SCP-1218-JP
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アイテム番号: SCP-1218-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 全国の公共職業安定所には最低でも一名の職員が配備され、各店舗の天井には高精度スキャナが設置されます。SCP-1218-JPを発見した際には直ちに回収し、利用客及び従業員にAクラス記憶処理を施してください。万が一新たなSCP-1218-JP-1が発生した場合はその場で終了措置を執行してください。

渡辺氏は覆面を着用した状態でサイト-81██に収容されます。イベントが発生した際には、渡辺氏の体内に埋め込んだGPS受信機から転移後の座標を特定し事後対応を行った後、カバーストーリー「不明なテロ組織」を流布してください。

説明: SCP-1218-JPは全国の公共職業安定所1で不定期に掲載される求人情報です。SCP-1218-JPは一般的な形式とは異なり、「TenGoKu!転生カンパニー」といった企業名と基本給2、アルバイトとして雇用することのみが記載されています。公共職業安定所の職員はこのことに違和感を覚えず、利用者から指摘された場合も疑問を呈しません。SCP-1218-JPが掲載されるまでのプロセスは不明であり、掲載依頼元に関係する情報は得られませんでした。SCP-1218-JPを理解し、雇用希望者として申請した利用者はSCP-1218-JP-1に指定されます。

SCP-1218-JP-1は不定期に一般的な大型トラックを運転した状態でランダムな道路へと強制的に転移します。この際、トラックは最低でも80km/hを超える速度で走行しています。転移後のSCP-1218-JP-1は必ず人間を一人轢死させます。この際轢死する人間をSCP-1218-JP-2とします。SCP-1218-JP-2以外の人間や物体がトラックと接触した場合、トラックの構成物質が部分的に霊的実体へと変化するため、SCP-1218-JP-2は予め何らかの基準で選出されていると推測されています。SCP-1218-JP-2の轢死後、SCP-1218-JP-1はトラックと共に消失し、SCP-1218-JP-1のみが転移前に自身が存在していた場所に再出現します。また、これを以てイベントが終了します。消失時の様子を見た一般人はこのことに違和感を覚えません。これは画像や映像越しで認識した場合も同様です。この異常性は認知増強剤の摂取によって無効化することが可能です。稀に「SCP-1218-JP-2の死体から青色の霊的物体が出現し、空に向かって消失した」といった旨の証言が報告されますが、そのような事実は確認されていません。

イベントは不定期なスパンで繰り返されます。唯一の永続的なイベントの終結方法はSCP-1218-JP-1の終了です。また、イベントが終了する度にSCP-1218-JP-1の銀行口座へ不明な振込人から一定金額が入金されます。振込人に対する追跡は原因不明のエラーによって失敗しています。

SCP-1218-JPの実験として意図的にSCP-1218-JPを曝露させることは許可されていません。これはSCP-1218-JP-1によるイベントの阻止が困難であるためです。現在財団の監視下にあるSCP-1218-JP-1はSCP-1218-JP初期収容時に既にSCP-1218-JP-1へと変化していた渡辺 ██のみです。以下は渡辺氏初期収容時のインタビュー記録です。

<記録開始>

インタビュアー: こんにちは、渡辺さん。調子の方は如何ですか?

渡辺氏: あぁ、はい。大丈夫です。問題ありません。

インタビュアー: それは良かった。今日は貴方が異常性を獲得した経緯を知りたいのですが、よろしいでしょうか?

渡辺氏: 経緯ですか。はい、大丈夫です。でも、上手く話せない、あー、説明できないかも知れません。今でも何が何だかよく分かっていませんし。

インタビュアー: 結構ですよ。ほら、ここに記録計があるでしょう?これが全て記録してくれるので、多少吃っても後から聞き返せますので。という訳でもう一度話を聞かせてくれませんか?あぁ、そんな身構える必要は無いですよ、リラックスして。

渡辺氏: はい、分かりました。[咳払い] まず、私は会社をクビになりました。不景気だからとか、確かそんな理由だったと思います。あー、詳しくは覚えていないんです。とりあえず私は、明日からどのようにして家族を養おうか───その事だけを考えていました。ご存知の通り、妻と子供3人ですからね、一刻も早く金を稼ぐ必要があったんです。それで、仕事を探しにハローワークへ行きました。

