SCP-1150-JP
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SCP-1150-JP

アイテム番号: SCP-1150-JP

オブジェクトクラス: Apollyon

特別収容プロトコル: SCP-1150-JPの収容は不可能です。SCP-1150-JPを除く全生物の存命個体は、日本の対蹠点近傍に位置する南大西洋上のサイト-1203に居住します。

説明: 現在、地球上に生育する全てのイネ科草本1はSCP-1150-JPに指定されています。属数は約670属、種数は約1万1,000種に上ると推測されます。SCP-1150-JPは極めて侵略性の高い植物群であり、その繁殖力は特殊化した地下茎に起因します。また、未確認元素を含有する一次細胞壁や強固なガラス層による破壊耐性を有し、駆除の困難性を高めています。

+ SCP-1150-JP形態形質詳細

上記の異常性は空気感染性を持ちます。SCP-1150-JPは損傷を受けた際、あるいは不定期に、テルペン類に分類される揮発性有機化合物(VOC)を放出します。SCP-1150-JPのVOCを感知した非異常のイネ科草本はDNAのヒストン修飾に基づくエピジェネティックな制御が誘発され、遺伝子の転写・翻訳過程が変化します。植物体内のタンパク質の組成・内訳が変化したイネ科草本はSCP-1150-JPとしての異常性を発現します。

2026年6月26日に行われた駆除・サンプル採取においてSCP-1150-JPはVOCを放出したと推測されます。周囲のイネ科草本との植物間コミュニケーションが連鎖し、地下茎の伸長と併せて正のフィードバックに従う加速的な分布拡大が生じたと考えられます。

2026年7月29日、SCP-1150-JPが陸域面積の約11%を優占した頃、放出されるVOCの組成に変化が認められました。新たに確認されたVOCは極めて強力かつ致命的な他感作用を示すことから、SCP-1150-JP-Aに指定されました。

SCP-1150-JP-A概略


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SCP-1150-JP-A

1. リガンドとしてのSCP-1150-JP-A

SCP-1150-JP-AはSCP-1150-JPが合成するタンパク質です。SCP-1150-JP-A自体は巨大分子であるため他の生物体への侵入能力を持ちませんが、SCP-1150-JP-Aを構成する一部のブユニットには独自の酵素活性が存在し、他のサブユニットの変化を触媒することで、SCP-1150-JP-Aは自己変形を可能とします。変形したSCP-1150-JP-Aは標的細胞の膜タンパク質に付着して細胞質基質内での各種代謝を誘発します。高い変形自由度のため、SCP-1150-JP-Aに対し完全な抵抗性を持つ生物種は2026年11月15日時点で確認されていません。

SCP-1150-JP-Aの作用を受けた生体細胞では生物学的カスケード──多数の分子が段階的に関与するシグナル伝達の連鎖が生じます。この連鎖を経て、SCP-1150-JP-Aによる少量の入力情報は指数関数的な爆発を起こし、標的生物(以下、対象)の体内中に拡散します。これにより、対象の全細胞で大規模な代謝の誘発が可能となります。


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動物細胞の模式図。細胞核(2)、小胞体(5, 8)、ゴルジ体(6)、ミトコンドリア(9)などの細胞小器官が図示されている。植物細胞は中心体(13)が存在しないほか、色素体が存在し、液胞が発達するという差異が認められる。

2. プログラム細胞死

SCP-1150-JP-Aにより結果的に誘発される代謝活動は、動物が多用するアポトーシスとは異なる様式で進行する、植物に見られるネクロトーシス型プログラム細胞死です。SCP-1150-JP-Aの影響下において、動物細胞ではp53遺伝子やbcl2遺伝子、植物細胞ではACD2遺伝子やlsd1遺伝子がヒストン修飾を受けて発現を調整され、細胞の死が決定されます。細胞死過程にある生物の細胞は特定の順序で分子が作用し、生体内から細胞集団の組織的な自殺が発生します。

ネクロトーシス型細胞死過程の初期段階では、ヌクレアーゼ活性により細胞核・ミトコンドリアがDNA分解を受けます。その後、プロテアーゼによる細胞小器官自体の分解が開始されます。ゴルジ体・小胞体などの細胞小器官は末端から全体に波及する膨張の後に消失し、遅れて細胞核・ミトコンドリアが消失します。植物細胞の場合、葉緑体は核・ミトコンドリアと同時期に消失します。

