SCP-1254
評価: +5+x

アイテム番号: SCP-1254

オブジェクトクラス: Neutralized Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1254の建物は人目に付かぬよう恒久的に保持される事となっています。SCP-1254が繁華街に近接している事から、かかり得る疑念を避けるために、財団のフロント企業が所有及び運営している偽店舗が建設されています。

SCP-1254は活性化した考古学的サイトとして扱われ、如何なる損傷の可能性も避けるべく厳格な環境制御及び保護がなされます。SCP-1254内の職員は常時SCP-1254に対し不要な障害を与えぬよう注意を払わねばなりません。更なる封じ込め対策は不要です。

SCP-1254から退出する職員は建物からの退出許可が下りる前に完全に除染を受ける事となっています。SCP-1254-1の行動とSCP-1254-2の構築進捗を監視するためにカメラが配置されています。SCP-1254-2の活性化時に備え武装した警備員が常駐しています。

説明: SCP-1254はカリフォルニア州███████████の███████書店にある在庫本全体です。SCP-1254は外見上は普通の本の集合に見えますが、綿密な調査により、本の内部がくり抜かれ複数のミニチュア文明が構築されている事が明らかになりました。SCP-1254-1と呼称される住民達はそのサイズを除いたあらゆる点で通常の人類とほぼ同一のミニチュア人間です。平均身長は約5 mmです。

無傷で残された複数のSCP-1254のサンプルを考古学的に分析した所、SCP-1254-1は紙をあらゆる素材に作り替える能力または技術を持っていると見られます。これらサンプルは古代ギリシャ及び古代ローマの建築物に類似した石造の建造物を内包しています。SCP-1254の損傷のあるサンプルに対する研究では、コンクリート、鋼鉄、カーボンファイバー、相当量のウランの痕跡、更には複数の未知の素材といった、より進歩的な素材の残留物が明らかになっています。有機的な食料の存在の形跡すらあります。

また、SCP-1254内の文明の数々は、書店で収められたジャンル区分に対応します。SCP-1254-1の文明が持つ知識水準は住まう本の種類に対応します。例として、SF分野では技術開発がより速いペースで行われ、ファンタジーならば主に中世に留まります。ノンフィクション棚における文明は現代の歴史と極めて密接に関連しています。これらの文明は相互作用を及ぼし合う事が分かっており、その証拠として『境界本』ではSCP-1254の隣り合ったサンプル同士の建築様式が混ざり合った状態になって現れます。

残念な事に、SCP-1254の99%は当書店発見前に発生した火災により破壊もしくは重大な被害を蒙っています。現場検証では火元は書店内のヤングアダルトコーナーであると推測されています。放射線反応だけでなく複数種の武器の痕跡が残されている事から、SCP-1254の複数の文明間で起こったミニチュア核戦争の結果として火災が発生し、これによりSCP-1254-1の全人口が滅亡に向かったと考えられています。

SCP-1254は前述の火災の後初めて発見されました。出動した地元の消防隊は放火の疑いが強いとして独自に現場検証を始め、SCP-1254の残留物を発見しました。財団は警戒態勢に入り当書店を管理下に置き、現場検証に当たった消防隊員に記憶処置を行いました。当書店は数ヶ月前から資金繰りの問題により営業を停止していましたが、買い手も現れず在庫の本は移動の目処すら立たないままでした。結果として、SCP-1254の存在は火災まで気づかれぬままでした。

補遺1: SCP-1254-1の生体が██年██月██日の定期調査中に発見されました。SCP-1254-1の生存者の小集団をウィルクス調査員が視覚に捉え、ヘッドマウントカメラでこの出来事全てを記録すべく試みました。核・生物・化学用の完全防護服を着用した7人の個体が、破壊された『ハリー・ポッターと死の秘宝』の上で使用可能な資源を漁っているのが目撃されました。SCP-1254-1の小集団はこの時ウィルクス調査員を見つけると本の奥深くへと逃げて行き、見えなくなりました。

SCP-1254-1の生体が確認された事と照らし合わせ、封じ込め対策及びオブジェクトクラスが改訂されました。

補遺2: 建物の空調システムの誤動作に対応した保守管理班は、フィルタの一つに対し突破を試みる製作者不明のミニチュア飛行機を見つけました。飛行機は捕獲後、最寄りの財団の研究所へ調査のために送られました。乗組員に向けての通信の試みはある程度成功したものの、応答として片言のラテン語で怒鳴り声と叫び声が入り交じった物が無線機に何度も流れるのみでした。二時間後飛行機は静かになり、研究のために乗組員を強制的に降ろす許可が下りました。飛行機の断面を精密検査した所、乗組員は集団自殺してしまっていた事が分かりました。

補遺3: セキュリティカメラで、保管室の一つに不審な動きが観測されました。無人機とカメラによる遠隔監視には、SCP-1254-1の集団が無傷の紙を可能な限り収集し保管室内に積み上げているのが映りました。更に監視するとSCP-1254-1が集められた紙で人の原寸の人型を構築しようとしていました。映像を基に分析すると、SCP-1254-2の完成度はおおよそ25%です。これに応じて収容プロトコルが更新されました。

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