SCP-1211-JP
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SCP-1211-JP空間へ侵入可能な地点の一つ。一般には███古墳として知られていた。

アイテム番号: SCP-1211-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1211-JP空間へ侵入可能な全ての地点は財団のフロント団体によって所有・管理され、民間人の立ち入りが禁止されます。SCP-1211-JP実体群によって発生した物品が発見された場合、直ちに回収され、必要に応じて記憶処理、カバーストーリーの流布が行われます。

SCP-1211-JP実体群による物品の発生を防ぐため、プロトコル・ピンチヒッターが施行されています。詳細は補遺を参照してください。

説明: SCP-1211-JPは日本国内の複数の地点から侵入可能な部屋型の小型異常空間と、その内部に定期的に出現する、知性と発話能力を有する11体の動物型実体群(SCP-1211-JP-01~11)の総称です。以下に実体群の特徴を表記します。

番号 特徴
01 カヤネズミ(Microtus minutus) 型の実体。
02 黒毛のウシ(Bos taurus)型の実体。
03 トラ(Panthera tigris)型の実体。
04 ニホンノウサギ(Lepus brachyurus)型の実体。
05 アオダイショウ(Elaphe climacophora)型の実体。
06 栗毛のウマ(Equus caballus)型の実体。
07 ヒツジ(Ovis aries)型の実体。品種はコリデール種と推定される。
08 ニホンザル(Macaca fuscata)型の実体。
09 ニワトリ(Gallus gallus domesticus)型の実体。
10 イヌ(Canis lupus familiaris)型の実体。品種は柴犬と推定される。
11 ニホンイノシシ(Sus scrofa leucomystax)型の実体。

SCP-1211-JP実体群は、毎週火曜日と金曜日の13:00に出現します。出現後、実体群は"会合"と称し、会話を行います。会話の内容は典型的に日本国内の政治・経済・文化等についてですが、不正確な情報に基づいている場合が多く、意味のある情報はほとんど含まれません。会話は4~5時間程度で終了し、実体群は消失します。

SCP-1211-JP実体群は、それぞれ、日本において十二支に関連づけられた生物(十二生肖)と対応しているとされていますが、「辰」に対応する個体のみが存在しません。SCP-1211-JP実体群への事情聴取によれば、「辰」に対応する生物である、ニホンリュウ(Jamata japonicus)の絶滅がその原因であるとされています。

ニホンリュウはかつて日本に生息していた、異常な飛行能力を有する爬虫類型生物です。1979年を最後に公式な目撃記録はありません。現在、財団が有するニホンリュウに関する資料は、蒐集院から引き継がれた記録および、1950年代から1960年代に行われた異常動物学者のチームによる僅かな調査報告のみです。

前述した「辰」に対応する個体の不在を原因とし、SCP-1211-JP実体群は、「辰」に対応する個体の代役あるいは後継者を募集する内容の掲示物を発生させます。特にSCP-1211-JP-01がこの物品発生に積極的に関与していると考えられています。物品の発生は日本国内に限られますが、発生位置のパターンには一貫性がなく、予測は困難であり、SCP-1211-JPの収容における最大のリスクとされています。

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掲示物の一例。黒塗り部にはSCP-1211-JP空間侵入可能地点の住所が表記されていた。

以下はSCP-1211-JP実体に対するインタビュー記録です。

対象: SCP-1211-JP-01。SCP-1211-JP実体群の代表としてインタビューに応じた。

インタビュアー: エージェント・乾

付記: 財団がSCP-1211-JP実体群と接触して3度目のインタビュー記録。掲示物の発生についての情報収集が目的。

<記録開始>

インタビュアー: このポスターについてお話を伺いたいのですが。

対象: いいポスターでしょう?写真写りもいいし気に入ってるんですよ。

インタビュアー: ポスターの中身ではなくて、なぜこれを貼っているのかをお聞きしたいです。

対象: それはもちろん書いてあります通り、新メンバーの募集ですよ。欠員が出たという話は前にしましたでしょう。

インタビュアー: ええ、覚えています。しかし、11ではダメで、どうしても12でなくてはならない理由というのはあるのですか。

対象: 11は素数じゃないですか。12は2でも3でも4でも割れるんですよ。そこが大事なんです。

インタビュアー: と言いますと?

対象: 十二支というのは、日付、年、月、方位などを表すものでありますから、11では締まりが良くないのです。子午線が引けなくなります。

インタビュアー: ふむ、しかし欠員が出てから1年ほどたったとのことですが、今のところ時計やら暦やら地図やらに影響はないようですよ。

対象: そりゃあ私達に物理的な世界を動かすほどの力はありませんからね。精神的な、気分の問題というやつです。締まらないのは良くないなという。運勢とか悪くなるかもしれませんよ。

インタビュアー: 気分の問題ですか。ではどうしたらあのポスターの掲示を止めていただけますか?

