SCP-1150-RU
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財団による回収から27時間後のSCP-1150-RU

アイテム番号: SCP-1150-RU

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: オブジェクトは難燃性の綿で満たされたポリエチレン容器に入れられ、サイト7の低脅威オブジェクト管理ロッカーに収容されます。破損を防ぐため実験目的以外でのオブジェクトの持ち出しは禁止されます。オブジェクトを用いた実験にはセキュリティクリアランスレベル4以上の職員による承認が必要です。

説明: SCP-1150-RUは全長14cm、灰色で外見的特徴を持たない鉛筆の形をしています。オブジェクトを用いて通常の鉛筆と同様に筆記することができ、危険性は持ちません。材質調査によってオブジェクトは通常の木材とグラファイトによって構成されることがわかっています。にも関わらず、オブジェクトは異常な耐久性を持ちます。またオブジェクトは自らを修復、変化させる事ができます。
オブジェクトがいつ生まれたのかの判定は難しく、オブジェクト自身の主張によれば16世紀から存在しています。オブジェクトの現在の外見が人の手によって作られたものか、自身が変化させた結果なのかはわかっていません。オブジェクトが自身の現在の外見について説明することはありませんが、製作者がSCP-1150-RUの外見が他の鉛筆と異なるようになることは無いと話していた、と述べています。オブジェクトは無意識のうちに、時代に合わせた姿に外見を変えているとの推測があります。

オブジェクトを手に取った人間は彼の言葉を聴くことができるようになります。オブジェクトは対象の思考に直接語りかけてきます。この現象を経験した者は皆、オブジェクトが脳内にフレーズを置くことで意思を伝えてきたと述べ、このプロセスは「書写」と呼ばれています。
オブジェクトを文章の筆記に使用すると、筆記には他の鉛筆を使い自分の時間を取らせないようにと伝えてきます。しかしオブジェクトを描画に用いると、興奮しながら絵の不釣合い、誤りについて助言し始めます。アドバイスは基本的に、絵の不均衡、誤った線、余計な部分についてのものです。オブジェクトは職員との対話において、使用者に対して様々な指示をするものの、自力で描く事ができないため上手く行かないことがしばしばあると述べました。オブジェクトは協力的で、職員との対話に熱意を見せることすらあります。

SCP-1150-RUとの対話から、重要だと思われる事項は以下のとおりです :

・オブジェクトは約5██年前に制作された。
・オブジェクトは様々な有名画家と働いてきたが、不明な理由から彼らの名前を教えることは拒否した。
・鉛筆削りなどオブジェクトに損傷を与える行為は対象に凄まじい痛みを与える。
・オブジェクトは個人的な頼みとして、自分を利用するのは創造的な目的についての助言が必要な時のみにして欲しいと話した。
・高温、落下、高圧など通常の鉛筆の場合に考えられるような損傷を与えられると、オブジェクトが「死亡する」可能性がある。
今までに発生したことは無いが、これらはオブジェクトを破壊しうる。
・オブジェクトは絵画作品、線画作品についての深い知識を所有している。
・オブジェクトは所有者の知られたくない考えも読むことができる。
・オブジェクトはクラシック音楽を好まない。

SCP-1150-RUは運動能力を持たず、動くこと、周囲を見ること、物音を聞くこともできません。唯一オブジェクト自身が外部と関わりを持てるのは、温度です。実験により、オブジェクトは自身の気分によって自らの温度を11℃まで上昇させることがわかっています。

オブジェクトの性格は静かで穏やかだと考えられています。彼の声は「退屈そうで不機嫌な30歳くらいの男性」と報告されていますが、数人の職員は感じがよく、面白い話し相手だと考えています。オブジェクトの態度は相手をする職員の性格次第だと考えられています。SCP-1150-RUは彼の母語か、最も好ましいと思われる言語で訛りなく喋ります。オブジェクトは使用者が絵を描けない、オブジェクトの助言を無視する、不愉快な態度を取るなどによって興奮しやすい性格をもちます。

██████博士によるSCP-1150-RUとのインタビュー記録:

██████博士: 君について教えてくれ。

SCP-1150-RU: 私は鉛筆だ。

██████博士: 君の名前は?

