アイテム番号: SCP-1239-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル(2010年10月10日改定): SCP-1239-JPはサイト-8182の標準人型収容室に収容され、介護スタッフ2名による監視と生活補助が行われます。現在、実験は無期限に凍結されています。偶発的に発生したSCP-1239-JP-1は、SCP-1239-JPに感知されないうちに、Cクラス麻酔薬を用いて速やかに昏睡させ、静かに収容室外へ運び出してください。SCP-1239-JP-1に注目されないよう、SCP-1239-JPは清潔な状態を保たなくてはなりません。ミーム的特性を持つSCP-1239-JP-1は隔離の後、研究材料として財団反ミーム部門に移送されます。
特別収容プロトコル: SCP-1239-JPはサイト-8182の15m×15m×15mの専用に建設された無重力収容室に裸の状態で収容されます。警備スタッフ2名を同じく裸の状態で常駐させ、SCP-1239-JPが収容房の中心から半径5m以内に留まるよう、監視・誘導してください。SCP-1239-JPに与えられる食事は液状か咀嚼の容易なものに限定され、SCP-1239-JPが4分30秒以内に完食しなかった場合は速やかに食事を中断させ、食品をSCPから引き離してください。老廃物による偶発的なSCP-1239-JP-1の発生を避けるため、SCP-1239-JPは清潔な状態を保たなくてはなりません。入浴・排泄の際は収容房の壁際に設置された設備に移動させた後、職員の補助の下4分30秒以内に済ませるようにしてください。こうした生理活動と実験時を除き、SCP-1239-JPには人間以外のいかなる生物や物体も近づけてはなりません。実験で発生したSCP-1239-JP-1は分析の後、一部のサンプルを残して、薬物投与によって終了してください。終了担当の職員は必要に応じて記憶処理又は心理カウンセリングが受けられます。
説明: SCP-1239-JPは執筆時点で30代の日本人男性で、本名は██ ██です。首筋には"ワンダーテインメント博士™のミスター・GIJINKA"というタトゥーが施されています。SCP-1239-JPの異常性は、オブジェクト自身の半径5m以内に存在する人間以外の生物及び物体を、一定の条件下で改変する点にあります。SCP-1239-JPが対象を強く認識した状態で5分以上経過した場合、対象は元となった生物及び物体の性質を有する、若年のヒト型実体(SCP-1239-JP-1)に不可逆的・瞬間的に改変されます。初期収容の際、SCP-1239-JPが脱走のために財団施設の改変を試みたところ、失敗に終わったことから、SCP-1239-JPの改変できる対象にはある程度の限界が存在すると見られています。
SCP-1239-JP-1は改変元のサイズに関らず、人間の範疇を越えない程度の体格をとります。また、SCP-1239-JP-1は外見のみならず、性格や行動・習性面でも、元の生物・物体に則ったものとなります。日本語による会話能力を備えており、人間との意思疎通が可能ですが、概ね非協力的な態度を取ります。こうした傾向は、人工物を由来としない類のSCP-1239-JP-1において特に顕著に見られます。確認されたSCP-1239-JP-1の内、約76%は女性です。
収容以前、SCP-1239-JPは和歌山県███町のアパートで、イラストレーターとして生活していました。2007年9月█日、「公園で男性がコスプレ集団にリンチされている」との近隣住民の通報を受け、駆けつけたエージェントによって確保されました。エージェントが現場に到着した時、SCP-1239-JPはアリを模したSCP-1239-JP-1██体の襲撃を受けており、公園内を逃げ回っていました。財団はカバーストーリー"自主制作映画の撮影"を流布することで、SCP-1239-JP及びSCP-1239-JP-1の異常性を隠蔽しました。身辺調査の結果、SCP-1239-JPは2003年から04年にかけて、行方不明となっていたことが判明しています。SCP-1239-JPは失踪中の記憶が曖昧になっていると主張しており、この間に異常性を獲得したものと推測されます。
対象: SCP-1239-JP-1
インタビュアー: 高山博士
付記: 比内地鶏を対象とした実験において、変化したSCP-1239-JP-1が突如、SCP-1239-JPに暴力行為を働く事件が発生した(事案1939-JP-4)。これは鎮静後のSCP-1239-JP-1に対して実施されたインタビューである。
[記録開始]
高山博士:では、これからインタビューを行いたいと思います。宜しいですね?SCP-1239-JP-1。
SCP-1239-JP-1:…変な渾名付けないでくれる?私にはちゃんと"米代 千秋"って名前があるんですけど。
高山博士:すいません…改めまして、千秋さん、今の姿になった時の状況を教えていただけますか?
