SCP-1162-JP
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アイテム番号: SCP-1162-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1162-JPは保管サイト-81██の地下収容室に施錠保管されます。SCP-1162-JPを用いた実験を行う際はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員に申請してメンタルヘルステストを受けて下さい。実験は防音設備を備えた実験室で実施される必要があります。

説明: SCP-1162-JPは全長60cmの異常性を持ったヴァイオリンです。分析の結果、本体の木製部分は米唐檜、楓、黒檀、柘植、ローズウッドなどの複数種の木材で構成され、未知の生物由来の素材で作られた弦が使用されていることが判明しています。SCP-1162-JPの裏板には品番やシリアルナンバーの代わりに『Himeropê1』と書かれた銘板が貼られています。

SCP-1162-JPの半径50m圏内に聴力を備えた人間が侵入すると、SCP-1162-JPの弦が独りでに振動し楽曲の演奏を開始します。この時演奏される楽曲に関しての規則性は判明していませんが、テンポが遅く優雅な曲調の楽曲が選ばれる傾向にあります。演奏イベント中のSCP-1162-JPに直接触れた人間は直ちに昏睡状態に陥り、その後肺が自身の体液で満たされることによって溺死します。肺内に分泌される体液の組成は羊水に類似していますが、その分泌のプロセスは解明されていません。上記のプロセスにおいて対象は一切の苦痛を示すことなく絶命します。またSCP-1162-JPによる演奏2を聴いた対象はデストルドー3が誘発されると同時に、SCP-1162-JPが持つ異常性を直感的に理解します。この結果SCP-1162-JPの演奏を聴いた対象は多くの場合SCP-1162-JPに直接触れたいという欲求を覚えます。これは日常的にストレスや自殺願望を抱える対象に対してより強い効果を発揮することが判明しています。精神的に十分健康な対象はこの欲求を克服することが可能です。

発見経緯: SCP-1162-JPはPoI-1162-JPの溺死体とともにPoI-1162-JPの自宅の地下室から発見・回収されました。PoI-1162-JPは複数の難病患者や自殺志願者に対し嘱託殺人を行った容疑で逮捕されましたが、殺害方法が不明であったため不起訴となり、財団のPoIリストに登録されていました。

実験記録抜粋:
実験記録001 - 日付2007/08/17

対象: D-9874

実施方法: 演奏イベント中のSCP-1162-JPに接触させる。

演奏された楽曲: モーツァルト《レクイエム》より《Benedictus》
 
結果: 接触後昏睡状態に陥り、4分後に死亡が確認された。

実験記録002 - 日付2007/08/17

対象: D-6588

実施方法: 演奏イベント中のSCP-1162-JPに接近させ、SCP-1162-JPに触れないよう指示。

演奏された楽曲: ベートーヴェン《ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61》

結果: 対象がSCP-1162-JPへの接触を試みたため、指示に従わない場合終了処分になることを警告。対象は「どうせ結果は同じだ」などと発言した後SCP-1162-JPに接触。接触後昏睡状態に陥り、5分後に死亡が確認された。

実験記録017 - 日付2007/08/24

対象: D-10070,D-10071

実施方法: 演奏イベント中のSCP-1162-JPにD-10070を接触させ、5秒後にD-10071を接触させる。

演奏された楽曲: ショパン《別れのワルツ》ヴァイオリン用編曲

結果: 接触後両者とも昏睡状態に陥り、1分後にD-10071が激しくもがくような動作を行い大量の体液を吐き出す。その後研究員により蘇生処置が施され一命を取り留めた。D-10070は接触から5分後に死亡が確認された。実験後D-10071がSCP-1162-JPとの接触を強く拒否するようになったためインタビューが行われた。

実験記録018 - 日付2007/08/26

対象: D-10082

実施方法: 演奏イベント中のSCP-1162-JPに接触させ、脳波の解析を行う。

演奏された楽曲: バッハ《G線上のアリア》

結果: 接触後昏睡状態に陥り、死亡するまでの4分間の間脳波の測定及び解析が行われた。

インタビュー記録:

