アイテム番号: SCP-1149
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1149はアメリカの北西海岸の遠隔地にある、サイト-37の最西端にある安全な部屋に保管されます。その影響が目立たないようにするため、SCP-1149は常に太平洋の方向である西を向いています(事件報告1149-A参照)。SCP-1149は床に固定された支持構造にしっかりと取り付けられます。支持構造に取り付けられた加速度センサーと待機センサーは、近くの監視センターに測定値を送信します。
SCP-1149の収容室内の大気の状態は、大気の侵入を可能にするエアロックによって一定に保たれます。SCP-1149の東の部屋の壁に取り付けられた1つの扇風機はしっかりと覆われ、実験に必要になるまで所定の位置に固定されます。扇風機の覆いが開いた時、風速は30km/hを超えてはいけません。アクセスは上司の承認を得たレベル1の職員に制限されます。全ての実験ソフトウェアおよび全ての実験機器は、少なくとも2人のサイト-37のテクニカルレビュースタッフによって検査されなければなりません。SCP-1149のワイヤーは、それに関するより多くの情報が得られるまで、いかなる実験の間も地面に固定されていなければなりません。
垂直上向き方向の完全な実験の承認は現在保留されています。主要断層線に近接しているため、垂直下向きの実験は禁止されており、現時点ではサイトの移転は保留されていません。
SCP-1149の大まかな「影響の円錐」は保護地域として分類されており、全ての緊急ではない水上艇と航空機は立ち入りが許可されていません。合衆国沿岸警備隊のモーター救命艇を使用している2つのパトロールチームは、侵入者を探すために影響の円錐の境界を監視します。パトロールは侵入者を追求するべきではありませんが、さらなる指示についてはSCP-1149を担当する研究者に連絡してください。
説明: SCP-1149は長さ約45cm、高さ約30cmの錆びた風見鶏で、製造会社が識別できる目印や一般的な雄鶏の装飾以外の特異な特徴はありません。SCP-1149の基部は腐食しており、修理される前に台から外れてしまったように見えます。
切断された台の先端では、2本のほつれたワイヤーがさらにSCP-1149の中まで伸びています。内部画像はSCP-1149の「足」を超えたところで終端していることを示しており、電源や他の注目すべき部品は無いことが明らかになっています。ワイヤーはかつて制御機構に接続されていたと考えられています。
SCP-1149の異常性は常に有効であるように見えますが、向いている方向に風が通過すると密度と頻度が増幅されます。SCP-1149が活動している間、気象活動はその近くで不安定になります。異常な影響のほとんどは、SCP-1149の矢印の先端から生じる5度の弧を持つ長さ約215kmの「影響の円錐」内で発生します。これらの影響の発生頻度はこの円錐の境界付近で急激に減少しますが、稀に影響の円錐からかなり離れたところで異常な影響が観測されます。
SCP-1149は風が当たらない時、平均で15分に1回影響の円錐内で異常気象イベントを発生させます。イベントの強度にもよりますが、各イベントは通常10秒から2分間続きます。SCP-1149の端から端に沿って(つまり、現在の向きでは西に)移動する空気に曝されると、イベントはより頻繁になり、より長く続きます。時速25〜40kmの風に曝されると、イベントは影響の円錐の中心で連続的になり、境界の近くや境界を越えて不規則に停止したり開始したりします。時速40kmを越えるとイベントが重なり始め、SCP-1149を通過する風の速度が時速40kmを下回るまで強度が増大し続ける連続的なイベントが発生します。
事件記録1149-A: SCP-1149の当初の収容プロトコルでは、SCP-1149は地表から直接離れた場所に固定されていました。この方向は、異常気象イベントの規模ができる限り最も低くなると考えられていました。しかし、SCP-1149の上部の大気層への影響は予測されていませんでした。最初の収容から数日後、サイト-37で「スプライト」の電気的イベントとオーロラの影響の僅かですが顕著な増加が観察されました。このままでは、珍しいこれらのイベントの頻度は潜在的にサイト-37に過度の注意を引くと考えられ、SCP-1149の収容プロトコルは西向きに更新されました。
補遺1149-1: SCP-1149はオレゴン州の███████の沿岸の廃墟となった小さなコテージで、強い嵐が通過した後に発見されました。最初の嵐自体はそれほど奇妙なものではありませんでしたが、極めて異常な気象の影響が太平洋上で観測された時に財団エージェントがその地域に派遣され、███████から発生する大雑把な円錐形に焦点が当てられました。エージェントはコテージの所有者を見つけられませんでしたが、コテージが破壊される少し前までそこに居住していたことを示唆する証拠があります。SCP-1149は小屋の内壁と思われるものの残骸にしっかりと固定されているのが発見されました。より広い範囲を捜索したものの、SCP-1149の台やその起源や作動に関するそれ以上の情報は見つかりませんでした。
