アイテム番号: SCP-1238
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 野生のSCP-1238の群体はSCP-1238が1850弱の個体数に減少及び維持できるまで可能な限り早く破壊しなければなりません。財団は必要に応じてアメリカ海洋大気庁やその他海洋研究機関と連絡し、SCP-1238の動きの追跡とSCP-1238トンネルの入口の特定を試みます。発見されたトンネルは既存のトンネルを完全に埋めるまたは構造上の安定を構築できるまで地震性不安を誘発させない手段を用いてその入口を封鎖します。
財団は新しいトンネル構築の兆候または事象638-ミュー-34の差し迫った痕跡の為に常にゴールド・ゾーン内の地震活動を監視します。可能な場合、既知のトンネルの上部で生活している人間は移転させなければなりません。不動の性質を持つ物を除く、その他SCP対象物はゴールド・ゾーンに収容してはいけません。SCP-1238または当該地域のその他SCP対象物の監視が必要な場合を除き、業務上枢要な財団職員はゴールド・ゾーンを移動、待機、活動してはいけません。どんな時でもO5議会の一員はゴールド・ゾーンに侵入してはいけません。"故郷"がゴールド・ゾーン内、または近親者がゴールド・ゾーン内に住んでいる職員はSCP-1238収容への参加は認められません。
事象638-ミュー-34が差し迫っていると判明した場合、全財団職員は即座にゴールド・ゾーンからの退避を試みてくださいゴールド・ゾーン内の財団職員は高級官僚、軍人、コントラ-IK-638計画に則った重要な文化人の即時退避を促し、自身の退避を試みる前に一覧化された文化的または歴史的に価値のある工品の回収、移動の確保を行ってください。移動研究班638はゴールド・ゾーン内のサイトに留まり、通信不能な環境状況になるまで監督司令部に観察とデータを送信してください。事象638-ミュー-34の後、財団は世界政府に連絡し、必要に応じてIK-クラス世界文明崩壊事象の拡大を防ぐ為に人道目的でその資源を利用してください。
説明: SCP-1238は現在の分類学上には存在しない深海魚の一種で、形態学としてはマジェランアイナメ(Dissostichus mawsoni)に類似しています。SCP-1238は主に北太平洋のアメリカ北西部からカナダ西部の沿岸に沿った深海に棲息しています。成体のSCP-1238標本は平均で体長1.4m、体重100-110kgあります。SCP-1238は大量の有害な鉱物を消費するため人間が食すのに適しておらず、また現在は多量の、及び人間の産業利用目的の漁は行われていません。
生活環の大半でSCP-1238標本は主に小魚と小型の海洋生物を食料とします。約4月上旬から7月中旬まで続く産卵期において、性的に熟したSCP-1238標本の第二消化器官は活発化し、無機鉱物及び金属の消化と代謝が可能になり、特にゴールド・ゾーンと指定されるアメリカ北西部とカナダ西部の一帯の下に位置する変成岩の堆積物を好みます。産卵期の間、SCP-1238は特定の地域の海底に大量に集まり、大陸棚の下を掘り進み、貫く作業を開始し、存在する岩を食べることによってトンネルを拡大拡張します。産卵期の間、成体のSCP-1238は24時間以内でその体重の120%の鉱物を消費および代謝させることができます。この期間の間、SCP-1238は殆ど排泄物を出しません - 排泄物の量は消費された物の約10%です。
このようにSCP-1238が作り出したトンネルはSCP-1238の卵が受精し、孵化する産卵場所となります。メスのSCP-1238は期間中に最高40,000粒の卵を産卵することが可能で、現在の環境においてその内の約25-35%は成体にまで生き残ります。SCP-1238の幼生は約10年後に成体に達し、野生の状態で最高約35年生きると記録されています。
SCP-1238標本の殆どは産卵の為に生まれたトンネルに戻り、1本のトンネルに数万の標本が関係しています。SCP-1238は特定のトンネルを掘り続け、時折枝分かれさせてトンネルを崩壊し、また個体数の増加は過当競争および食料不足につながります。1本のSCP-1238のトンネルは起点から████kmまで拡大し、地上から█kmまでの深さに達したと記録されています。
O5評議会への注記:
事象638-ミュー-34により浸水が予想されるアメリカ北西部とカナダ西部の地図。描写されていない氾濫によって世界の海面が変動します。
宛先: O5-1 - O5-7, O5-9 - O5-13, 中央倫理委員会
差出人: SCP-1238研究委員会
件名: 事象638-ミュー-34脅威分析
日付: 19██/██/██
