
封じ込め下のSCP-1097
アイテム番号: SCP-1097
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1097はその全量を、補強されたステンレス製与圧コンテナに収めた状態で保管されます。圧力は2200kPa以上を維持してください。
SCP-1097はタイプDのコンクリート製バンカーに収容されます。バンカーの通風孔には、pH11.3~13.5の溶液への長期間暴露に耐えられる、開閉可能なシャッターが取り付けられます。封じ込め違反の発生時はバンカーを完全に封鎖し、セキュリティ監督者の指示を待ってください。
SCP-1097はサイト-17で管理されます。バンカーはスタッフの作業エリアおよびSCP指定オブジェクトから50m以上離れている必要があります。SCP-1097のサンプルを取り出す際は遠隔操作可能なロボット装置を用い、封じ込め装置のメンテナンスは承認済みの実験用ロボットで行われます。スタッフ及び被験者は、研究ディレクターの許可を受けた場合を除き、SCP-1097から10m以内の範囲に侵入してはなりません。
研究ディレクターの承認なしに2.5L以上のSCP-1097を封じ込め施設から取り出してはなりません。
説明: SCP-1097は72.3Lの暗褐色で高粘度の流体で、その組成は水と水酸化ナトリウムと溶解した人体組織の混合物です。無人の実験室環境において、SCP-1097は同様の組成を持つ混合液と同等の物理的性質を示します。
生きた人間が2.8L以上のSCP-1097から5m以内の範囲に侵入すると、その異常な特性があらわになります。SCP-1097はまず、自身の形を変化させて被験者の物理的形状を模倣します。SCP-1097は自身の濃度を操作して半固形状態になることで、この作用を実現しています;SCP-1097は限られた時間であれば自身の一部を完全な固体として振舞わせることが可能であり、最大でビッカース硬さ152 HV30が記録されています。SCP-1097は被験者の形状を模倣しつつも、暗褐色で粘り気のある外見を維持します。この間のSCP-1097の挙動は、強磁性の流体を電磁場によって動かした場合に似ています。

SCP-1097サンプル
SCP-1097は被験者の物理的形状を再現するのに加えて、被験者の人格や振る舞いを可能な限り模倣します。SCP-1097のコミュニケーション能力は限定されていますが、被験者がその場で見せていない癖や態度を再現することもあります。脳波計を用いた試験により、SCP-1097は被験者と同様の脳活動を行っていることが判明しました。現在までの調査結果から、SCP-1097は本当の意味での知性を持ってはいないと考えられています;SCP-1097自身の思考の現れであるようかのに見える動作や行動は、あくまで知性を持った被験者が近づいたことによって引き起こされた反応が組み合わさって生じたものであると思われます。
2人以上の被験者がSCP-1097の効果範囲内に侵入すると、SCP-1097の挙動及び反応は予測不能なものになります。複数の被験者が作用した場合、SCP-1097は複数の身体形状を同時に模倣し、時には人間の形からひどく逸脱した形状を取ることが記録されています。また行動パターンにも大きな変化が見られます;SCP-1097は敵対的かつ非常に攻撃的になることが確認されています。この状態のSCP-1097は自身の硬化能力や腐食作用を利用して、スタッフに対し攻撃し重傷を負わせることがあります。
実験記録-1097:
下記はSCP-1097を用いた実験のうち特記すべき記録の抜粋です。
実験番号 | 説明 | 結果 |
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1097-2 | D-48230、47歳男性、収監後の態度良好。単独でSCP-1097効果範囲に導入。 | SCP-1097はD-48230の姿に似た形状に変化した。研究員からの質問に対しては、「イエス」と「ノー」のシンプルなジェスチャーによって協力的に答えた。D-48230に関する公的・私的な事柄の知識も示した。 |
1097-5 | D-23142、21歳女性、社会病質的な行動傾向あり。単独でSCP-1097効果範囲に導入。 | 実験1097-2同様、SCP-1097はD-23142の外見、癖、知識を模倣した。アプトン(Upton)研究員が実験チャンバーへの扉を開いた際、D-23142は急病を装った。医療チームに連絡したところ、SCP-1097は付近の保安スタッフに対して攻撃を仕掛け、封じ込めを短時間違反した。封じ込めの再確立までに2名の死者と4名の負傷者が発生した。D-23142はその場で終了された。 |
1097-9 | D-29003、37歳男性、複数の殺人により有罪判決を受ける。D-31057、28歳男性、連続強姦犯。SCP-1097効果範囲へ導入。 | SCP-1097は身長1.8mで平均的な体格の男性型に変形した。SCP-1097の顔面はD-29003とD-31057が混ざったような風貌で、D-29003の口唇裂の外科的治療痕、D-31057の右眉上の8cmの傷跡が確認できた。実験中SCP-1097は実験チャンバーの隅で縮こまり、研究員との意思疎通を拒絶した。 |
1097-11 | D-10772、27歳女性。D-58271、42歳男性。いずれも非暴力的犯罪により有罪。SCP-1097効果範囲へ同時に導入。 | SCP-1097は、D-58271が自身の第10年次における英語教師であったと主張した人物、██████ ████に酷似した形状に変化した。SCP-1097はD-10772と同様の流暢なアメリカ手話を使い、両被験者および研究員とのコミュニケーションを行った。SCP-1097は研究員からの3時間にわたる質問に応じた後、D-10772に対してチェスの勝負を持ちかけた。この要請は実験に対する協力と引き換えに了承され、ロボット・ドローンによってチェスセットとチェス板が運び込まれた。SCP-1097はD-10772を8手で詰めた。 |
1097-13 | D-95523、D-04189、D-09923、D-60354。いずれも男性、年齢は19歳から54歳。いずれも協力的で良好な振る舞いを見せたことから選ばれた。SCP-1097効果範囲へ同時に導入。 | SCP-1097はわずかに人型を思わせる、高さ3.4mの形状に変化した。脊椎部分から追加の腕が1本突き出しており、手のあるべき部分にはD-04189の顔に似た構造が見られた。SCP-1097は四肢を用いてD-95523を素早く抱擁し、D-95523の全身に重度の化学火傷を負わせた。およそ2分後にD-95523が意識を失うと、SCP-1097は高さ1.2mの一般的な人間男性型に変化した。その後の実験の間、SCP-1097は従順かつ協力的であった。D-95523は負傷により3日後に死亡した。 |