アイテム番号: SCP-1169
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 損傷防止のため、SCP-1169は鋼鉄製の機密保護コンテナに、形状に合わせた発泡ゴムパッドと共に保管されています。SCP-1169は生物学的有害物質として取扱います。SCP-1169-1に汚染された対象者とその結果としての子孫は、有益な観察がこれ以上見込めなくなった時点で全員終了し、バイオハザード物質として焼却処分されることになります。不可逆的に不妊である職員が優先的に割り当てられます。
説明: SCP-1169は大型のガラス貯蔵容器であり、内部にはGiraffa camelopardalis、即ちキリンの胎児(保存時に妊娠13ヶ月目だったと推定される)がホルムアルデヒド漬けで保存されています。容器にはガラスの蓋と、メーソンジャーに典型的なレバー機構で閉じるゴムパッキンが付随していますが、ブランド名は存在しません。ゴムパッキンと金属部分は深刻な経年劣化に曝されています。保存されている標本は遺伝子異常を示しませんが、身体の内外に奇形が見られます。最も顕著な特徴は、推定される発育段階の典型的なGiraffa camelopardalisに比べて遥かに短い首です。
保存液(SCP-1169-1と指定)はプラチナ、タングステン、ヒトインスリン、および3種類の識別不能な有機化合物(分光学的分析に関しては文書1169-1-ラムダを参照)の痕跡などの、異常な不純物を幾つか含んでいます。それ以外の点では通常のホルムアルデヒドと同様の蒸発性質と凍結性質を有するにも拘らず、SCP-1169-1は周辺大気中での濃度が250 PPMで均一になるまで一定の割合で蒸発し続けます。この過程は、SCP-1169を損傷せずに検証可能な限度内においては、周囲温度や圧力による影響を受けません。SCP-1169-1の容積は蒸発やサンプル採取では減少しません。
吸入または長時間の接触状態に置かれたSCP-1169-1は速やかにあらゆる動植物の循環系へと吸収され、生殖器官(精巣、卵巣、結実芽など)に蓄積していきます。SCP-1169-1は有機系から自然に発散されることが無く、生殖器官の外科的切除以外では人為的な除去も不可能です。異常効果はSCP-1169-1曝露後に生まれる全ての子孫に影響を及ぼし、その重症度は妊娠期間中の親の体組織におけるSCP-1169-1の濃度に左右されます。
ステージ1、15-75 PPM: 汚染された親の特徴は、親子間に典型的な遺伝的差異にも拘らず、子供に圧倒的なまでに反映されます。子供は高確率で(全観測例の80%)汚染された親と同じ性別であり、同程度の割合で、親に見られる先天性疾患を持って生まれます。成長した子供の外見は、親が同じ年齢だった頃と強い類似性を持ちます。
ステージ2、75-120 PPM: 子供はどの成長段階においても汚染された親と肉体的に同一です。全ての先天性疾患と表現型は、実験可能な限界を超える域まで正確に再現されます。特筆すべき点として、親と子は遺伝的に同一という訳ではなく、両親から受け継いだ遺伝子のあらかじめ予測可能な分布を見せています。しかし、SCP-1169-1に汚染されていない親からの遺伝子は発現しません。この結果、子供は遺伝的には女性にも拘らず肉体的・機能的には男性というケースや、その逆のケースが発生し得ます。
ステージ3、120-180 PPM: ステージ2に加え、子供は時間と共に追加の肉体的異常性を発展させます。子供は、同じ成長段階において親が経験した全ての肉体的変化を自然に反映します。即ち、子供は原因不明・治療不能の壊死によって親が切断したものと同じ四肢を喪失する、皮膚や肉が自発的に断裂して親の傷跡と正確に一致する治り方をする、皮膚の色素沈着の非定型的な転移によって親の刺青を再現するといった体験をします。子供は親と同じ指紋、網膜パターン、および他の生体指標を有します。運動感覚的に学習したスキルも同様に親から子へ引き継がれますが、より知的な習熟度はこの限りではありません。例として、熟練のコンサート・ピアニストだった対象者D-1169-48の子供であるD-1169-48-bは、ベートーベンの“月光ソナタ”を録音で聞いた後に上手に演奏することは出来たにも拘らず、強い脅迫下においてさえも同曲の楽譜を読解することは不可能でした。受胎後に親が学習したスキルは反映されません。