SCP-1150-RU: 創造者は私を批評家と呼んでいた。

██████博士: 誰が君を作ったのかな?

SCP-1150-RU: わからない。ただ彼はイタリア語で思考していた。彼は様々なことについて考えを巡らせていたよ…絵だけではない。あらゆるメカニズムについて描くのを手伝ったものだ

██████博士: 他にどんな人間が君を使ったのかね?

SCP-1150-RU: 多くの人間たちさ。ある画家はユニークな風景画を描いていたが人物の顔に問題があった。結局そのせいで美術アカデミーに入ることは出来なかったな。彼の助けになれなかったことは残念だ…

██████博士: なるほど。君と接した人間はどんな反応をしたのかな?

SCP-1150-RU: 基本的に皆自分の気が狂ったと考えていたよ。そして私のことは悪魔だろうと。

██████博士: 最近の所有者はどうだった?

SCP-1150-RU: ウーム。首を吊った者や、私の話を聞くまいとナイフで耳を切り落とした者などはいたが。私は彼らをなだめようと努力したんだ。なぜ彼らが私自身を破壊しようとしなかったのかはわからんがね。

██████博士: 君の様な鉛筆は他に存在するのか?

SCP-1150-RU: わからん。おそらくいないだろうな。創造者は逝去するまで私と随分多くの時間を過ごし、彼の弟子に私を見せることもしなかった。

██████博士: 君はずっと誰かに所有されていたのかい?

SCP-1150-RU: いいや。ある凡人は私の話を聞こうとしなかったので[削除済み]と呼んでやったのだが私を投げ捨ておった。

██████博士: 君はどうやってそんなに長い間生き延びてきたのかね?

SCP-1150-RU: 私と働いた画家たちは私を大変丁寧に扱ってくれたのだ。

██████博士: しかし…先程投げ捨てられたことがあると話していただろう?

SCP-1150-RU: ああ、そうさ。誰かが私を拾ってから長い間しまい込まれていた。

██████博士: つまり、あと少しですっかり忘れ去られてしまうところだったわけだね。

SCP-1150-RU: おそらくそうだろうな。私自身どこにいるのかわからなかった。彼が私を机の中にしまってくれたのは幸運だったよ。誰かの手に持たれていないと私は見ることも聴くこともできないからね。

██████博士: 周囲の人間の思考に働きかけて君を手に取らせることは出来なかったのかい?

SCP-1150-RU: いいや、私に出来るのは彼らと話すことだけさ。

██████博士: 君がどんな作品に携わってきたのか教えてくれ。

SCP-1150-RU: ああ、随分沢山の仕事をしてきたものだ。一番最初は[削除済み]

回収経緯: SCP-1150-RUはニューヨーク出身の心理学者████████ ████████が███████ █████に投稿した論文により発見されました。ある日彼のもとに鉛筆と会話できると話す患者が訪れました。██████はこの鉛筆を精神医学クラスに持ち込みました。オブジェクトを手に取ると、██████はすぐにオブジェクトの話を聞き取り、███████ █████へ投稿する論文を書き上げました。この記事が財団職員の興味を引き、████████国の協力の下オブジェクトは問題なく回収されました。作戦終了後心理学者と患者にはCクラス記憶処理が施されました。

