだから。
エージェント スティーブンス: それについてあなたはどう思います?
ジェニファー・スモール: 多分、精神が参ってるんだと思う。きっと助けを必要としてるのよ、犯罪者みたいに扱われてたら良くなりっこないわ。
エージェント スティーブンス: 貴方が希望するなら、記事にすることもできますよ。
ジェニファー・スモール: いいえ、記事には何も加えてほしくないの。ごめんなさい。
エージェント スティーブンス: 別に構いませんよ。煩わせてしまい申し訳ない。
ジェニファー・スモール: いえ、別に…煩わされてなんかいないわ。でもね、ヴィンスは幾つか妙な事も言ってたのよ。その…アタシのために、何かしら調べてもらえる? 彼が言ってることに、少しでも信憑性があるかどうかを。
エージェント スティーブンス: 試みてはみます。
ジェニファー・スモール: ヴィンスはね、自分を囲い込んでる奴らが地所に建てた建物の中に居るって言うの。そこに行けば、自分が言ってることが真実だと証明するための証拠があるって。
エージェント スティーブンス: えー…そうですか、それじゃ確かめに行きますよ、ええ。それは何処にあるというお話でしたか?
ジェニファー・スモール: 地所に建ってるってだけ言ってたわ。彼に話をしに行けば、すぐ連れて行ってもらえると思うわよ。
エージェント スティーブンス: それじゃぁ…そうしてみます。
ジェニファー・スモール: どうもありがとう。ヴィンスの事はすごく気に掛けてるわ。あんまり意気投合したことは無かったけれど…古い知り合いがいなくて寂しいのよ。
エージェント スティーブンス: 彼のために出来る限りの力を尽くします。ご同席頂き、どうも有難うございました。
ジェニファー・スモール: ありがとう!
このインタビューに続き、財団エージェントは遠い親戚を通じてメイン州の土地をジェニファー・スモールに遺贈した。相続の規模の大きさを受け、スモール女史はパゴサ・スプリングスから転居。その後のインタビューで、彼女は現在SCP-1075の影響から解放されていることが示されている。現在、SCP-1075-1に同情的なSCP-1075影響者は既に存在していないと考えられている。