
事象記録SCP-1094-JP-B/1870においてSCP-1094-JP-Aの出現が確認された書籍
アイテム番号: SCP-1094-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-1094-JP-Aの発生が確認され次第、対象の回収作業を実行したうえでカバーストーリー「発行ミス」を適用、該当書籍の関係者にAクラス記憶処理を実行してください。回収されたSCP-1094-JP-Aは、対象が発生した書籍や回収後に実行した処理のレポートと共に出現地域管轄サイトの一般的な低脅威度オブジェクト収容ロッカーへ保管されます。また、SCP-1094-JP-Aに記載されている内容に関してはSCP-1094-JP管理担当部門による審議の元、SCP-1094-JP-Bの発生に備えた大規模な調査・工作活動が必要に応じて行なわれます。
説明: SCP-1094-JPは一般向けに出版された書籍内に出現する正誤表(SCP-1094-JP-A)および、以降に発生する同一内容の事象(SCP-1094-JP-B)です。SCP-1094-JPはその性質上完全な収容が不可能であり、異常性が一般に知れ渡る危険性が高いことからKeterクラスに分類されています。
SCP-1094-JP-Aの用紙・印刷方法・書体などの要素は対象が出現した出版物と同一のもので構成されており、書籍内の記述を一文から一節単位で引用し修正する旨の文章が記載されています。但し、修正後の文章とされる記述に前後の文章との整合性は必ずしも存在せず、概ね独立した文面となっています。また、書籍の出版においてどの段階でSCP-1094-JP-Aが出現するかに関しては判明していません。
SCP-1094-JP-Bはその性質上、SCP-1094-JP-Aの出現に応じて発生する異常性由来の事象であるか、或いはSCP-1094-JP-Aの出現に従属しない必然的な事象であるかが不明なため現時点では便宜上SCP-1094-JPの構成要素として取り扱われています。意図的な干渉によってSCP-1094-JP-Bそのものの発生を阻止する試みは全て失敗に終わっていますが、SCP-1094-JP-Aに記載されていない事象に関しては操作が有効です。そのため、あらかじめSCP-1094-JP-Bの世間的知名度を抑える措置を実行することで、関連する異常性の露見を抑制することが可能です。
SCP-1094-JP-Aの出現は概ね数十年に一度の間隔で観測されていますが、その発生頻度およびSCP-1094-JP-B発生までの猶予期間に関して正確な規則性は判明していません。
テキスト
現在までのSCP-1094-JPの発生事例は以下の通りとなります。
事象記録SCP-1094-JP/1843
SCP-1094-JP-A関連事象: 1843年にアメリカ合衆国で発行された小説「モルグ街の殺人」初版内に出現。序盤で語り手が滞在している場所をパリからカリフォルニアの大規模な金採掘場に訂正する旨が記載されていたが、以降の地名表記に関しては未訂正である。
実行措置: SCP-1094-JP-Aの回収・保管およびカバーストーリー「発行ミス」を適用。出版関係者への記録処理を行なったうえで、SCP-1094-JP-Aに記載されていた訂正内容を含んだダミー書籍を出版した。
SCP-1094-JP-B関連事象: 1848年1月24日、カリフォルニアのサッターズミルにおいて別件で調査活動を行なっていたAgt.マーシャル(工場経営者に身分を偽装)が掘削作業中に砂金を発見。Agt.マーシャルが砂金の鑑定を工場経営の協力者である一般人に任せたことにより、この発見がニュースとして取り上げられ大規模な社会現象となるまでに至った。
補足: SCP-1094-JPが最初に観測された事例である。
空白
事象記録SCP-1094-JP/1860
SCP-1094-JP-A関連事象: 民話集「ドイツ伝説集」の1860年発行版に出現。ハーメルンの笛吹き男が誘拐する人物が、子供たちからイギリスの銀行家であるジョン・フォスター・ローズ氏に訂正される旨が記載されていた。
