アイテム番号: SCP-1120-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1120-JPで親睦会の企画がされた場合収容プロトコル1120-JP("土壇場キャンセル")を実施し、SCP-1120-JP-1が行われないようにしてください。SCP-1120-JP-Bは財団の管理の収容地区に移住させ収容プロトコル1120-JP-B("現物支給")に基づく収容を行ってください。
説明: SCP-1120-JPは「かぼちゃの馬車」という名称の会員登録制のウェブサイトです。SCP-1120-JPは一般的に「出会い系」に分類されるサービスを提供します。SCP-1120-JPの使用しているサーバの特定はすべて失敗しています。
SCP-1120-JPの具体的なサービス内容は親睦会(SCP-1120-JP-1と表記)の企画で、これ以外のサービスは確認されていません。SCP-1120-JPは女性以外利用できず、女性以外の登録は今まで全て失敗しています。SCP-1120-JPがどのように利用者の性別を判別しているか不明です。登録が完了するとアカウントが発行され以後SCP-1120-JP上のサービスを利用する際はこのアカウントを利用して行います。他者がアカウントを利用する行為は現在まで全て失敗しています。
SCP-1120-JP-MはSCP-1120-JP-1に参加する異常性を持たない男性です。SCP-1120-JP-Mの容姿や経歴は一般的に女性に好まれる傾向にあります。SCP-1120-JPは事実上男性の利用が不可な点から、SCP-1120-JPとの直接的な関係がある可能性を指摘され、SCP-1120-JP-Mに対して調査を実施しましたがそのすべての結果はSCP-1120-JP-M自身に異常な点がないことを証明しています。全てのSCP-1120-JP-Mに対しSCP-1120-JP-1に参加した理由を問うと「いつの間にかSCP-1120-JP-1開催を知っていた」「何故かSCP-1120-JP-1参加しなければならないという義務感があった」といった旨の返答を行うことからSCP-1120-JP-MはSCP-1120-JPにより何らかの影響を受けていると考えられています。
SCP-1120-JP-1は都道府県ごとに月に2~3回企画されます。なお募集期間内に参加者数が定数に満たない場合棄却されます。SCP-1120-JP-1が開催されると必ず当日中に1組のカップルが成立します。このカップルの女性をSCP-1120-JP-Aそれ以外のSCP-1120-JP-1参加者の女性をSCP-1120-JP-Bとします。
SCP-1120-JP-1以降SCP-1120-JP-Bは統計的に異常な原因から過度の経済的損害を被るようになります。この際同SCP-1120-JP-1参加者の1ヶ月当たりの総損害額に比例してSCP-1120-JP-Aは経済的利益を得るようになります。
SCP-1120-JPは不審な企業倒産が財団の目を引き、その調査の結果発見されました。以下のインタビューはSCP-1120-JPの調査中において行われたものです。
対象: ███氏
インタビュアー: █研究員
付記: ███氏は倒産した企業の経営者の娘です。███氏はこれまでに██回自殺を試みており、現在措置入院中であったことからカウンセリングと称してインタビューを実施しました。
<録音開始, 20██/█/██>
インタビュアー: こんにちは、███さん。
対象: …こんにちは。
インタビュアー: お加減はいかがですか?
対象: …まぁまぁです。
インタビュアー: そうですか。今日は話を聞かせてもらいたいのですが大丈夫ですか?
対象: …はい、大丈夫です。
インタビュアー: ありがとうございます。無理はしないでくださいね?
対象: …はい。
インタビュアー: それでは、まず最近の悩みなど話せる範囲でよいので教えて頂けますか?
対象: [5秒間の沈黙]うまく…いかないんです。全部…。そう、全部。
インタビュアー: 全部、ですか。具体的に上手くいかないと思った出来事など話して頂けますか?
対象: 具体的に…?[3秒間考え込む]私、前の勤め先をクビになって…、それで就活しながらアルバイトしてたんです。でも…。
インタビュアー: アルバイトで何があったんですか?
対象: …全部長続きしないんです。セクハラとかいろいろあって…。いろんなミスとか私のせいにされてしまって…。
インタビュアー: そうでしたか…、それは大変でしたね。もし経済的に余裕があるならアルバイトは一度やめられて就活に専念されてはいかがですか?