SCP-1239-JP-1:うーんと…昨日の8時頃かしら…仕事から帰ったら、家の様子がいつもと違ってたのよ。妙に薄暗いし、部屋は一つしかないし。それで、玄関に入ったあたりで、私の体がフワフワ浮き始めたの。
高山博士:あれ、えっと…千秋さんのご職業は…?
SCP-1239-JP-1:ニワトリと言ったら、養鶏に決まってるでしょう。
高山博士:はあ…養鶏… [数秒の沈黙] そのあと、千秋さんはどうなりましたか?
SCP-1239-JP-1: 浮いているうちに、これはソーセイ様が下さった奇跡だと思って、喜んでたんだけど、気づいたら、あの変態共に囲まれてたのよ。
高山博士:彼らのことを、第一印象でどう思いましたか?
SCP-1239-JP-1:もう嫌悪感しか無かったわ。だって全裸の男三人組よ?しかも一人はニタニタ気持ち悪い笑みを浮かべて、こっちを見てくるの。私、鳥肌立っちゃって、すぐ警察に通報しようとしたんだけど、携帯どころかバッグも消えちゃってて。…ホント、トサカにくるわ!…アイツの顔面に一発お見舞いしてやったから、少しはせいせいしたけど。
高山博士:…分かりました。本日のインタビューは以上となります。
SCP-1239-JP-1:ちょっと待って。私はいつになったら元に戻れるのかしら?今はちょうど繁忙期だから、やることが目白押しなのよ。
高山博士:…私にも具体的な日時は分かりませんが…。多分、近いうちに解放されると思いますよ。
SCP-1239-JP-1:あー、もう! [羽毛を掻く] ウチの子はみんな鳥頭だから、私の鶴の一声が無いと、すぐサボり出すのよ…お願いだから、早く外に出してちょうだい。
[記録終了]
”千秋さん”と話した際、彼女は我々人間が認知できない“鶏社会“なるものの存在を示唆し、しきりに元の世界に帰りたいと訴えていた。 同様の発言は”使い捨てカイロ”や”食べかけの手羽先”など、生物でないSCP-1239-JP-1とのインタビューでも飛び出している。最近、SCP-1239-JP-1の中で有用な個体を集め、”萌え萌え機動部隊”として運用しようなどという意見が、若手職員から寄せられているが、SCP-1239-JP-1は思った以上に人間臭い奴らだということを、諸君には今一度留意してもらいたい。彼らは勝手に自身の姿を変えた財団に対し、忠誠心を持ってはくれないだろうし、元の世界に戻るため、反旗を翻すかもしれない。彼らは我々が創作で思い描くような、都合の良い存在ではないのだ。 - 高山博士
事案1239-JP-4の発生を境に、SCP-1239-JPの精神状態は急速に悪化しており、心理検査では鬱病の症状を示し始めています。実験手順の改定により、SCP-1239-JP-1がSCP-1239-JPに危害を加えないよう、実験は警備スタッフを増員した上で行うようになりました。しかし、SCP-1239-JP-1による罵倒については、防音対策の難しさから、今のところ防ぐ目処は立っていません。SCP-1239-JPは実験中の衣服の着用を要求しましたが、協議の結果、却下されています。
2010年9月██日、SCP-1239-JPの周囲の空気から███体以上のSCP-1239-JP-1が発生。収容室を埋め尽くし、一部は室外へ逃走しました。SCP-1239-JP-1は気体状の人型実体として出現したため、収容室が圧壊することはありませんでした。しかし、興奮したSCP-1239-JP-1群が体内に無理やり侵入するなどの攻撃を行ってきたため、機動部隊る-12 ("気弱な清掃員")が事態を収集させるまで、SCP-1239-JPとサイト-8182の職員██名は慢性的な過呼吸や酸欠、咳、吐き気に悩まされました。
インタビューログ1239-JP-68
対象: SCP-1239-JP
インタビュアー: 柳瀬研究員(SCP-1239-JPの定期カウンセリングを担当)
付記: これは事案1239-JP-8の直後に行われたインタビューである。SCP-1239-JPはインタビュー中、終始目を瞑っており、特性の発現を自主的に抑制している。
[記録開始]
柳瀬研究員: 気分はどうですか?
