SCP-1150-JP
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アイテム番号: SCP-1150-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1150-JPの湧出ポイントの周辺を覆うように、サイト-60██が建造されています。サイトの周囲は常時3名以上の警備員が巡回し、関係者以外の敷地内への侵入を阻止してください。湧出したSCP-1150-JPは、サイト内の小型発電設備において即時消費されます。実験の際はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得た上で、SCP-1150-JPのサンプリングは必ず1リットル未満としてください。

説明: SCP-1150-JPは、秋田県秋田市██の一区画から湧出する液体の総称です。組成は一般的な原油と同様ですが、外見的特徴は軽油に類似し、燃焼時の単位当たりの発熱量はガソリンとほぼ同等です。SCP-1150-JPは、湧出ポイントから毎時約60リットルのペースで湧出し続けています。燃焼後に発生する気体や残留固形物には、異常性は認められていません。

SCP-1150-JPの異常性は、蒸気圧が時間経過とともに増加する点にあります。湧出直後のSCP-1150-JPの20℃蒸気圧は約0.3kPaで軽油と同等ですが、湧出直後を起点として毎分約1.3%のペースで加速度的に増加していきます。また、蒸気圧曲線は温度低下に伴って緩やかに減少しますが、計算上、絶対零度下でも蒸気圧が0になることはありません。SCP-1150-JPの蒸気圧の上限を観測する試みは全て失敗に終わっています。

補遺1: 以下はSCP-1150-JP初期収容時、担当した三住博士がICレコーダーに口述した内容を文字に起こしたものです。

2018/07/19 9:05
 エージェント根岸より連絡。██にて近隣住民から消防署へ「地面から火柱が昇っている」との通報があった由。消火後も油の湧出が止まらず、また原油にしては不審な点があるとのことで、簡易調査のため後藤下級研究員と共に現地へ向かう。湧出が始まった時期や着火した経緯については現時点では不明とのこと。

2018/07/19 9:57
 現地へ到着。既に根岸他4名のエージェントが到着しており、消防署員に対する対応を行っていた。簡易キットによる分析では組成は一般的な原油と同等。しかし目視で確認する限り粘度は僅かであり透明度も高く、むしろ精油に近いように見える。この間もアノマリーの湧出は止まらず。とりあえず暫定的にAnomalousアイテムとして支部に申請し、アノマリー保管用の100リットル容器複数と現場を隠蔽するためのプレハブ、及び作業員の増員を要請する。

2018/07/19 11:15
 作業員がプレハブを施設している間に後藤研究員と暫定的な収容手順について協議。月並みな方法だが現地で容器に一時保存し、一定量が溜まるごとにサイト-81██に移送することとなった。容器を密閉するか否かについては議論があったが、気化したアノマリーの毒性について判断できないため、最終的に密閉式を採用。容器には冷却装置を取り付け、内部温度が-50℃を超えないように維持する。アノマリーを詰めた順に、容器にはct-1,2,3とナンバリングを行い、ct-10まで溜まるごとに運搬車でまとめてサイトまで移送する。

2018/07/19 12:30
 プレハブの施設が完了し暫定収容手順も決定したので、後のことをエージェントと作業員達に任せ、後藤研究員と共にサイト-81██へ帰還する。アノマリーの湧出速度から言って明日の朝には第一便がサイトに届くはずなので、詳細な分析と処分方法の検討についてはそれから行う予定。

(以降19:45まで音声記録無し)

2018/07/19 19:45
 エージェント根岸から緊急連絡。ct-1の圧力計が70kPaを超え、さらに上昇し続けているとの由。カバーストーリーの流布に人手を取られ、発覚が遅れたらしい。冷却装置の出力を上げ内部温度を-70℃まで低下させたが、圧力は一時的に低下してもすぐにまた上昇し始めるとのこと。エージェント増援と運搬車の手配を指示し、後藤研究員と共に急いで現地に向かう。

2018/07/19 20:35
 現地へ到着。ほぼ同時刻に7名の増援と運搬車2台も到着した。ct-1の圧力はこの時点で160kPa。ct-2が45kPa、ct-3が10kPa。蒸気圧が時間経過によって指数関数的に増加している可能性大。3本の圧力差から見積もって1時間に約2倍のペース。

2018/07/19 20:36
 方針を決定。既にアノマリー注入済のct-1~5の内、ct2~5を運搬車-1に積み込み、サイト-81██に移送する。ct-1については-70℃下でも既に大気圧を超えているため安全な処理は困難と判断。運搬車-2で現地から2.5km地点の██運動場に移送し、そこで爆破処理を行う。

2018/07/19 20:38
 エージェント及び作業員を運転手/誘導班/消火班に分ける。運搬車-1の荷台に後藤研究員が、2に私が乗り込み容器の監視を行う。本来現場対応は我々の得意とするところでないが、手が足りないのだから仕方ない。

2018/07/19 20:42
 ct-1を運搬車-2に載せ、██運動場へ向けて発車する。誘導班は近隣住民の避難誘導へ向かい、消火班は一定の距離を保ちながら運搬車を追走する。荷台へ衝撃を与えぬようあまり速度は出せない。10km/h程度でゆっくりと進む。

2018/07/19 20:52
 夏場の外気に晒されたためか、冷却装置の効きが悪くなってきた。内部温度は-35℃まで上昇。圧力計の値は210kPa。容器が膨張の兆候を示し始めている。これまで何度となく結果の知れない異常存在に接して冷や汗をかいてきたが、今ならはっきりと分かる。結果の知れている物の方が100倍怖い。

2018/07/19 20:59
 ██運動場に到着。敷地中央に停車させ、運転手と共に運搬車から飛び降りて急いで場外へ退避する。このまま爆破処理すれば財団は運搬車を1台喪失することになるが仕方ない。既に円筒状の容器は風船のごとく膨らんでいる。消火班が待機しているブロック塀裏まで駆け込んでようやく一息付けた。

2018/07/19 21:02
 エージェント根岸から周辺住民の避難が完了したとの連絡が入る。爆破処理を実行。遠隔操作によりct-1の弁を開放する。霧状の油が高速で噴出し、恐らくはそれにより発生した静電気により着火、爆発炎上した。約4分後に運搬車の燃料にも着火し二度目の爆発。敷地内の芝生約500m2を延焼したが、それから約20分後に消火班によって消し止められた。飛散した破片によって場内設備と近隣の住宅5棟に一部被害が発生したが、住民は既に全員が避難していたため人的被害は無かった。

2018/07/19 21:52
 後藤研究員から連絡。無事にサイト-81██に到着。ct-2については既に相当量まで圧力が高まっていたため、サイト屋外で同様に爆破処理を行ったとのこと。それ以外については、複数回に分けて焼却処分を進めているらしい。事後処理を終えたら私もサイトへ帰還する旨を伝え、連絡を終えた。
ーまったく今日はなんという日だったろう。

補遺2: その後の分析によってアノマリーの詳細な異常性が明らかとなり、Safeクラスに再分類、現在の収容プロトコルが確立されました。

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