SCP-1216-RU-1は[データ削除済]にあるUO-SSUIS2類型の空間異常 (安定的で安全かつ双方向から通過可能なポータル) です。当空間異常の外見は、半透明かつ振動している球状の膜です。またこれは視認される限りにおいて、任意の物体および電波を一切阻害せずに透過しています。SCP-1216-RU-1での世界間移動は瞬時に為され、その際これといった特殊な感覚を覚えることもありません。
SCP-1216-RU-2はSCP-1216-RU-1の出口側に存在する並行世界です。その出口は未同定の銀河の惑星 (SCP-1216-RU-2-Aに指定) 表面にあります。地平線の曲率を測定した結果から、この惑星の半径は地球の11.2倍であり、木星のそれに匹敵することがわかっています。しかしこの惑星は巨大ガス惑星ではなく、地球と同程度の重力を有します。このことは、SCP-1216-RU-2における万有引力定数が我々の宇宙のそれより遥かに小さいか、もしくはこの惑星の密度が異常に小さいことを示唆しています。大気圧、大気組成、磁場、日中の明るさおよび一日の長さも地球のものに相当します。
この星はG型主系列星であり、ほぼすべての観点で太陽と酷似していますが、既知のいずれの元素とも対応しない明るい放出スペクトル線が検出される点でのみ異なっています。こうした (おそらくは異常な) スペクトル成分が原因となり、この惑星の日中の空は小紫色に、海洋は暗赤色に染まっており、あらゆる色域が地球とかけ離れています。この惑星は3個の巨大な衛星 (月と同程度の大きさ) と12個の小さな衛星を有しており、それらを観測することで自分が今この惑星表面のどの座標にいるかを誤差1kmの精度で判別することが可能です。
ポータルの出口は北緯19°6′に位置し、丘がちな小島の最高高度地点 (海抜224m) に存在します。温度、湿度および降水量傾向は熱帯気候に相当しますが、季節性の気候変動は観測されていません。降雨は頻繁に (ほぼ毎夜) あるものの長時間振り続けることはなく、風力はビューフォート風力階級にして風力5を超えることはありません。航空機操縦に関する条件は地球と一切の差異はありません。
この小島は、石灰岩-砂質の堆積岩で形成される広大な群島を構成する島々の一つです。これら島々の大半は丘陵性の起伏や、複雑に入り組んだ海岸線を有しており、またカルスト性の鍾乳洞や岩窩、切り立つ岩壁、砂洲が特徴的です。地震活動は発見されていません。島々は植物相に覆われ、陸生・海生それぞれの動物相も有しています。
当文書の現行 (2015年) リビジョン執筆時点において、ポータルの出口から半径約300km以内の領域に関しては調査が十分に進行しています。この領域は前述の群島の範囲に収まります。ヒトあるいはその他の知的生命体の存在を示す痕跡は発見されていません。いくつか判明していることとして、SCP-1216-RU-2-Aにヒトが滞在してもその身体には危険はありません。一方でそこに長く滞在することは、人間にとり不可逆的で精神物理学的な、かつ異常を誘起する作用をもたらします。この作用は主として以下のような様相を示します。
- 1〜2週間: 言いようのない不安感が生じ、またそれが強まる。
- 2〜3週間: 筋力、持久力、瞬発力が向上する。これらはいずれも不安感の昂りがパニック発作を生じさせるにまで至ったことを背景とするものである。
- 3〜4週間: 他の人間に対する敵愾心が高まり、攻撃性が強くなる。言いようのない憤怒が頻度・強度ともに増加していき、自己制御を完全に喪失するにまで至る。
- 1〜2ヶ月: 異常な防衛能力が発達する。対象に対する一切の攻撃的試行は、その攻撃を実行した者をSCP-1216-RU-2から地球上のSCP-1216-RU-1近傍へと瞬時にテレポーテーションさせるという結果に終わる。
- 2〜3ヶ月: あらゆる思考活動が減退する。ただし、他者に対していかに最大限の危害を加えるかという思考だけは残存する。
- 3〜4ヶ月: その他の異常性が発達する。具体的には空中浮揚、水中での無限長時間にわたる生活、狭範囲でのテレポーテーション。
- 約1年: ポータル生成能力が発達する。このポータルはSCP-1216-RU-1と同様のもので、SCP-1216-RU-2中のランダムな座標と我々の宇宙とを接続する。
当初、当オブジェクトにはSafeクラスが割り当てられており、SCP-1216-RU-2への定期探検が行われていました。人間をSCP-1216-RU-2内で1週間以上継続的に滞在させることもなかったため、軽度の不安感を除けばこれといったネガティヴな作用は発現していませんでした。しかし2013年にSCP-1216-RU-2内で人間を長期 (2ヶ月以下) 滞在させる実験が初めて遂行されると、その過程で以上に列挙したような効果が発見されました。被験者らは1名を除き、無事地球に送還および無力化されました。前述の防衛能力はSCP-1216-RU-2内でしか発現しなかったため、この無力化も滞りなく遂行されました。この後当オブジェクトのクラスはKeterに変更され、探検も打ち切られるとともに石棺が建設されました。