SCP-1239-JP:かなり悪いです。まだ喉の奥に居るみたいで…おえ [嘔吐]
[嘔吐と咳が数分間続く。この間、柳瀬研究員はSCP-1239-JPの背中をさすり続ける]
SCP-1239-JP:ありがとうございます…少し楽になりました。
柳瀬研究員:また苦しくなったら言ってください。それで、本題なんですが…SCP-1239-JP-1が現れた前後の状況を教えてください。
SCP-1239-JP:ええっと… [咳き込み] 確かあの時、僕はいつも通り、部屋の真ん中でボーッと壁を眺めていました。でもあの時…ふと考えじゃったんです。そういえば、空気の擬人化はまだやってなかったなあ、と。そしたら、彼女たちがワラワラと現れてきて…。…何故かは知りませんが、かなりご立腹でしたね。「空気読め」だの「気[編集済]!」だの、いつにもまして辛辣な言われようでした。 [咳き込み]
柳瀬研究員:大丈夫ですか?
SCP-1239-JP:うう…[咳き込み] 最近、目に付いたものを片っ端から擬人化しようと思うようになっちゃって。思っちゃいけないのは重々分かってるんですが、やることなさすぎて、どうしても思っちゃうんですよ… [咳き込み] …クソッ、どいつもこいつも、これがあるからいけないんだ…[目を強く押さえる]
柳瀬研究員:██さん、ヤケになってはいけません。落ち着いて…
SCP-1239-JP: [咳き込み] 先生…いっそのこと僕の目、取っちゃってくださいよ。そしたら管理も楽に…
[SCP-1239-JPの目の前に2体のSCP-1239-JP-1が出現する]
SCP-1239-JP:えっ… [卒倒]
柳瀬研究員:ああっ、██さん!
SCP-1239-JP-1-L,-R:目には目を。
[記録終了]
SCP-1239-JPの眼球がSCP-1239-JP-1-L,-Rに変化したことで、SCP-1239-JPは失明し、特性を発現しなくなりました。しかし、何らかの理由でSCP-1239-JPの視力が復活した場合、特性を再び使用できるようになる可能性があることから、オブジェクトクラスの再分類は見送られました。
2010年10月█日、SCP-1239-JPの就寝中、1体のSCP-1239-JPが現れました。対象へのインタビューから、SCP-1239-JPが見ていた”夢”の擬人化であることが判明しました。これにより、SCP-1239-JPは自身の持つ概念や記憶を消費する形でも、特性を発現できることが明らかになりました。特性が今もなお機能していることを、SCP-1239-JPが察知した場合、発現頻度が増加する恐れがあります。これを踏まえ、10月10日に特別収容プロトコルが現在のものに改定されました。
201█年現在も、平均して月に█体のSCP-1239-JP-1が発生していますが、その頻度は年々減少傾向にあります。SCP-1239-JPは現在、認知症に近い症状を罹患しています。将来的に、知能の低下または[削除済み]の擬人化により、SCP-1239-JPは特性を完全に喪失することが予想されます。
逞しい想像力だが、ネタ切れは必ずやってくるものだ。 - 高山博士
補遺1239-1:
SCP-1239-JPのパソコン及び█████アカウントを調査した所、「お料理博士!ワンタメたん」とキャプションが付けられた、女性キャラクターのイラスト██枚を発見しました。SCP-1239-JPはこのキャラクターについて「ワンタンメンを擬人化したオリキャラ」と主張しています。解析の結果、画像ファイルには文章が埋め込まれていたことが判明しました。現在、インターネット及び個人所有の電子機器から該当画像の複製を削除する任務が機動部隊ミュー-4 ("デバッガー")によって行われています。
コングラッチュレーション!ワンダーテインメント博士限定版コレクションのビッグ・ミスターをよくぞ見つけてくれた!
これはキミのような何時までも純真な心を忘れない、大きなお友達のために作られたものだ。子供たちには内緒だぞ!
彼らはキミのために素敵な"魔法"を見せてくれるが、キミの許可がない間は、ただの"良き友人”だ。TPOを弁えて使えってことだ!後で後悔しても知らんからな!