オブジェクトは自らが鉛筆である事を理由に、自身の詳細については思い出せないと述べました。SCP-1150-RUは自身の性質や異常特性の由来について興味を持たないと話の中で触れました。
補遺1150-01: ██████博士は、SCP-1150-RUの持つ異常性の調査に用いる材質サンプルの採取方法として、オブジェクトを鉛筆削り器にかける事を提案しました。
実験はDクラス職員によって、SCP-1150-RUの指示の下で行われる事になりました。実験によって2秒間鉛筆削り器で削られると、オブジェクトはDクラス職員の頭のなかで甲高い叫び声を上げました。このため実験は即座に中断されました。実験データは鑑定にかけられ、物理的損傷は発生していないことが確認されましたが、オブジェクトの精神状態は不安定でした。
オブジェクトは「削る」行為を、発生する熱が自身に損傷を与えるおそれがあるとして中止するよう求めました。オブジェクトとの良好な関係を保つため、オブジェクトを鉛筆削りにかけることは今後行われません。

SCP-1150-RUは耐久性のある芯を持つため削って尖らせる必要はありません。オブジェクト自身への安全性のため、使用が許可されることはほとんどありません。

補遺1150-02: ███████研究員はSCP-1150-RUを使用して何か下品なものを描くようにとの指示を受けました。研究員が[削除済み]の絵を描き始めるとオブジェクトは研究員に罵声を浴びせ続けました。オブジェクトは研究員を[削除済み]と呼び、手の中で発熱し始めました。今後同様の実験は必要性が無い場合行われません。

補遺1150-03: ██████博士は二人の研究員に同時にオブジェクトを握らせる実験を提案しました。二人の研究員は同時にオブジェクトを手に掴み、話しかけようと試みました。実験後、研究員はオブジェクトを通じて研究員同士で会話することができたと報告しました。この事からオブジェクトは保持している人間を含めた「テレパシー会議」を起こせる事がわかりました。オブジェクトは既にこういった事を起こした経験があり、一度に参加できる人数に上限が無いと話しました。

補遺1150-04: ████████博士はオブジェクトの接触がどの程度の伝達性を持つかの実験を自身で行いました。手袋、皮革、紙、木材を挟んでオブジェクトと接触しましたが、テレパシー的コンタクトを取ることはできませんでした。手足の指、手のひら、ひじ、頬による接触は問題なくオブジェクトとコンタクトを取ることができました。この結果からオブジェクトとの接触には皮膚が直接触れる必要があるとわかりました。

補遺1150-05:████████博士が提案した[削除済み]によるオブジェクトへの接触実験は却下されました。

注: オブジェクトと会話するために身体の一部を直接接触させなければならないということはもう十分に分かっている。[削除済み]によるこの接触実験に意味など無いし…単純に不愉快だ。 - S.████████博士

補遺1150-06: ████████博士はオブジェクトの強度を測定する実験を提案しました。この実験はオブジェクトが変形し始めた時点で終了するという条件付きで承認されました。この実験には2つの万力と、負荷の指標として水圧減少モデルが用いられました。

実験記録1150-06A

負荷: [5N(ニュートン)]
結果: [変化なし]

負荷: [10N]
結果: [変化なし]

負荷: [20N]
結果: [変化なし]

負荷: [40N]
結果: [変化なし]

負荷: [60N]
結果: [変化なし]

負荷: [80N]
結果: [変化なし]

負荷: [100N]
結果: [変化なし]

[削除済み]

負荷: [13400N]
結果: [変化なし]

負荷: [14000N]
結果: [変化なし]

負荷: [15400N]
結果: [変化なし]

実験終了

注: 奴は俺たちをひっかけやがったんだ!私は壊れやすい鉛筆だから取扱にはなんたらかんたらと。1.5トンの負荷をかけてもびくともしなかった。これでなぜ奴が5世紀の間生き延びてこれたのかわかったな。 - L.████████博士

実験1150-01とは異なり、この実験においてオブジェクトは何も感じていないようでした。恐らく現時点でオブジェクトを破壊する方法は鉛筆削り以外に存在しないだろうと考えられています。

注: 彼の耐火性を調べる必要があるな。 - L.████████博士

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