アイテム番号: SCP-1130
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1130はサイト-12の標準的Safeクラス保護貯蔵用ロッカーに収納されることになっています。SCP-1130-2から出た際に試験で使用したDクラスが情緒不安定もしくは更に攻撃的な行動を示すことがあることを留意しておいてください。任意の試験場から再出現した被験者を鎮静し拘留するのにクリアランスレベル3のメディカルオフィサー1人と最低2人のクリアランスレベル2の保安要員で構成されたチームが必要です。配置された駐留保安要員は無力化(3-キヌクリジニルベンジラート)ダーツ弾を装填したDaninject社製の投射ライフルを携行します。公衆被曝を避けるために、試験は人気のない場所で現地時間の02:00から05:00の間に到着予定になるように要請してください。試験過程を目撃した民間人は拘留し再配置する前にAクラス記憶処理を行うことになっています。現在アーカイブされた帰還報告書と探査ログを考慮するとSCP‐1130‐2はプロテアン・クラスの次元異常に指定されています。SCP-1130に割り当てられた研究員または保安要員は適切なガイドラインを熟知しておいてください。
説明: SCP-1130は██████、 ██市域内の任意の住所へ定位置から自由に道順を提供してくれるキオスク端末です。その外部構造は50cm×50cm×175cmの大きさの簡素な板金からできています。█████ブランドのタッチスクリーン液晶ディスプレイがキオスクの正面に配置され、その下に25cm×2cmのスロットが分配されています。バックパネルに設定されたメンテナンスハッチは内部へのアクセスを可能にします。処理装置、動力源また印刷の周辺機器は内側に見つかってません。しかし、SCP-1130はそれらのコンポーネント無しで完全に機能しているように見えます。バックパネルの右上の小さなタグにはモデル█████都市案内路確認端末、20██年██████社製造と確認できます1。密かに製造会社に問い合わせたところ、確かにそのモデルは製造していたがその端末の製造と組立と配置した記録がないことがわかりました。
要求された案内指示が印刷された場合、SCP-1130の異常な特性が現れます。SCP-1130から得られた指示はきまって確立されたルート内で‘メンテナンスポータル 26‐シグマ’(これをSCP-1130-1と呼称します)と記されたドアを利用するように利用者に指示します。SCP-1130-1は地味で風化したアーチ型の金属製のドアを形成し同じルートを複数回要求して重複しても同じ位置にあることは気づかれません。SCP-1130-1はSCP-1130による案内指示が印刷されるまで規定の位置に出現することはありません。案内指示によって作成されたSCP-1130-1はそのドアは閉じられるまで後続の複数の対象にも使用することができます。ドアが閉じられたところでSCP-1130-1は消失し、残された利用者は案内指示に従うことはできなくなります。案内指示が複写された場合、元の標本を利用するときのみSCP-1130-1が表示されます。遭遇し可視化表現されたSCP-1130-1は利用者以外にもすべて記録することができます。
首尾よく案内指示通りに目的地についた被験者の帰還報告書によるとSCP-1130-1は一度内部から出ると背後で消失します。さらに、被験者は再びSCP-1130-1に辿りつくまで横断するのに██kmまで連結構成された広間で構成された部屋とトンネル(SCP-1130-2と呼称)を見つけたと説明しました。遭遇する空間は常に破損が激しい状態で論理的に連結されているとは思えません。ある被験者は放棄されたように見える地下鉄用トンネルで慌ただしい████████ファストフード店の調理場のような足踏み音を報告しました。
SCP-1130-2にいるあいだ被験者は一貫した聴覚現象について報告しました。ですが現時点で音の出処は不明瞭です。帰還報告や事象後の心理鑑定によると被験者は絶え間なく窮追される感覚が深まります。これはSCP-1130-2と現象の増加に費やした時間だけ強化されます。接触の延長は被験者の精神及び情動安定性によっては心的外傷の促進につながる可能性があります。
SCP-1130-2を脱出後、被験者は目的地にいることに気づきます。試験結果から被験者がSCP-1130-2に入ってから出るまで平均して11‐23秒の間消失していることを示しています。しかしながら、被験者が通過するまでの時間は数時間から数週間に及ぶ可能性があることを考慮しなければいけません。
通過中被験者との通信はどのような手段でも不可能であることが証明されています。GPS探知機の信号は被験者の位置がSCP-1130-2に入ると[編集済]。被験者がSCP-1130-2から出てくるまで変化はありません。音声記録と映像記録は正常に機能しますが、SCP-1130-2にいる間はデータを送信しません。そのため記録装置は被験者が携行しなければいけません。
補遺1130-A-01: 回収と暫定的収容メモ