SCP-1216-RU-3は、逃走した1名の被験者に与えられた符牒です。対象を捜索し地球に送還することが、現在最重要の課題となっています。
SCP-1216-RU-3は我々の宇宙へと繋がるポータルを生成できます。現在までに13個のポータルが生成されており、SCP-1216-RU-4と総称されます。これらは惑星SCP-1216-RU-2-A表面にて歪な曲線を描くかのように並んでおり、SCP-1216-RU-1の出口から西方120kmにわたって点在しています。対象が生成したポータルの大半 (SCP-1216-RU-4-11以外の全ポータル) は宇宙空間に接続しており、そこへと吸い込まれる空気が旋風を成すため、容易に発見することができます。つまりこれらポータルの列はSCP-1216-RU-3が惑星表面に残した “足跡” と見なすことができ、対象の捜索を少なからず容易にする手がかりとなっています。
すべてのSCP-1216-RU-4の座標点を記載した地図については補遺SCP-1216-RU-Aに含まれています。以下に各ポータルの概略を引用します。
SCP-1216-RU-4-1、-2および-3は銀河間宇宙空間に接続している。接続先宇宙内の銀河についてはいずれも同定できていない。
SCP-1216-RU-4-4および6は地球から約50メガパーセクの位置にある銀河間宇宙空間に接続している。これはまったく別々の角度から観察された、いくつかの既知の銀河 (M87など) から結論づけられたものである。
SCP-1216-RU-4-6は致死量のX線が放射されている領域に接続している。この世界間移動路に送られたロボットは0.5秒で故障し、テレメトリ情報だけは送信できたが写真を転送することはできなかった。
SCP-1216-RU-4-7は地球から930キロパーセクの、ウォルフ・ルントマルク・メロッテ (WLM) 銀河辺縁の宇宙空間に接続している。
SCP-1216-RU-4-8は高密度の宇宙塵から成る星雲中の赤色矮星付近に接続している。他の星々は発見されていないため、ポータルの出口の位置情報を特定することは不可能である。この赤色矮星は激しく変光しており、原始惑星系円盤に囲まれている。
SCP-1216-RU-4-9は地球から約42キロパーセク位置の、我々の銀河系辺縁と大マゼラン雲の間の宇宙空間に接続している。
SCP-1216-RU-4-10はあるホット・ジュピター型大惑星の大気圏上層に接続している。この星 (K型主系列星) はまだ同定できていないが、その空には地球でも見られるような明るい星々 (カノープス、リゲル、デネブ) がいくつか観測されている。これら星々の座標から推定するに、ポータルの出口は地球からみずへび座方向に約600パーセク離れた地点に位置するものと考えられる。
SCP-1216-RU-4-11は通過不可能である。その上方には鉄-ニッケル合金から成る溶岩ドームがそびえ立っている。このドームは高圧下で、6,000℃以上かつドームそれ自体と化学組成を同じくする溶岩を、継続的に噴出している。
SCP-1216-RU-4-12は太陽からきりん座方向に約1.2パーセク (250,000天文単位) の星間宇宙空間に接続している。
SCP-1216-RU-4-13は未同定の氷小惑星表面に接続している。この小惑星は太陽から約175天文単位の距離で公転している。
以上を考慮すると、SCP-1216-RU-3は地球へと繋がるポータルを生成しようと試みているようです。明らかに、当初より対象はポータル生成を手探りで行なっていたものの、試行錯誤を経たことで確たる生成手法に至り、その生成の試みを重ねるたびにポータルの出口は着実に地球へと接近しています。対象の欲するところが、人類に対して害を為す類のものであることは疑いようもありません。
SCP-1216-RU-3を発見した場合、いかなる場合であっても、それを殺害あるいは拘束しようと試みることは禁止されています。探査ロボットがそれが可能なツールを装備していた場合も同様です。そのような試みは、ロボットがSCP-1216-RU-2から地球へとテレポーテーションされ、当初座標に復帰できなくなる結果に終わります。財団心理学・ミーム学研究センターにて、SCP-1216-RU-3捕獲を主眼とし、手順-“セイレーンの歌” が策定されました。当手順が対象に適用された場合、約85%の確率で対象を各探査班のオペレーターらの命令に自主的に従うようにさせられます。
手順-“セイレーンの歌” の始動に先んじて、オペレーターらは音声受信チャンネルをオフにし、自身をミーム作用から守る必要があります。当手順完遂の際にはメインオペレーターはSCP-1216-RU-3にポータルの出口に戻り、そして地球に帰還するよう命じるものとします。対象はSCP-1216-RU-1を通過し防衛能力を喪失した後、ただちに終了されなければなりません。その完遂後には石棺内部空間を密封の上、SCP-1216-RU-2に対するあらゆる研究・探査活動が中止されます。