
収容室内のSCP-1155-RU
(SCP-1155-2はこの写真には写っていない)
アイテム番号: SCP-1155-RU-J
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1155-RU-Jの全個体(SCP-1155-2を除く)は、第7厨房の専用テーブルに設置された調理板の上に安置し、小麦粉を振りかけた状態を保つことで収容するものとします。調理担当者は12時間ごとに新しい小麦粉を振りかける作業を行ってください。SCP-1155-2は、小麦粉を詰めた袋の中に閉じ込めた上で、20度以下の温度を保つよう設定された冷蔵室にて収容するものとします。いかなる場合においても、SCP-1155-1とSCP-1155-2を接触させてはなりません。SCP-1155へのアクセス許可を求める職員(挑発行為に動じない性格傾向の持ち主であることが望ましいです)には、事前の特殊心理トレーニングへの参加が義務付けられています。SCP-1155が何らかの活動を行っている様子が確認された場合は、必ずその旨をDr.ライタッカーに報告してください。収容違反発生時には、全職員が速やかにプロトコル3-Gamma Alpha-637-PN-445-Blue-TRUST-4.2.23に従って行動するよう定められています。プロトコルを順守できなかった場合に予想される事態は、危険度最小レベルで財団職員複数名の死亡、最大レベルでSK-クラスシナリオの発生です。
絶対にSCP-1155を食べようとしてはいけない。特に生では。ただのペリメニだと思って食べたら最後だ。非常に危険な代物だということを心得ておくように。 - Dr.ライタッカー
説明: SCP-1155は、36個のペリメニ1(牛挽肉入り)です。製造日、製造者、銘柄等は一切判明していません。組成は「█████████」の製品名で知られるペリメニと概ね一致していますが、挽肉の中には黄色いゼリー状の核が包まれています。この核は蟻酸に似た成分によって構成されていますが、実験の結果が示すところによれば、その機能は脳に相当するものです。
全36個体の中には、他の個体と明確に区別可能な大きさと性質を有するものが2体存在します。うち1体は、全個体の中で最大の大きさ(直径約10cm)を持つ「女王」です(以降、これをSCP1155-1と呼称します)。SCP1155-1は繁殖活動を行う個体であり、他の個体によって護衛されています。もう1体は、中程度の大きさ(直径約6cm)を持つ「指揮官」です(以降、これをSCP1155-2と呼称します)。SCP1155-2は他の個体を指揮する個体であり、さらにSCP1155-1と交尾を行って後述の「兵隊」を補充する役割も持っています。残りの小型の個体(直径約3cm)はSCP1155-2に指揮される「兵隊」であり、繁殖活動は行いません。SCP1155-1以外の全ての個体は、通常のペリメニであれば皮の合わせ目に当たる部分が口となっており、これを発声および摂食に用います。SCP-1155の最大の特徴は、「兵隊」がSCP1155-2から命令を受けるか、または核の損傷に至らない程度の傷を受けたときに、生物ないし有機組織に攻撃行動を取るという性質を有することです。SCP-1155-2が攻撃命令を出した場合、「兵隊」は攻撃対象に襲いかかり、肉片を食いちぎって殺害します。「兵隊」は有機組織を食べることで自己再生を行う能力を持つため、無力化は容易ではありません。命令がない場合でも、傷を受けた「兵隊」は、独自の判断で付近に存在する有機組織を摂食して再生を行います。
興味深いことに、攻撃命令の対象となる人物は、そのほとんどがペリメニを好んで食する嗜好を持っています。SCP-1155の最終目的は、その行動傾向や発言内容2から推測する限り、世界を征服し、人類を奴隷および食料として利用することのようです。SCP-1155は飛び跳ねることで移動を行いますが、その際の跳躍高度および跳躍距離は最大で約1mに達します。SCP-1155-2と「兵隊」の知能程度や精神年齢は、それぞれ中年の男性と13歳前後の少年のそれに相当しますが、SCP-1155-1は発声能力を備えておらず、「兵隊」を産み出す以外の活動を行う能力も持っていません。3
実験の過程で、SCP-1155は小麦粉との接触によって弱体化することが判明しています。現在の収容方法はこれを利用して考案されたものです。脱走の試みは過去複数回に渡って繰り返されており、その行動からは、SCP-1155が高度な軍事知識と連携能力を有していることが窺えます。財団がSCP-1155を発見するに至った経緯、並びにSCP-1155に対して行われた実験の詳細については、以下の記録を参照してください。
発見および回収活動の記録: 20██/██/██の██時頃、██████████州██████市内のペリメニ専門店「██████████ ███」から、警察および救急に緊急の通報が繰り返し行われた。通報の内容は、激しい悲鳴、助けを求める声、さらには「俺が食ったペリメニが、内側から俺を食ってる」「助けてくれ、飯に食われてるんだ」「ペリメニに襲われてる、もう何人か殺された」といったものであり、財団は即座にエージェントチームの派遣を決定。現場に到着したエージェントは、小動物に食べ散らかされたかのような複数体の人間の死体と、部屋の中央に集まっている20個のペリメニを発見した。エージェントがこれを調べようと接近すると、比較的大型の2個以外のペリメニが動き出し、エージェントへの攻撃を開始。エージェントには防護装備が支給されていたため、この攻撃による深刻な被害は生じていない。動かなかった2個のうち片方が「まるで軍隊の指揮官のように」小型のペリメニに命令を出していたとエージェントは証言し、さらにこれらのペリメニには有機組織を摂食して再生する能力があることも判明。全てのペリメニは鋼鉄製コンテナで臨時隔離施設に移送され、その後の実験によって収容方法が確立された。事件の目撃者と生存者には記憶処理を施し、狂った暴徒の襲撃による殺人事件に巻き込まれたという偽記憶を処置済みである。
補遺-01: SCP-1155-RU-Jに関する実験記録