SCP-1136-JP
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非活性時のSCP-1136-JP

アイテム番号: SCP-1136-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1136-JPはサイト-81██にある5m×5m×5mの特別収容室に保管されています。収容室の半径150mへの立ち入りは許可されません。特別収容室に入る必要がある場合は必ず2人以上で行動し、SCP-1136-JPが活性化した場合には即座に出現対象を終了処分にしてください。また、特別収容室は常に複数台の監視カメラでの監視を行ってください。SCP-1136-JPの消失が確認された場合、直ちに出現場所を特定した上で出現対象を終了させてください。SCP-1136-JPの異常性が発揮されていた場合、異常性の効果範囲を特定した上でクラスA記憶処理を施してください。

説明: SCP-1136-JPは1冊の書籍です。革製のカバーには留め具がついており、非活性時に開く方法は確認されていません。その素材から少なくとも███年以上前に製作されたものだと推定されます。カバーには英語で「苦しむ者に慈悲を(Give mercy to suffering one)」と書かれています。

SCP-1136-JPの異常性は半径100m以内に特定の人間(出現対象)が存在するときに発揮されます。出現対象の条件は3つあり、「強い肉体的・精神的苦痛を感じている人間(効果目標)を知っていること」、「効果目標を救いたいと思っていること」、そして「効果目標が30m以上離れた場所にいること」です。この条件が揃っている場合、一定の確率でSCP-1136-JPが出現対象の眼前に浮遊した状態で現れます。SCP-1136-JPは出現すると独りでに留め具が外れ、全ページの半分ほどの位置が開かれます。この現象に物理的干渉・妨害をする試みは失敗に終わっています。そして開かれたページには以下のように英語で書かれています。なお、英語を理解しない出現対象でも内容を理解できることが確認されています。

慈悲深き者よ

汝がひと時でも人々の苦しみを背負うのならば

彼(彼女)の苦しみも除かれよう

背負うか、背負わぬか

この問いに否定的な反応を示したり5分以上反応しなかった場合、ページに書かれた文字は上部から薄くなり1文ずつ消失します。全ての文字が消失した後に「慈悲なき者のこれからに幸あれ」という文章がページに出現し、約5秒後にSCP-1136-JPは消失します。その後SCP-1136-JPは出現前にあった場所に戻り、異常性は止まります。また、出現対象は2度と出現対象になることはありません。
肯定的な反応を示した場合、SCP-1136-JPは浮遊力を失い落下します。それと同時に出現対象は強い肉体的・精神的な苦痛を感じるようになります。そして出現対象が苦痛を受けている間、「出現対象と効果目標との距離を直径とした円内(効果範囲)」にいる出現対象以外全ての人間は苦痛を感じなくなります。出現対象が受ける苦痛は効果範囲にいる人間が本来受けるはずの苦痛の総量と比例します。なお、多くの場合はこの異常性が発揮された一瞬の間にショック死する結果に終わっています。
また、この異常性は出現対象および効果目標が生きている限り発揮され続けます。発揮されている間、出現対象と効果目標との距離の変化に応じて効果範囲も変化します。
以下の実験記録はSCP-1136-JPの異常性の検証過程に関する主要な実験結果です。

SCP-1136-JPは20██年に██山にある██村で発見されました。この村には「神様が苦しみを取り去ってくれる」という伝承が伝わっており、実際に30名弱の村民は怪我や病気を負っても苦痛を感じることがほぼないままに生活していました。財団のエージェントが現地に送られましたが、怪我を負っても定期的にその痛みを感じない時間帯があったことが確認されています。
エージェント滞在9日目、村の西端にある██医院が医師の失火により全焼しました。苦痛を感じなかったことによって火災に気付くことが遅れたことが原因と考えられます。この事件の翌日、村の東端に住んでいた███ ██氏がショック死した状態で発見されました。遺体の手にはSCP-1136-JPが握られており、エージェントからは「遺体の表情は酷く苦しんだような表情であった」との報告を受けています。その後、現地での聞き込み調査の結果、███氏には重い伝染病に罹患した妻がおり██医院に入院していたことが判明しました。また、███氏の自宅から日記が発見されており、その内容からSCP-1136-JPが活性化してからは妻の症状が和らぎ、███氏が苦しんでいたことが推測されます。日記によれば異常性が発揮されていた期間は約3年です。なお、回収後は財団によってカバーストーリー「無痛症を引き起こす新種のウイルス」が流布され、派遣されたエージェントによって村民全員に偽の治療がなされました。

補遺: 実験記録1136-49の2日後にインシデント1136-JPが発生しました。インシデント1136-JPの詳細へのアクセスにはレベル3以上のセキュリティクリアランスを保持している必要があります。


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