最終的に隣接する細胞により食作用で処理されるアポトーシスと異なり、ネクロトーシスでは死亡する細胞が自己を分解します。細胞質と細胞膜を全て消費した細胞は、存在する場合細胞壁を除き、単純な物質のみを残して完全に分解されます。この過程が全身の細胞で進行することにより、SCP-1150-JP-Aに曝露した対象は体重の約██%に相当する残滓を残してほぼ完全に消失します。

SCP-1150-JP-Aの対象には分解者たる細菌類も含まれます。このため、ネクロトーシス後の残滓は一切の腐敗の兆候を示しません。


SCP-1150-JPはSCP-1150-JP-Aを用い、イネ科草本に該当しない全ての地球生命の抹殺を開始しました。これによりSCP-1150-JPは競合する植物を放逐して加速的に勢力を拡大しています。一方、本来SCP-1150-JPにアンモニウムイオンや硝酸塩を供給する土壌中の窒素固定細菌・硝化菌、一次消費者を捕食する動物食性動物なども根絶状態にあります。当該の大規模絶滅によりSCP-1150-JPが得られる総合的な利益・損失の収支は不明です。

2026年11月15日現在、SCP-1150-JPは地球表層のほぼ100%を被覆しており、一部の海溝最深部や山脈などを除き大規模な草原が広がっています。地球上の生物種の推定絶滅率は9█%に達し、過去5億年間における第6にして最大規模のWK-クラス:大量絶滅イベントが進行中です。現行の生態系は壊滅しており、人工設備で飼育・栽培・保管される種とごく一部の極限環境生物のみが残存していると考えられます。



補遺: 詳細は別途資料SCP-1150-JPによる社会的影響およびサイト-1203開放経緯を参照ください。

倉敷市内での道路・鉄道網の麻痺やライフラインの寸断および根本的な地盤破壊を受け、SCP-1150-JPによる生活への圧迫を考慮し、日本政府と財団の間で住民の国外移住が提案されました。移住先候補地の1つとして、当時未使用であった最規模海上収容サイト-1203群が挙げられました。議論が継続される中、主要対策基地が福山・高松・赤穂まで後退し、また偏西風を介して紀伊半島・東海地方・アメリカ合衆国西岸にSCP-1150-JPが出現したことを受け、7月4日にO5評議会はサイト-1203群の臨時居住区としての開放を強行可決しました。

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サイト-1203-E。奥にサイト-1203-Fを確認できる。

日本国民を中心にサイト-1203群が難民の受け入れを開始した後、SCP-1150-JP-Aは北東貿易風を介して東南アジア地域、遅れて中南米地域に拡散しました。7月15日、O5評議会は世界オカルト連合(GOC)108評議会と共にLK-クラス:捲くられたヴェールシナリオの声明を発表。サイト-1203群を中心とする共同での世界規模の難民の受け入れを開始しました。

2026年7月29日のSCP-1150-JP-A放出により、特にそれまでSCP-1150-JPによる被害が無く、また財団・GOCと独立して難民の受け入れを実施していたヨーロッパ・アフリカ諸国を中心に、各国が壊滅的な被害を受けました。10月6日に国際連合の機能維持が困難となったことを受けてGOCは解体され、人員の多くは財団に吸収されました。2026年9月29日時点において、サイト-1203群には総計約2,470万人が居住しています。財団および民間居住者のボランティアにより、他地域に居住する生存者の探索が進められています。

サイト-1203群において、サイト内に通じる通路には消毒用設備とエアロックが設置され、利用時には防護服の着用が義務付けられます。水資源は徹底された除染・濾過を経て尿および海水が流用されます。居住者の食糧確保のため各種家畜飼育と農作物栽培が行われていますが、供給不足のため、培養肉やSCP-458の利用が検討されています。

2026年10月1日現在、海洋底上のSCP-1150-JPの地下茎が範囲を拡大しています。現状の伸長速度であれば11月██日頃にサイト-1203群の基礎に到達することが予想されます。

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2026/11/23 17:16 (UTC)

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