全て見つけてCOOLなJAPANを満喫してくれたまえ!
01. ミスター・BONSAI
02. ミズ・GEISHA
03. ミスター・SHABU-SHABU
04. ミスター・GIJINKA(自主回収中) ✔
05. ミズ・NYOTAIKA
06. ミスター・KAWAII(≧∇≦)
07. ミスター・HARAKIRI
08. ミスター・KAMIKAZE(発売未定)
09. ミセス・KAIZEN
10. ミスター・KAROUSHI(発売未定)
お知らせ
弊社の『ミスター・GIJINKA』(ビッグ・ミスターズ™コレクションvol.18 世界に誇る日本文化シリーズ)をご購入されたお客様から、製品に不具合があるとのお申し出があり、当該品を分析した結果、異物の混入が確認されました。製造する過程において、異物が意図的に混入された可能性もあるため、関係機関と連携し、速やかな原因究明に努めております。現在弊社は製品の自主回収を行っております。製品をご購入されたお客様には大変お手数ではございますが、下記のワンダーテインメント社カスタマーセンターにご連絡をお願いします。
[編集済]
文章に書かれた情報をもとに捜索したところ、和歌山県██市の山中において、SCP-1239-JPを開発・生産していたと思しき施設を発見しました。機動部隊に-2 ("名無しの特定班")が現場に到着した時点で、既に施設は遺棄されており、周辺には生産設備や事務用品を模した多数のSCP-1239-JP-1が共同体を形成して生活していました。機動部隊は現場に残されていた数点の文書を回収しました。
2003/2/24
今日、ワンダーテインメントの奴らから新製品の共同開発を持ちかけられた。各国限定版のミスターズを作るにあたり、現地企業の"職人芸"を取り入れたいということだ。商談を始めた時点で既に、国内企業█社が参画する、一大プロジェクトとなっているらしい。他社との関係改善、そして海外へのPRも見込める旨味のある案件だ。社長も乗り気だから、話はすぐにまとまるだろう。
2003/3/10
我が社はミスター・擬人化(仮)の肝となる「擬人体生成機構」の開発を受け持つことになった。これは大役だぞ。
2003/4/19
素体となる人間を、麓から数名調達。本格的な作業に取り掛かる。
まず最優先にやるべきことは、セーフティ機能の搭載だ。影響範囲は5mくらいにして、大規模な物体の変換には制限を設ける。いきなり地球丸ごと擬人化して、人類滅亡!…なんてことになったら、何もかもパーだからな(そもそも、そこまでヤバイものが作れるかどうか、疑問だが…)。他の奴らに間違って弄られないよう、しっかりとハードコードにした上で埋め込んでおく。
2003/5/7
ミスター・GIJINKA(博士のこだわりにより、表記変更)の試作品の開発は順調に進んでいる。1号君に社内バーベキュー大会で余った木炭(もっとマシな物は無かったのか?)を見せたところ、炭を"まげ"に見立てた侍風の少女に変換された。1号君は試作品の中でも特に個性的な擬人体を作り出す能力に長けているようだ。製品のベースとすることに決まったが、こいつの外見は何とかした方が良いな。
2003/7/16
博士が開発工程の視察を行い、「擬人体に変化前の特徴を色濃く反映させるように」と指示してきた。確かに今のままでは、それっぽい外見をしただけのコスプレイヤーだ。"鶴女"や"███"で培った技術も組み込んでおこう。非生物の擬人化コードについても、多くの手直しが必要だ。東重側ともすり合わせをしないとな。
2003/7/25
再び博士がやってきた。博士は擬人体の性格が「画一的過ぎる」と言い、更に「バリエーション」と「人間味」を出すように求めてきた。正直、擬人体はみんな犬のように従順であった方が、玩具としては扱いやすくて良いと思うが…。外人の感性はよく分からん。
2003/8/18
博士から、今度はメールが送られてきた。中身は製品の内部挙動を安定させるための遺伝子情報とのこと。製品の外見はどうするかと返信したところ、そのままの姿で良いと言ってきた。「それも含めて楽しもうね!」だと?彼女はこの状態で本気で売れると考えているのか?
…しかしまあ、可愛い子に囲まれて暮らせるのだから、ブ男が1人くらい側に居ても、それはそれで楽しいかもしれない。
現在、新たなSCP-1239-JP個体は発見されていません。