対象: いえ、余裕ないんです。私が仕事をクビになってすぐに父の会社がつぶれてしまって…。その借金が…。[5秒間沈黙]父は自殺してしまって、母はそれで寝込んでしまって…私しかいないんです。
インタビュアー: お父様が…そうでしたか、それは…お悔やみ申し上げます。
対象: いえ…もうずいぶん前ですから。
インタビュアー: もしよろしければ、自己破産や政府の救済制度というものもありますが申請はされましたか?
対象: はい…でも何故か受理されなくて…。
インタビュアー: そうでしたか…。カウンセリングを続けても大丈夫ですか?
対象: はい。
インタビュアー: その前後に何か変わったことはありませんでしたか?なんでもいいんです。
対象: 変わったこと…ですか?[考え込む]そういえばクビになる前日に初めて合コンに行きました。
インタビュアー: 合コンですか?それはどういった経緯で?
対象: 友人に誘われて…どっかのウェブサイトに登録したんです。
インタビュアー: そのサイトの名前とか覚えていますか?
対象: たしか…かぼちゃの馬車?だったと思います。
インタビュアー: その合コンで何か変わったことはありましたか?
対象: いえ、特には…。あ、でも嬉しかったことがありました。
インタビュアー: それはどんなことですか?
対象: 誘ってくれた友人がその合コンでその日のうちに交際を始めて…学生時代からずっと苦労していた子だったのでよかったなって。
インタビュアー: そうですか、それは良かったですね。
対象: そうですね、こうなる前の一番最後の嬉しい思い出ですね。
<録音終了, 20██/█/██>
終了報告書: 本インタビュー後の調査によりSCP-1120-JPが特定されました。また、███氏はインタビュー実施時点でSCP-1120-JP-Bであったと考えられています。現在███氏はSCP-1120-JP-B-1として登録されています。
付記: ███氏の同意を得て自己破産申請を財団雇用の代理人を通じて試みたところ重要書類の紛失、関係取引の失敗、担当者の急病および死亡などが発生し、一向に進捗が見られないことから現在凍結されています。
SCP-1120-JP-Bを放置しておくとより大規模な経済的損害を生み出す可能性がある。SCP-1120-JP-Bに直接金銭の関わらない事象、つまり「現物支給」なら異常性の影響がないことは措置入院が問題なく継続できていることから判明している。私は現物支給を原則としたSCP-1120-JP-Bの収容を進言する。 ─█研究員
対象: ██氏(旧姓:██)
インタビュアー: █研究員
付記: ██氏はSCP-1120-JP-B-1をSCP-1120-JPへの参加を勧誘した人物で、SCP-1120-JP-Aであることが確認されています(SCP-1120-JP-A-1として登録)。また、SCP-1120-JP-Mとインタビューの1ヶ月前に結婚しています。
<録音開始, 20██/█/██>
インタビュアー: こんにちは、██さん
対象: どうも。
インタビュアー: 早速ですがどこで「かぼちゃの馬車」を知りましたか?
対象: インターネットだったと思うわ。掲示板だったか、██████だったかで噂で聞いたの。いい出会いが出来るサイトがあるって。
インタビュアー: なぜ利用しようと思ったのですか?
対象: 「かぼちゃの馬車」って名前が気に入ったのよ。私にぴったりだと思って。
インタビュアー: ……どういう意味でしょう。
対象: 私中学の頃からずっといじめられたり……まぁ、簡単に言えば不幸続きだったのよ。でもほらかぼちゃの馬車って縁起が良さそうじゃない?まるで私の為にあるみたいでしょ?
インタビュアー: ……。次の質問よろしいですか?
対象: ええ、どうぞ。
インタビュアー: なぜ███さんを誘ったのですか?
対象: なかなか人が集まらなくていっつもお流れになってたのよ。
インタビュアー: 流れた、というのは親睦会企画がですか?
対象: 親睦会?あぁ、合コンね。そうよ、であと一人ってなったから███を誘ったの。
インタビュアー: しかし、なぜ███さんを選んだのですか?