実行措置: SCP-1094-JP-Aの回収・保管、出版関係者への記録処理とカバーストーリーを適用。カリフォルニアの一件を受けてイギリス全土で長期的な人物調査を実行した結果、18██年に同姓同名の銀行員の在籍が確認されたため、イギリス警察による厳重な警護を依頼した。
SCP-1094-JP-B関連事象: 1877年11月、ジョン・フォスター・ローズ氏がイタリアのシチリア島に所有している土地を見物しに単独で訪れた際、現地の犯罪集団「コーザ・ノストラ」に誘拐される。
補足: 事象自体の阻止には至らなかったものの、イギリス警察が警護をしていた間はSCP-1094-JP-Bが発生しなかったため、干渉により影響を与えられると推測が立てられた。
空白
事象記録SCP-1094-JP/1870
SCP-1094-JP-A関連事象: 1870年にフランスで発表された小説「海底二万哩」初版内に出現。作中で船体に損傷を受けた船のうち1隻の名前が”タイタニック号”に修正される旨が掲載されていた。
実行措置: SCP-1094-JP-Aの回収・保管、出版関係者への記録処理とカバーストーリーを適用。イギリスにおいて客船”タイタニック号”が建造された際には、航路上へ財団籍の船舶を密かに先行させ安全を確保するプロトコルが制定された。
SCP-1094-JP-B関連事象: 1912年4月14日。タイタニック号は北大西洋の横断中に突如出現した氷山1と衝突し沈没。沈没の原因について複数のカバーストーリーが展開された。
補足: SCP-1094-JP-Aに記載された内容の改変・阻止は不可能であると仮定された。
空白
事象記録SCP-1094-JP/1881
SCP-1094-JP-A関連事象: 1881年にドイツで発行された歴史書「世界史外観」初版において、神聖ローマ帝国衰退の原因について記述した箇所を、オーストリア皇太子の暗殺がきっかけで勃発した世界規模の大戦が原因であると訂正する旨が記載されていた。
実行措置: SCP-1094-JP-Aの回収・保管、出版関係者への記録処理とカバーストーリーを適用。Agt.ゾフィーを伯爵家出身の女性であると偽装した上で当時オーストリア=ハンガリー帝国の皇嗣であった大公フランツ・フェルディナント氏と接触させ、結婚により財団の監視下に置く措置を実行した。
SCP-1094-JP-B関連事象: 1914年6月28日にフランツ・フェルディナンド氏とAgt.ゾフィーがサラエボを訪問中、財団および皇室の警護を突破したボスニア系セルビア人に暗殺される事件が発生。これを皮切りに第一次世界大戦が勃発した。
補足: これにより対象に対する知名度操作等を行なうことによって世界的影響を抑制する現在のプロトコルが新たに制定される。
空白
事象記録SCP-1094-JP/1929
SCP-1094-JP-A関連事象: 1929年に日本で出版された文芸誌「戦旗」内に出現。雑誌内に収録されていた短編「蟹工船」最終段落の附記に存在しない「ホ」の項目を追加するものであり、世界中に散らばった仲間の一人が資本主義国家であるアメリカ合衆国のジョン・フィッツジェラルド・ケネディ氏を殺害したことで、共産主義が勝利する旨が記載されていた。
実行措置: SCP-1094-JP-Aの回収・保管、出版関係者への記録処理と該当書籍の発禁処分を含めたカバーストーリーの適用。事象記録SCP-1094-JP/189█での失敗から事象自体の阻止が困難であると判断、対象者の知名度および政治的背景を操作してSCP-1094-JP-Bの社会認知を抑制する措置を実行した。当時より政治的影響力が強かったケネディ家に干渉を行い、最終的には第二次大戦時の混乱を利用してジョン・フィッツジェラルド・ケネディ氏の軍歴を毀傷した。
SCP-1094-JP-B関連事象: ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ氏は大統領選挙に落選し実業家となった。該当人物の知名度および政治的影響力を抑制したものの、1963年11月22日のダラス市内パレードに向かう途中で暗殺された。
補足: 第三次大戦に伴う20██年のソビエト連邦崩壊に伴い、長らく資本主義国家との冷戦において優位であった共産主義国家は衰退の兆候を見せた。これ以降、20██年現在までSCP-1094-JPの新たな出現は確認されていない。