SCP-1130は██████、██から観光客の失踪が記載されるようになった後に回収されました。行方不明者の1人を財団職員がSCP-1130から7km離れたゲーテッド・コミュニティでさまよっているところを発見しました。彼は後に“クイーンエリザベス”M‐17軍用ヘルメットと確認されたものを身に付けSCP-1130に案内指示された場所にいました。財団は原因究明を専用監視所と復旧チームに主導させ、エージェント███████がSCP-1130を確保しました。探し出された観光客にはAクラス記憶処理を施しました。SCP-1130は市の作業員を装った復旧チームによって設置された██████████地下鉄駅から運び出されました。
補遺1130-A-02: ログファイル1130-T-14/73299の部分転載
試験人員: ███████-█████博士、D-73299
概要: 以下はログファイル1130-T-14/73299の部分的な映像記録です。被験者には試験開始前にSCP-1130に██ ███████通りまで案内するように指示しました。被験者には7日分の軍用レーション(必要分の無煙加熱用ヒーターを含む)と十分な水が支給されました。頭部固定ビデオカメラ及び携帯録音機はチェックされ動作に問題ないことは確認されました。
転写記録:
<録画開始/音声記録開始>
Dr. ███████-█████: 「Jim、記録できてるかい?」
くぐもった返事がカメラ後部から聞こえます。
Dr. ███████-█████: 「よろしい、D-73299に変わって、自分の名前と指示されたことを述べてください」
D-73299: 「誰?俺か? 俺の名は███ ████████ そんで今は73299だよ」
Dr. ███████-█████: 「ありがとう。いま指示と物資を送っておきました。あなたにはそこに居るあいだ解説をしてもらいたいんですが、出来ますか?」
D-73299: 「俺が思うにあんたらとおはなしはできないんじゃねえかな?」
Dr. ███████-█████: 「それでかまいませんよ。ただし、あなたが見聞きしたものはすべて記録しますので」
Dr. ███████-█████ がSCP-1130-1を開く。
Dr. ███████-█████: 「では入ってください。ドアは入った後に閉めさせてもらうので心配しないでください」
D-73299: 「俺はお前らが何をするのか知っておきた…おい!なにしやがる!」
D-73299は保安要員によってSCP-1130-2に丁重に送られました。ドアが閉まるまで被験者は侮蔑の言葉を投げかけました。被験者は辺りを見回しSCP-1130-1を探しているように見えます。被験者は頭部固定LEDライトのスイッチをつけてまわりを見ます。ここは第二次世界大戦時代の潜水艦内部に見えます。
D-73299: 「なんてこった!ここは地獄か何かか!?」
被験者は置かれた状況を探り始めます。デッキには水たまりがそこかしこに見られ左側の小さな長方形のスペースには寝台のセットで満たされています。毛布が錆びた金属製の簡易ベットに横たえてあります。右側には障壁によって区分された長い錆びた金属壁が続いています。被験者の前には取っ手が車輪の小さなドアがあります。
D-73299: 「大丈夫…大丈夫だ…呼吸して…落ち着いて…深く息を吸って…呼吸を保って。そうだ、喋らなきゃな…船内か何かのように見えます。どこも錆びて不潔だ。あんたもそれが見えてるだろう。ここにいくつかのサインがある。少しの間近づかせてください」
被験者は水がかかった床に歩み寄ります。錆びた金属のサインが見えてきます。
D-73299: 「なんの言語なのかわかんねえ。フランス語か?とにかく撮って記録する、そっちならわかるだろう」
[事象後観測:サインは“Achtung!Rauchen Verboten!(独語:注意!喫煙厳禁!)”と読める。]
被験者は急に何かに慄き振り返ります。
D-73299: 「クソ忌々しい今のはなんだ?俺にはなにか聞こえたぞ」
[事象後観測:回収された音声の分析では可聴音はありませんでした。]
D-73299: 「右後方になにか来ているように見えたが…まただ!何なんだちくしょうめ!?」
被験者はドアに向かい車輪を回し開錠を試みます。罵倒語をつぶやいていることが聞き取れます。
[事象後観測:録音においてこのポイントでかすかな背景音が拾い上げました。解析は保留しています。]
D-73299: 「歯ぎしりのような…音が聞こえる…」
被験者はどうにかドアを開けて、大急ぎで後ろの存在を引き離すために滑り抜けて閉めます。被験者は震えてドアを背にして立っています。被験者は部屋をLEDライトでぼんやりと照らします。部屋の中には病院用ベットが散在しているよう見え、窓には板が打ち付けられています。
D-73299: 「えっ?船内じゃなかったのかよ?なんてこった、どこにいるんだ俺!?」
被験者は何歩か進んでから急に立ちすくみます。
D-73299: 「またあれが聞こえるんだけどよ…さっきクソッタレなドアは閉めただろ!ちょっと待てよ!閉めたはずだろ!俺は閉めたはずだ!」
被験者は部屋の端まで突進しますが、落ちていた点滴スタンドにつまづきます。すすり泣く声が聞こえてきます。
<録画終了/音声記録終了>
D-73299は07:03:21に指定した目標地点のちかくの建造物のそばから出現しました。被験者は重度の栄養失調状態で混乱しておりパニックを起こしていました。被験者は指示を無視して試験場から逃走しようとしました。彼は保安要員に無力化され、帰還報告のために拘留されました。事象後の身体検査と心理鑑定によってSCP-1130-2に2~4週間滞在していたことが判明しました。また、被験者はSCP-1130-2内で入手したペンチで自分の歯を全部引き抜いていました。