19世紀後半以前、SCP-1238の環境への影響は殆ど自己完結的でした。北太平洋の商業開拓の拡大以降、それまでSCP-1238を捕食していた数種のクジラ及びその他種族の減少や絶滅はSCP-1238の個体数を1850年以降指数的に増加させ、そうして今日にまで至りました。
特にトンネルの掘削はこの個体数過剰により劇的に増加しました。1850年には約200kmのトンネルが存在していたと考えられていましたが、現在の掘削はトンネルの崩壊を引き起こす地質学的事象を超える速度で加速しています。私達は現在約██████kmのトンネルが存在し、太平洋沿岸から最高███kmまで延長、ゴールド・ゾーンと指定したアメリカ北西部からカナダ西部の至る所に広がっていると見積もっています。
これらトンネルの損害は"メルの穴"と呼ばれる底なしの穴を含む、数多くの地盤沈下とその他の地上の異常現象を引き起こしました。コンピュータ・モデリングは巨大トンネルが1本でも崩壊、または[編集済]及び[編集済]断層線に沿った巨大地震が発生した場合、最終的に全トンネル網と大陸棚の一部が崩壊し、ゴールド・ゾーンの殆どが太平洋に最高███mに沈下することにより長期的に浸水する連鎖反応(事象638-ミュー-34と指定)の潜在的な可能性を示しました。SCP-1238の掘削が現在の率で加速し続けるのなら、少なくとも20██年には事象638-ミュー-34が発生する確率は高いと私達のモデルは予測しています。仮に全てのSCP-1238の掘削が直ぐに止んだとしても、事象683-ミュー-34が今後█00年以内に発生する確率は高いままです。
現在の私達の地震分析の方法で、財団はトンネル崩壊の60分前には事象638-ミュー-34予報とその後の12時間の大陸棚崩壊、更に後の数週間に渡る浸水の予測が可能です。私達のモデルはゴールド・ゾーンに住む幾つかの人々は事象638-ミュー-34の発生から避難できないと予測します;事象が明日発生するとして、私達は24時間以内に約██00万人が犠牲になり、約██████km2の土地が破壊され、ボイシ、オリンピア、ポートランド、サクラメント、セイラム、サンフランシスコ、シアトル、スポーカン、バンクーバー、ビクトリアの街は完全に崩壊、無数の物的損害が出ると予測しています。
直近に事象638-ミュー-34の発生はゴールド・ゾーン内とその近辺に生息する陸生または水生の動植物(SCP-1238自身を含む)を生息地の破壊により絶滅させ、また化学および核廃棄物の汚染、人工物の瓦礫、動物の死骸により太平洋に数十年に渡る長期間の影響を与えます。ゴールド・ゾーンの大部分は現在農地として利用されており、アメリカの食料共立に対しても深刻な比率の影響を受けると思われます。その結果、食物、油、消費財、その他必需品の価格は大きく急騰すると予測します。ゴールド・ゾーンの浸水した地域に隣接する後背地は外界から切り離されることにより即時の経済の荒廃が発生します;急速な飢饉と伝染病が同様に予想されます。
私達はゴールド・ゾーンの水が転移する事また太平洋中に津波が発生する事により約█mの世界的な海面変動が発生すると予測します。この変化は国際的な海洋での商業及び漁業に重大な影響を与え、突然の必要資源の入手困難により世界の経済上または政治上の危機を助長するかもしれません。世界の遠距離通信は事象638-ミュー-34の余波直後の間はゴールド・ゾーン内の遠距離通信用のインフラの損失と電話、電子メール、ソーシャル・ネットワーキング等の民間通信の大量負荷により深刻な影響があると思われます。
従って事象638-ミュー-34が発生した場合、財団は活動の維持、世界の扶養、経済の安定の為に出来るだけ多くの資産を注ぎ込まなければならないと言う事が私達の意見です。社会不安と荒廃はその他SCP対象物を収容して人類に影響を及ばないよう保護している財団機能の深刻な損害により、IK-クラス事象に発展する潜在的な可能性があります。何れにせよ、SCP-1238個体数の大量撲滅は新しい掘削速度を低下させ、財団が現在は回避不可能なこの事象をより長期間食い止める手段を開発するまでの時間を稼ぐことができます。私達は更に私達のメディア資源でゴールド・ゾーン内から人口を分散させる為の"地球に優しい"文化の発展、ゴールド・ゾーンから離れた場所への必要不可欠な技術/産業/軍事資産の移動、SCP-1238を捕食する野生生物を復活を促すことを提案します。
追記: 事前の私達と中央倫理委員会との協議により、O5-8をこの知らせから故意に除外し、事象638-ミュー-34を知らせる事にはなっていません。O5-8の初期の人生と教育状況、また現在彼の拡大家族がゴールド・ゾーン内で生活している事から、O5-8が現時点で脅威に気付く場合、利害衝突が引き起こる可能性があります。
ページリビジョン: 7, 最終更新: 15 May 2024 11:05