対象: D-10071

インタビュアー: 橋本研究員

<録音開始, 2007/08/25>

橋本研究員: こんにちは。調子はどうですか、D-10071。

D-10071: 調子はどうですか?あんたらがやった実験のせいだろうが。よくそんな口が聞けるな。

橋本研究員: …D-10071、あなたは先日の実験の後SCP-1162-JPとの接触を強く拒否するようになりましたね。その理由を話して下さい。

D-10071: SC..?ああ、あのバイオリンね。あんなクソッタレなバイオリン二度と拝むもんか。

橋本研究員: そう考えるようになったきっかけはありますか?

D-10071: 簡単だ。あんたもあれに触ればいい。そしたらすぐに分かるぜ…….分かった、冗談だ。ちゃんと話す。まず、あのバイオリンから流れる音楽だが、聴いてるとと凄い死にたいって気持ちが湧いてくるようになるんだ。そしてあのバイオリンに触れば苦しまずに死ねるんじゃないかってなぜか思うようになる。

橋本研究員: 続けて下さい。

D-10071: そしてあのバイオリンに触ると急激に瞼が重くなって眠っちまう。それから夢を見るんだ。水の中で音楽を聞く夢だ。

橋本研究員: 接触後も意識があるということですか?

D-10071: いやなんというか、言っただろ。夢の中って。意識はあるけど眠っているみたいな。とにかくすごい穏やかな気分になるんだ。水の中から水面の方を見上げていて、自分が見上げている場所にはさっきのバイオリンがある。そしてそのバイオリンから音楽が流れているんだ。

橋本研究員: その夢の情景を詳しく説明してくれますか?

D-10071: 俺はその音楽を聞きながらゆっくりと底の方に沈んでいくんだ。自分の意識が水の中に溶けていくような心地いい感覚だった。水の中だったが息苦しいっていう感覚はなかった。その時はそれがおかしいってことには気が付かなかったし、自分がそれまで何をしていたのかも完全に忘れていた。そしたら俺の服を誰かが引っ張る感覚がして、ちょいと首をひねって水底の方を見たんだ。

橋本研究員: 続けて下さい。

D-10071: 俺の真下には俺と一緒にバイオリンに触った奴がいて、そいつが俺の服を引っ張っていた。俺たちより下の方にはもっとたくさんの人がいて、みんな気味悪い薄笑いを浮かべながら上の方を見上げていた。多分さっきまでの俺みたいにバイオリンの音楽を聞いてたんだろ。それからもっと底の方には…あれは俺には何か分からない。とにかくバカでかい口と小さい目ん玉があって俺たちが沈んでいくのを口を開けて待っていたんだ。まるで醜い深海魚かなんかみたいだった。

橋本研究員: 水中の人間の中にあなたが知っている人物はいましたか?

D-10071: いや、俺が知ってたのは俺と一緒にバイオリンに触った奴だけだった。でも沈んでいくやつのうち何人かは俺と同じようなオレンジ色のツナギを着てたし、そうじゃないやつも混ざってた。とにかく俺はもうその時には水の底の化け物にビビりまくって、必死で水面を目指して泳いだんだ。途中で水を飲んじまって死ぬほど苦しかったが、何とか水面に顔を出して思いっきり息を吸った。そこで俺はあのバイオリンがある部屋に戻ってたんだ。

橋本研究員: つまりあなたはSCP-1162-JPに接触した際に夢に登場する怪物に恐怖しているため接触することを拒んでいるということですか?

D-10071: ああそうだな。あいつは死ぬってことを素晴らしいもの見せて、餌にしてるんだ。あいつは俺たちが沈んでくるのを待ってる。あそこに行くのは死んでもごめんだね。

<録音終了>

D-10082の脳波解析によって得られたメディア:

SCP-1162

D-10082の脳波解析によって得られた画像

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