
SCP-1152-JP-3。
アイテム番号: SCP-1152-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-1152-JPは現在、A4の紙に印刷してサイト-8152の標準的文書保管庫に収容されています。移送時等にSCP-1152-JPを他の媒体に模写する場合は文字が正方形に並ばぬよう細心の注意を払ってください。財団の努力によってSCP-1152-JP-1~4が書かれた文書はすべて破棄されたと推測されていますが、新たに発見された場合は該当箇所を他の字体で書き換えた精巧なコピーを作成したうえで、破棄、偽装してください。
事件1152-JP-02を受けて、新たなSCP-1152-JP-Aの発生の可能性が指摘されています。SCP-1152-JPによるものと考えられる事故が起きた際は、直ちにカバーストーリーの流布等、事態の収拾に努めてください。具体的な方法は事件記録1152-JP-02を参考にしてください。
説明: SCP-1152-JPは、異常性を持つ4文字の変体仮名です。それぞれ「せ」「す」「ひ」「け」の音を表し、SCP-1152-JP-1~4と分類されます。
SCP-1152-JPの異常性は、4文字が同一の媒体に全く正確な正方形の四隅に書かれた状態で、文字が書かれた媒体(SCP-1152-JP-Aと指定)が「室内」1に置かれたときに発揮されます。SCP-1152-JPは、「室内」に上下左右を無色透明の壁によって囲まれた空間を展開します。空間を囲む壁は一切の物質を通さず、また大気圧による影響を受けません。そして同時に、空間内のすべての気体が消失します。呼吸器系内の空気は直ちに完全に失われるため、空間内の生物は呼吸困難、肺の甚大な損傷により危篤状態に陥ります。文字が風化し識別不可能になること、書かれた物体が破損し、正方形が崩壊すること、部屋の破壊によって「室内」としての認識が不可能になることなどで異常性は失われます。破損した状態の物体は、再びつなぎなおされても異常性を発揮することがありません。
SCP-1152-JPが関わったと思われる記録上最古の事件は、18██年に██県██市にある、入定を試みたらしい貴族(1210年頃没と思われる)の墓を調査した際、遺体が完全なミイラ状態を保っていたことです。ほとんどの入定ミイラにみられる栄養不足の痕跡や、墓に通気口の類が全くなかったことを不審に思った、この時調査チームに加わっていた財団のエージェントが出土品の花崗岩製の石板に目を付け、持ち帰り調査を行ったことで異常性が発覚しました。当初、強い脱酸素作用を持つ石板のAnomalousアイテムとして収容されましたが、事件1152-JP-01(事件記録1152-JP-01参照のこと)によってオブジェクトがSCP-1152-JPとして登録されました。その後、石板は運搬に不向きなため破壊され、紙媒体で保存するという現在の特別収容プロトコルが確立されました。
なお、文字は完全な正方形に並べられることが必要であり、その基準は非常に厳密であるため、SCP-1152-JPの影響を受けた物体は、上記の石板と下記の事故、財団内の実験で生じたものを除き、確認されていません。しかし、事件1152-JP-02の通りSCP-1152-JP-Aは条件さえそろえばいついかなる場所にも出現し、しかもその可能性は年々増大しています。現在、専用機動部隊の結成が議論されています。
事件記録1152-JP-01: 20██/██/█、SCP-1152-JPの担当職員であった██ ███氏が自身のオフィス内で窒息死しているのが発見されました。
当時██ ███氏のオフィスは真空状態にあることが確認され、SCP-1152-JPの関与が疑われたため、異常性を発揮している媒体の破壊が最優先で画策されました。調査の結果、██ ███氏のパソコンが異常性を持っていたことが判明し、オフィスの電源を落とすことにより事態は収束しました。
その後██ ███氏が最後に編集していたのがSCP-1152-JPを正方形に並べた模式図であることが判明しました。このことから、石板はAnomalousアイテム認定を取り下げられ、文字がSafeクラスオブジェクトとして認定されました。
事件記録1152-JP-02: 20██/██/█、██県に存在するビルの6階を占めるタイポグラフィを行う会社のオフィスで職員██人が死亡する事件が発生しました。フロア全体が真空になる特異な状況から、緊急に財団エージェントが派遣され、調査が行われました。オフィス内のパソコンの1つがSCP-1152-JP-Aに変化しており、オフィス内の電源の切断により事態は収束しました。
当時、SCP-1152-JP-Aはテキストの編集中であり、テキストには[編集済み]草書体フォントが使われていたことが分かっています。検査の結果[編集済み]フォントの原型となった[編集済み]流の字体の崩し方がSCP-1152-JP-1~4と一致しており、文書中でそれらの文字が正方形に並んだために事件が発生したことが判明しました。
財団は事態の収束のため同じビル内の職員及び被害者の知人に対して記憶処理を行い、カバーストーリーが流布されました。また調査結果を受けて、事件の再発を防ぐため、[編集済み]流の教本、教室等を平和裏に撲滅しました。
SCP-1152-JPは既存の、よく知られた文字を崩したものである以上、完全な収容は不可能である。しかし異常性の発現は、機械的な正確性を求めるため自然と食い止められてきた。そのしがらみも今、解き放たれようとしている。デジタル機器の出現によってSCP-1152-JPの異常性は容易に再現可能になってしまったのだ。 - ██博士