インタビュアー: そして、あの求人を見つけた訳ですね。

渡辺氏: えぇ、はい。最初は記載ミスかと思いましたよ。何しろどういった業務内容なのかも書かれていませんでしたからね。でも、そのことを職員に言っても怪訝そうに見られるだけでした。この仕事は止めた方が良いって分かってはいたんですけど、書かれていた給料は余りにも魅力的だったんです。アルバイトとありましたし、いざとなればサッサと辞めれば良いと思っていましたし。私がこの仕事を受けたいと言うと、職員は「わかりました」の一言だけでやり取りを終わらせました。こういうのって普通書類の手続きとか必要ですよね?私はハローワークに行ったことがないのでよく分からないのですが。それから、何も触れられないので私が呆然としてると、「もうお帰りになっても良いですよ」と言われました。本当に、何かが異様でした。

渡辺氏: その日はそのまま帰宅しました。これからの予定をもう一度家族と話し合おうと思ったんです。それで、リビングに座っていると急に [沈黙]

インタビュアー: 急に?

渡辺氏: トラックを、運転していました。意味わかんないですよね。既に速度は100km/hを超えていていて、私の右足はアクセルを踏みしめていました。咄嗟にブレーキを踏もうとしましたが、下半身がまるで動かなかったんです。パニックですよ、えぇ。トラックの運転席って結構高さがあるんで、通行人がとても小さく思えるんです。ぶつかったら絶対に死んじゃうと思いましたね。まぁ、ぶつかっちゃったんですけど。[笑う] 最初はガードレールに側面を擦り付けようとか、川に落ちようか、とか、一生懸命事故を回避する方法を考えていたんですけど、あの娘を見た時、ハンドルを切っちゃったんですよね。勿論、頭では分かってるんですよ。「このままだとぶつかる」「避けなくちゃ」って。

インタビュアー: 大丈夫ですか?

渡辺氏: たまにありませんか?自分のことなのに他人事のように思えること。焦ってはいるんですけど、まるでテレビゲームで主人公が死にそうな時のような、現実感の無い焦り。それでボーッとしちゃって。何かにぶつかった音でハッと意識が戻りました。もう、目の前のガラスは真っ赤ですよ。いや、ちょっと黄色くもあったかな?あれは脂肪だったんでしょうか。それとも脳ミソ? [笑う]

インタビュアー: 一旦止めましょうか、渡辺さん。続きはまた今度で───

渡辺氏: [遮って] いえいえ、全く問題ないですよ。現実感が無さ過ぎて、逆にダメージは少ないので。本当ですよ?コツも覚えました。スプラッタ映画だと思えば良いんです、「あれは作り物だ」って。女子高生も、小学生も、サラリーマンも、いつだってそれで乗り越えられましたから!……それよりも轢いた後の方が苦痛でしたね。SNSでその時の映像が拡散されて、私や家族の情報が晒されて───。子供たち、私を恨んでいるでしょうね。「殺人犯」なんて渾名をつけられて。本当に、私達を保護してくださった貴方方には感謝しています。ありがとうございます。

インタビュアー: 頭を下げないでください、渡辺さん。困っている人がいたら助ける、人として当たり前のことじゃないですか。……はい、ここら辺で終わりにしましょうか。お疲れ様でした。

渡辺氏: ありがとうございました。お疲れ様でした。ありがとうございました。ありがとうございます。

<記録終了>

事案1: 2022/11/7、渡辺氏の縊死死体が収容室内で発見されました。収容室内の監視機器は全て内部配線の接触不良によって故障しており、渡辺氏が縊死する瞬間を記録していませんでした。また、渡辺氏の首に掛けられた麻縄は事案発生直前まで収容室内に存在しておらず、出処は判明していません。

事案発生時、収容室内に設置された簡易テーブルには以下の内容が書かれた用紙が置かれていました。現在、未発見の異常性があるとしてSCP-1218-JPに対する実験を申請中です。特筆すべき点として、SCP-1218-JP-1である渡辺氏が死亡したにも関わらず、渡辺氏名義の口座への入金は継続されています。

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