対象: それは、███がやさしいからかな。いじめられてた時も███が助けてくれてそれ以降ずっと私のことを助けてくれてたの。お金とか困った時も貸してくれたり…。あ、そうそう███の家は会社経営しててお金持ちだったみたいなの。それに…。
インタビュアー: 話がずれてきたので次の質問に移って良いですか?
対象: ……いいわよ。
インタビュアー: ありがとうございます。現在の███さんの状況をご存知ですか?
対象: 人伝手にはね。大変みたいね。
インタビュアー: ……他人事のようにおっしゃっていますが、ご友人なのでは?
対象: そうね、友だち。でもね彼女はずっと幸せだったの私と違って裕福だし、見た目もかわいいしいつも人気者だったの。でも、そんなの不公平でしょ?だから今度は私が幸せになるの。それで彼女は大変な環境を経験する。きっと彼女にとってもいい経験になる。これで公平でしょ?
<録音終了, 20██/█/██>
終了報告書: 精密心理検査の結果SCP-1120-JP-A-1は童話「シンデレラ」およびそのストーリーへの強い憧憬を抱くと共に強い現状への不満、外部からの救済に対する依存的願望が見られました。さらなる調査により全てのSCP-1120-JP-Aは同SCP-1120-JP-1参加者中最も強くこの傾向を持っていたことが判明しています。
補遺: 20██/██/██、SCP-1120-JP-B-1が入院中の██病院敷地内にて薬物中毒の男性による傷害事件が発生し、SCP-1120-JP-A-1が被害に遭い頸部を負傷し、全身不随となりました。事件調査の一環として現場に居合わせたSCP-1120-JP-B-1に対してインタビューを実施しました。
対象: ███氏
インタビュアー: エージェント██
付記: インタビューは警察による事情聴取と称して行われました。
<録音開始, 20██/██/██>
インタビュアー: こんにちは。
対象: はい…、こんにちは。
インタビュアー: まだショックが大きいでしょうが、よろしかったら捜査にご協力いただけますか?
対象: 大丈夫です。
インタビュアー: ありがとうございます。ではまず。██さんと一緒にいたのは何故ですか?
対象: 偶然です…。最近先生に言われて、お昼は中庭で日に当たるようにしてるんです。気分転換になるから、って。
インタビュアー: なるほど。それで?
対象: それで…。ベンチに座ってたら彼女が歩いてきたんです。
インタビュアー: ██さんはなぜ病院に?
対象: 妊娠の検査に来たと言っていました。もしかしたら子供ができてるかもしれないからって。
インタビュアー: それでどんなことを話してたんです?
対象: お互いの近況…というよりは彼女の近況報告でした。旦那の収入が良いとか、旦那さんがすごく優しいとか…まぁ、幸せ自慢って感じでした。それがずっとです。
インタビュアー: そうですか。それで、話してたら彼が?
対象: …はい。あぁ、丁度正午だったと思います。
インタビュアー: なぜ正午だと?
対象: この病院の中庭、正午になるとスピーカーから鐘の音が流れるんです。それが流れたときだったので。
インタビュアー: そうでしたか、ありがとうございます。彼は逮捕時重度の薬物による幻覚症状がみられていたそうですが不審に思ったりしなかったんですか?
対象: いえ、私からは彼女が陰になって見えなくて…。あの人がいるって気が付いたときにはもう彼女は…。
インタビュアー: それからあなたはどうしたんですか?
対象: 私は驚いて動けなかったんです。あの人が夢中になって彼女を何度も何度も刺しているのを見て腰が抜けちゃって…。周りの方が止めに入るまでずっと動けませんでした。
インタビュアー: 無理もないでしょう…。
対象: でも…。
インタビュアー: はい?
対象: 私、驚いただけじゃなくて少し喜んじゃったんです。彼女の幸せが妬ましくて…だから…。[泣きはじめる]
インタビュアー: 今日はここまでにしましょう。看護師さん。
<録音終了, 20██/██/██>
終了報告書: 本件以外のSCP-1120-JP-AとSCP-1120-JP-Bが遭遇する場合において同様の事例がなかった点。調査の結果に不審な点が確認されなかったことから本件は偶発的に発生した物であると結論付けられました。
ページリビジョン: 4, 最終更新: 10 Jan 2021 16:41