補遺1149-2: 風力実験記録 全ての実験はサイト-37にて閉鎖された状況下で行われました。気象観測所はサイト-37自体、およびSCP-1149の影響の円錐の境界に沿った複数の地点にある観測船から読み取りを行いました。高精度の記録が必要な時は静止衛星を使用しました。SCP-1149の台に通じるワイヤーはこれらの実験のために接地されていました。
実験W-01
SCP-1149の状態: 無風、1時間実験した(ベースラインテスト)
実験前の気象状態: 穏やか、東南東向きに約時速5kmの風、晴天
イベントの概要: この時間内に5つのイベントが記録された。1つ目は予想される程度の雨と雷を伴った異常に小さい積乱雲の形成と分散で、2分間続いた。2つ目は直径1km未満の小規模の霧で、45秒間続いた。3つ目は激しく暑い区域で、最初は海水の蒸発によって起こった。イベントの標高で気温は129℃に達すると測定され、それが30秒間続いた。4つ目のイベントはより狭い範囲で発生した別の小規模の霧で、周囲の区域と比べて約10℃の気温低下を伴い、3分25秒続いた。最後のイベントは、雲に覆われることなく形成された小さなウォータースパウトだった。竜巻は1分10秒続き、そのうちの30秒間は海面と接触し続けた。竜巻の最大瞬間風速は時速112kmに達した。
研究者のメモ: 簡潔にするために、以下の記録では新しく観測された現象のみを記す。
実験W-02
SCP-1149の状態: 時速5kmの風、62分間実験した
実験前の気象状態: 穏やか、東南東向きに約時速5kmの風、薄曇り
観察された影響: この時間内に6つのイベントが記録された。このうち、2つは新しい気象影響で構成されていた。これらのうちの最初のものは4分10秒間続いた。地球上でこれまで観測されていなかった構造の中に異常な密度の雲が形成された。この雲は存在している間、激しい落雷を伴い、雨を降らせ、それが雪になり、その後雨に戻った。2番目の特異なイベントは実験の終わりに発生し、5分間続いた。この間に、気温はイベントの標高で直径0.25kmまで拡大した区画で急激に低下し、気温は-80℃まで低下した。空気中の水蒸気が凝縮して凍結し、霧のような効果を生み出した。海面もこの影響範囲内で凍結しており、推定深度は1.2メートルである。
実験W-04
SCP-1149の状態: SCP-1149に垂直に吹く時速10kmの風(この実験には外部の送風機が承認された)、1時間実験した
実験前の気象状態: 南東向きに約時速15kmの風、本曇り、小雨
観察された影響: この時間内に4つのイベントが記録された。特異なイベントは発生しなかった。
研究者のメモ: これは垂直に吹いても影響がないことを示しているように思われる。おそらくより高い風速で何かが観測可能になるだろうが。
研究者のメモ: 余分なものであったために省略された実験W-06はさらに上記の理論を支持する。SCP-1149の長さに沿って移動する空気のみがそれに影響する。
実験W-07
SCP-1149の状態: 時速20kmの風、1時間実験した
実験前の気象状態: 南南東に約時速5kmの風、薄曇り
観察された影響: この時間内に、イベントは連続的に発生し、多くのイベントが同時に発生した。ほとんどが特異ではなかったが、3つは特に興味深いものだった。1つ目は、高密度で急速に回転する雲の塊だった。その奇妙な色が観察された後、さらなる分析によって、それが塩酸と混合された水、異常な水準の二酸化炭素、およびメタンからなることが示された。雲の塊は頻繁な雷と部分的に形成されたサイクロンを伴っていた。この出来事は9分25秒続いた。2つ目の特異な出来事は、極度の低気圧の区画の急速な形成と分散の繰り返しであり、これはその中にすぐに吸い上げられて落下した水柱によって観察された。この行程は、1分10秒の間に狭い範囲で6回繰り返された。3つ目の特異な出来事は、以前に観測されたイベントの変種だった。直径約20mの区域で気温は上昇し、急速に334℃に達し、合計11分間続いた。この間に海面が気化し、水蒸気が増えていった。このイベントは、実験に関与している観測船のうちの1隻近くで現れ、その結果、船の構造の一部に熱による損傷を与え、各乗組員にさまざまな程度のやけどをもたらした。この事件による死者はなく、観測船はダメージが大きくなりすぎる前に退却することができた。
研究者のメモ: 収容プロトコルが更新された。 このようなイベントでは、我々は人々がその地域に入るのを防ぐための体制が必要である。
実験W-17