対象: もちろん新メンバーが見つかればすぐにでも。

インタビュアー: しかし、失礼ですがあのポスターで見つかるとは思えません。

対象: えっ、デザインが悪かったでしょうか。

インタビュアー: デザインもそうですが、あなた方のような特殊なケースを除いて、通常、ヒト以外の動物は日本語会話能力を持ちません。

対象: そういった能力を持つ方は極めて稀だということですね。[3秒間沈黙]もっとたくさんポスターを貼るべきでしょうか。

インタビュアー: いや、それは非常に困ります。

対象: ではどうすれば。

インタビュアー: 我々が新メンバーを見つけてきますので、ポスターは止めるということでいかがでしょうか。

対象: [5秒間沈黙]わかりました。よろしくお願いしますね。

<記録終了>

本インタビュー後、プロトコル・ピンチヒッターの制定計画が立てられました。

補遺: SCP-1211-JP実体群との対話の結果、「辰」に対応する個体の代役を財団が用意することで、物品の発生を止める同意が得られ、プロトコル・ピンチヒッターが制定されました。

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プロトコル・ピンチヒッターの初回実行時に用いられたタツノオトシゴ

プロトコル・ピンチヒッターは以下の手順からなります。

  • 毎週火曜日と金曜日、SCP-1211-JP空間内部に独立稼働可能な特殊飼育水槽に入ったタツノオトシゴ(Hippocampus coronatus)1体が配置されます。
  • 飼育水槽にはマイク、カメラ、その他の観測機器およびスピーカーが装備されます。
  • 担当職員は水槽に装備された機器を通し、SCP-1211-JP実体群の会話に、タツノオトシゴの人格を装って参加します。
  • 会話の際の発言はSCP-1211-JP実体群に対し可能な限り好意的に行われ、収容に協力的な態度を維持します。

以下は、代役として用意される生物種の選定のため、SCP-1211-JP実体群と行われた対話の記録です。対話担当者には巽研究員が選ばれました。

<記録開始>

巽研究員: こんにちは。

SCP-1211-JP-01: こんにちは。お願いしていた新メンバーの件は順調に進んでいますか?

巽研究員: ええ、今日はいくつかの候補を皆さんに見ていただいて、最終的な決定をしたいと思っています。

[SCP-1211-JP実体群が巽研究員の周囲に集まってくる。]

巽研究員: まずこちらが第一候補のワニです。こちらに写真があります。

SCP-1211-JP-05: 爬虫類ですか。お仲間が増えるのは嬉しいですね。

巽研究員: ワニが候補に挙げられた理由としては、西アジア地域においては辰に対応する動物がワニであるからです。

SCP-1211-JP-02: ふむ、日本以外の国では我々のメンバーの一部に異なる獣が当てられていることは存じております。しかし、ワニは日本に生息していないわけですし、やはりある程度日本での神秘性というか、神話や伝承、そういった逸話が欲しいのですが、ありますか?

巽研究員: ええと、古事記における「因幡の素兎」の逸話に登場していますね。

SCP-1211-JP-04: うわ、私あの話嫌い。でも、ワニじゃなくてサメって話じゃなかった?

巽研究員: 本居宣長の「古事記伝」などでもワニ説を採用していますし、サメ説に比べて信頼性に劣るわけではないと思いますが。

SCP-1211-JP-03: 日本に生息してねえって話なら俺も同じだし、別にいいと思うけどな。次の候補も見せてくれ。

巽研究員: はい、次の候補はシカです。古くから日本人に馴染みのある動物であり、かつワニに比べ、この場所に連れてくるのが容易であることから候補に選ばれました。

SCP-1211-JP-11: いいんじゃないか。山の獣が増えるのは歓迎だ。

SCP-1211-JP-02: シカであれば格も十分でしょう。神使と扱われることも多い動物です。

巽研究員: 最後の候補はタツノオトシゴです。タツの名を持つ生き物であり、シカ以上に連れてくるのが容易です。

SCP-1211-JP-10: まさしく、タツの子というわけですね。悪くないと思いますよ。

SCP-1211-JP-06: なんだか親近感が湧く顔だな。気に入った。

SCP-1211-JP-09: 入口の位置から見て、そこに水槽を置くと風水的にも相性がいいですね。龍脈の象徴の後継者としては申し分ないかと。

SCP-1211-JP-01: では数分の後に多数決を取りましょう。貴方もそれでいいですね?

巽研究員: ええ、お願いします。

[多数決の結果、第三候補であるタツノオトシゴに決定された。]

巽研究員: では3日後、タツノオトシゴを連れてきます。

SCP-1211-JP-01: よろしくお願いします。その子が私たちの一員になるのが楽しみです。

<記録終了>

プロトコル・ピンチヒッターの制定以降、新たな物品の発生は確認されていません。当プロトコルは一定の成果をあげていると判断され、運用の継続が決定されました。

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