アイテム番号: SCP-1234-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1234-JPはオブジェクトを中心として建設された収容施設内部に収容されています。担当する職員には極端に片寄った食生活を行っていない人物を充ててください。一人の被験者を用いて複数回に渡る実験を行う場合、必ず武装した職員一名が被験者に同伴するようにしてください。
説明: SCP-1234-JPは、██県██市の山中に存在していたレストラン████の廃墟です。19██年の閉店以降、解体されることなく放置されていました。
極端な偏食の傾向にある人物(以降、被験者とする)がSCP-1234-JPを肉眼で視認したとき、その異常性を発揮します。被験者は視認した後、次に入眠するときに閉店以前のSCP-1234-JPと思われるレストランを夢にみます。この時、現実世界と同様の五感を感じることが可能です。被験者が入店すると20代男性と思われるウェイターが応対し、テーブルへと案内されます。その際に注文を取られることはありません。料理は概ねフルコースの順番に則って運ばれてきます。この時振る舞われる料理は被験者の苦手とする食材を中心に作られますが、どの被験者もそれらの料理に対して肯定的な感情を持ち、完食することができます。食材や調理方法をウェイターに質問する試みは、話を反らされるという形で全て失敗に終わっています。尚、厨房への侵入は実験1234-JP-5の一回を除きウェイターに引き留められる、強制的に退場させられるなどの理由から成功していません。(インタビューログ1234-JP-5を参照)
料理を摂食した被験者は目を覚まして以降、現実世界においても苦手としていた食材を摂食できるようになります。しかし現実世界の料理は夢の中で食べた味に劣ると考えるようになり、夢を見るために繰り返しSCP-1234-JPを訪れようとします。再び視認するとその都度レストランの夢を見ることが可能となりますが、「既に偏食を治している」という理由から入店を拒否されるという結果になります。
夢を見た後、被験者は好ましくない性格や態度が改善されます。これにより、相手が以前否定的な印象を持っていた人物であっても親しく接するようになります。この事についてインタビューを行ったところ、一様に「以前は苦手だったのに親しみを感じるようになった」といった内容を述べています。
発見時、SCP-1234-JPのもたらす夢を見ようと数名の一般人が毎日SCP-1234-JPのもとを訪れており、影響を受けていなかった住民から不審者として幾度となく通報が為されていました。地方自治体からの複数回にわたる注意喚起、及びアクセスの悪さにも関わらず不審者が絶えないことから財団の目にとまり、不審者への事情聴取から異常性が発覚しました。影響を受けていた一般人には記憶処理を施し、住民へはカバーストーリー「廃墟愛好家」を流布しました。
██県██市内では過去5年以内に失踪事件が7件発生しています。最初の事件発生時期とSCP-1234-JPを繰り返し訪れる一般人が現れるようになった時期がほぼ一致するという事から、現在事件とSCP-1234-JPとの関連性が調査されています。
インタビューログ1234-JP
対象: D-22014
インタビュアー: ██博士
付記: 実験記録1234-JP-2終了3日後に行ったインタビュー。実験では料理の摂食とウェイターへの質問を指示してあり、質問は失敗していた。
<録音開始, 20██/██/██>
██博士: 実験以降、偏食が治ったそうですね。
D-22014: はい。私自身、全く受け付けられなかった魚介類が食べられるようになるなんて夢にも思いませんでしたよ。…いえ、元々は夢でしたね。
██博士: なるほど。しかし、治ったにも関わらずあまり食事をとろうとしないそうですね。何か理由があるのでしょうか。
D-22014: あぁ、それは…なんというか、物足りないんです。夢の中で食べた料理があまりに美味しかったからか、以前美味しかったと思っていたものでさえそうでもないように感じてしまって。
██博士: そうでしたか…。他に何か実験以降に気になった点や気がついた点などはありますか。
D-22014: また同じ夢を見たいと考えているからか、食べ物の夢を見たりすることが多いような。実験の時のように現実味のあるものではなく、食べようとしても目がさめてしまうような普通の夢ですけれど。…もう一度あの夢がみたいです。
██博士: 検討しましょう。これでインタビューを終わります。
<録音終了>
終了報告書: インタビュー後2回に渡ってD-22014を用いた実験を行ったところ、夢をみても入店はできなかったようです。偏食及び性格の改善のために反抗的な態度を取るDクラスにSCP-1234-JPを用いる案も挙がりましたが、夢に依存する傾向が見られるのは問題でしょう。
インタビューログ1234-JP-5では他の実験で確認されていない結果を報告しています。以降の実験において再現が困難であり、現段階では信憑性に欠ける事に留意してください。
対象: D-19134
インタビュアー: ██博士
付記: 実験記録1234-JP-5終了後に行ったインタビュー。実験では、料理を摂食した後にウェイターへ原材料についての質問を行い、可能であれば厨房へと侵入するという内容を指示してあった。
<録音開始, 20██/██/██>
██博士: それでは、実験結果を報告してください。
D-19134: 夢の中でレストランを発見しました。入って案内された後は結構すぐに料理が運ばれてきましたね。どれも僕が嫌いな食べ物ばかりで作られていたのですが、完食できました。
██博士: なるほど。料理について不可解な点などはありませんでしたか?
D-19134: あー、そうですね、食べたことのない肉料理が出されました。
██博士: その料理について質問をしましたか?
D-19134: しましたよ。どうにも答えてくれませんでしたがねぇ。…まぁ、それも普通は売ってはないというだけで、正直食べた時点で何となくわかっていましたよ。
██博士: わかっていた?それでは何だというのでしょうか。
D-19134: 人肉で作った料理、ですよ。興味はあったけれど今まで食べられなかったので、まさかこんなところで食べられるとは思いもよりませんでしたねぇ。
ご存じですか?人肉は[編集済]や[編集済]のような香りや味がして、独特の食感があるのですよ。食べたのはロースト肉だったのですが、余分な脂肪は一切なく、程よくやわらかで、なんと美味しかったことか。[数秒の沈黙]
流石に現実じゃあ出来ませんけれど、出来るものならまた食べたいものですね…。あぁ、すみません。長々と話しすぎたようで。
██博士: いえ、問題ありません。厨房へは侵入できましたか。
D-19134: できましたよ。中ではシェフの他に何人か角に立っていました。あれらは僕が嫌いな奴等ばかりでしたよ。僕が見たときは丁度その内一人がシェフに連れられて、電子レンジで丸焼きにされていました。そばには料理として出した残りがおいてありましたよ。調理方法からして、僕が食べたのはそれでしょう。焦げた頭部も一緒においてありましたねぇ。
…あの首は貴方でしたよ、ハカセ。
まぁ、そのあとは残念ながらシェフに見つかってしまいましたよ。レストランから追い出されたと同時に視界が歪んで、気がついたら目が覚めていた、といった感じです。
██博士: [数十秒の沈黙]…わかりました。これでインタビューを終わります。
<録音終了>
終了報告書: 以前のD-19134は██博士に対して多少の反抗心が見られていましたが、実験以降は██博士に対しての態度が改められ、共に食事をとりたいと申請するようになりました。(申請は██博士により全て却下されています。)これにより、夢の中で摂食した肉は被験者が嫌いだと感じる人物の肉であり、摂食することで感情に変化が起きているという可能性が浮上しました。今後の実験では摂食と共にその都度厨房も調査させるべきでしょう。
ページリビジョン: 7, 最終更新: 10 Jan 2021 16:44