SCP-1149の状態: 時速███kmの風、27分間実験した
実験前の気象状態: 穏やか、東南東に約時速10kmの風、晴天
観察された影響: すぐに雲が形成され始め、影響の円錐の中心から外側に広がった。雲の組成は、水、少量の水素、ヘリウム、アンモニアの凝縮混合物であると特定された。落雷が頻発し、約3分後からほぼ継続的に発生した。約5分で、気温は90℃を超えて上昇し、影響の円錐内の海はより速い速度で気化し始めた。実験中、観測船は撤退して損傷を回避することができた。
約15分で、雲の覆いは急激に凝縮し始めて急速に回転し始め、風は時速400kmを超える速度に達した。その時点で、間接効果によって影響の円錐の大きさが2倍になり、海洋は加速度的に蒸発し続けた。27分までに、回転する嵐は直径240キロメートルに達し、風速は時速███kmと記録された。非常に高い温度と圧力の小さな区域が観察され、空気の電離と雷に似た光と音の爆発をもたらした。衛星画像は、この時点で嵐の潮津波が[データ削除済]と強く類似していることを明らかにしている。
実験はこの時点で終了した。気象は急速に影響しなくなったが、3時間以上経過するまで完全には消えなかった。実験の終了から20分後に嵐が上陸したが、この時点では雲はほとんど水で構成されており、中程度の典型的な熱帯低気圧よりも軽度の被害を引き起こした。
研究者のメモ: 収容プロトコルが更新された。時速30kmを超えることなく、このことを十分にテストできると考える。それらの有毒な雲が上陸したなら、我々は問題を抱えているかもしれない。
補遺1149-3: 電気実験記録 全ての実験はサイト-37の閉鎖条件下で行われました。気象観測所はサイト-37自体及びSCP-1149の影響の円錐の境界に沿った複数の地点に位置する船舶から読み取りを行いました。高精度の測定値が必要な時は静止衛星を使用しました。SCP-1149はこれらの各実験において風速毎時5km以下でした。SCP-1149の台に通じるワイヤーは様々な電気信号に接続されていました。
実験E-01
SCP-1149の状態: 直流5V、0.5Aのワイヤーを適用、15分間実験した
実験前の気象状態: 穏やか、東南東に約時速5kmの風、薄曇り
観察された影響: 影響はW-07に類似した。実験は早々に終了した。
研究者のメモ: 直流は単にその効果を増幅するようだ。実験を延長する必要はない。
実験E-04
SCP-1149の状態: RS-232のような非同期シリアル通信の送信、単純なプログラムのループ出力を送信、1時間実験した
実験前の気象状態: 穏やか、北東に約時速10kmの風、薄曇り
観察された影響: 影響は特に不安定だった。一度に複数のイベントが発生してすぐに分散し、その後に穏やかな時間が続いた。時には、イベントは一緒にグループ化され、他のイベントでは明白なグループ化パターンを持たないことがあった。実験中も複数の時点で単一のイベントが発生した。観測されたイベントのどれも特異ではなかった。観察された行動の時系列をプログラムの出力の時系列と比較したとき、それ以上のパターンは推定できなかった。
実験E-11
SCP-1149の状態: 1Vの交流、60Hz、1Aのワイヤーを適用、2分21秒間実験した
実験前の気象状態: 穏やか、東南東に約時速10kmの風、晴天
観察された影響: 実験が開始された直後に、SCP-1149のすぐ西の約25km(16マイル)のところで単一のイベントが始まった。高圧、高温の小さな区域が形成され、その下の海が蒸発した。発生した蒸気の多くはその区域に引き込まれ、回転し始め、すぐに速度が上がった。水蒸気のサイクロンはすぐにおよそ0.4kmの高さに達し、それ自体がより多くの水を引き込むにつれてより高温かつ高密度になった。この時点で、風速は時速150kmを超えていた。1分30秒の実験の後、サイクロンは光を発し始めた。1分45秒後、サイクロンはおよそ1kmの高さまで成長し、即時の影響範囲はおよそ0.15kmだった。サイクロンに最も近い観測船は極端な光と熱の危険のために撤退し始めました。実験の2分21秒後、サイクロンは観測衛星から、拡大なしではっきりと見えた。サイクロンの熱と電磁場はサイト-37で測定可能であり、複数の収容警報を引き起こした。サイクロンに最も近い観測船は撤退を続けるにつれて熱による被害を受け始めた。
この時点で、電気信号はSCP-1149から取り除かれ、ワイヤーは接地され、チャンバー内の風は遮断された。その結果、サイクロンは急速に膨張して常圧に戻り、半径8km以上に渡って非常に熱い水蒸気と過熱された液体の水を放出し、██名の怪我と1人の死亡を観測員にもたらした。突然の拡大はまた小さな津波を引き起こし、沿岸で軽微な物的損害をもたらしたが、それは民間人の死傷者を引き起こさなかった。
研究者のメモ: 収容プロトコルが更新された。何を扱っているのかがわかるまで、この一連の実験を中止した方が良い。