SCP-1077-JP
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回収されたSCP-1077-JP

アイテム番号: SCP-1077-JP

オブジェクトクラス: Euclid Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1077-JPは不透明な衣類用ケースに収納した状態でサイト-8102の収容ロッカーに収容されます。取り扱いは必ず複数人で行い、実験時以外で目視・着用されることがないように注意してください。

SCP-1077-JP-Aは同サイトのレベルI防音機構を備えた暗室タイプの中型飛行生物収容チャンバーに収容されます。確保後、適切な安楽死処置を用いて非活性化されます。適宜SCP-1077-JPを回収し、素体は身元確認後にクラスB記憶処理を施して解放してください。研究の必要に応じてDクラス職員を用いてSCP-1077-JP-Aを作成することは可能です。その場合の収容プロトコルは担当研究者の指示に従ってください。

説明: SCP-1077-JPはデフォルメされたコウモリを模した簡易的な着ぐるみ1です。フード部分にはコウモリの顔および耳を模したパーツが、首元には赤色のリボンもしくは蝶ネクタイが縫い付けられており、腕部分の下側には胴体側面から繋がる赤色の翼、背面下部には先端が三角形になった尻尾が付いています。これは一般に流通している████社の製品と共通のデザインであり、素材表示はポリエステル100%とされていますが、材質分析の結果はコウモリ目(Chiroptera)の未知種の体毛が使われていることを示しています。縫い付けられたタグには社名の代わりに「Imaginanimal」との文字列が印刷されていますが、製造元の特定には成功していません。

非活性状態のSCP-1077-JPは、直接視認した人間の「これを着用することへの欲求」を増幅させる精神影響を有します2。SCP-1077-JPは人間に着用されることで活性化し、フード部分が着用者の頭部を完全に覆い始め、表面全体は肉体及び衣服と一体化していきます。この過程は2~4分間程度で完了し、着用者はその体格・重量を維持したまま、SCP-1077-JPのデザインに準ずる特徴を持つデフォルメされたコウモリ型の生物実体(以下SCP-1077-JP-A)へと変異します。この過程において着用者はより強い精神影響3の影響下にあり、抵抗する様子を見せません。変異後のSCP-1077-JP-A実体は飛行能力をはじめとしたコウモリ類に共通する能力を持ち自律的に行動しますが、着用者の人格との連続性は確認できず、通常の意思疎通は困難です。また、SCP-1077-JP-A実体は未知の形而上存在によるアクセスが可能な状態であると見られます。補遺2を参照してください。

確保済み個体およびDクラス職員を素体として作成されたSCP-1077-JP-A群の実験観察により、以下の性質が確認されています。

  • 光を嫌います。変異完了後すぐに光の極力届かない環境を探し、そこを住居とします4
  • エコーロケーション5のためか、頻繁に超音波を発します。この音波は人間の可聴域外ですが、曝露者は弱い不快感を報告しています。
  • 食性は哺乳類の血液であり、特に人間のものを好んで摂食します6
  • 直接視認した人間に「上記3つの性質を持たない、危険性のない生物である」と思わせる弱強度の認識災害を有します。この効果は他のSCP-1077-JP-A個体を含むコウモリ類全般にまで影響を及ぼしますが、クラスA記憶処理によって除去可能です。
  • 写真・動画・監視カメラ等による撮影が不可能です。全ての試みはただ実体が存在しないかのように空間が撮影される結果となりました。
  • これらの活動にもかかわらず、通常は3~10日のうちに衰弱死します。

SCP-1077-JP-Aが死亡し7、死骸のおよそ7割以上が一箇所に残存している場合、それは数分をかけて灰状の微粉末に分解され、そこから非活性化したSCP-1077-JPを着用した状態の素体が復元されます。この時点で着用者はほとんどの精神影響から脱しますが、着用前後~SCP-1077-JP-Aとしての記憶は欠落しており、また以降SCP-1077-JPの異常性の影響を受けず、生活圏に戻った後はこれを手放そうとする傾向にあります。結果、しばしばSCP-1077-JPは他人の手に渡り、新たなSCP-1077-JP-Aが発生することとなります。

SCP-1077-JPは、20██/10/31に長野県長野市において報告された「巨大コウモリに襲われた」との事案調査から発見されました。当時はSCP-1077-JP-Aの1個体(SCP-1077-JP-A-01)として確保・収容に至りましたが、その後の観察により異常性の中核がSCP-1077-JPにあることが判明して正式にSCPオブジェクト指定がなされ、フィールドエージェントによる近辺の捜索活動によってSCP-1077-JPとして4着・SCP-1077-JP-Aとして2個体8が追加で確保されました。

補遺1: 20██/11/21、Dクラス職員D-330649を使用したSCP-1077-JP-A個体の補充の際、これまでのSCP-1077-JP-Aと同形態ながらデータと一致しない性質を持つ実体が作成されました。確認された性質は以下に示します。

  • 光を嫌う様子はありません。暗室タイプの収容チャンバーには入ろうとせず、通常の光源下で活動を行います。
  • 食性は血液食ではありません。実験観察の結果草食と見られ、特に果実・花を好みます。
  • 超音波の発声及びエコーロケーション能力は認められません。可聴周波数域での鳴き声を発します。
  • 認識災害効果および撮影障害についてはこれまでに確認されたSCP-1077-JP-Aと同等です。則ち、認識災害の内容は実体の能力に一致しています。
  • 人間の存在を認識すると積極的に視認されるよう立ち回ります。それ以上の接触および危害を加えようとする様子はありません。
  • 20██/12/21現在、他のSCP-1077-JP-A実体と異なり衰弱死することなく安定して収容が維持されています9

現在この実体はSCP-1077-JP-A-06として定義されています。

補遺2: 20██/01/04、SCP-1077-JP-A-06が担当の野辺山博士に対して日本語での発話を行いました。

<会話記録/抜粋>

SCP-1077-JP-A-06: あの。あの。人間さん。ちょっとお願いが。10

野辺山博士: おお? ……と、あなたでしたか。会話もできるんですね。

SCP-1077-JP-A-06: ここから出してもらえませんか? 良くしてくださるのはいいんですが。誰にも見られませんと。ちょっと。

野辺山博士: すみませんが……いえ、まずあなたは何者なのか聞かせて頂けますか?

SCP-1077-JP-A-06: コウモリです。オオコウモリです11。人間さんたちの想像の中に住んでいます。

野辺山博士: あなたはD-330649では?

SCP-1077-JP-A-06: いえ。今喋っているのはこの人じゃないんです。この人には広告塔になってもらおうと思って。やっと僕たちを正しく知っている人が着てくれたので。

野辺山博士: 広告塔、ですか。それはオオコウモリについての、ですか?

SCP-1077-JP-A-06: はい。僕たちももっと想像の中に置いてほしくて。チスイの奴らばかりでなく。存在の危機なので。

野辺山博士: なるほど。あー、しかし……その人の都合は考えませんでしたか?

SCP-1077-JP-A-06: ううん。着ようと思ってくれたんです。コウモリになりたかったんじゃないんですか?

その後の対話を経て、学習指導要領およびドキュメンタリー作品・フィクション作品によるオオコウモリ科(Pteropodidae)についての知識の啓蒙を条件に、全SCP-1077-JPの回収および再製作依頼の放棄がなされました。また、対話中の情報によるとSCP-1077-JPの製作に携わった人物(以下「協力者」)が存在するものの、この時点で連絡手段・身元の手掛かり共に既に確認できませんでした。収容済みのSCP-1077-JPはSafeクラスに再分類され、「協力者」は要注意人物として登録されました。




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