アイテム番号: SCP-1260-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在SCP-1260-JPは財団により買収され、特殊サイト-81██として管理されています。サイト-81██周辺に常駐のエージェントを配置し、民間人、並びにPoI-8109"藤吉 朱里"によるSCP-1260-JPを監視してください。サイト-81██管理者の許可無しにSCP-1260-JPへの接触を行った人物は、常駐するエージェントにより確保され、尋問の対象となります。
SCP-1260-JP内に存在する物品は、サイト-81██常駐エージェントにより定期的に検査されます。SCP-1260-JP内に異常が確認された場合は、迅速にサイト管理者へ報告してください。
説明: SCP-1260-JPはPoI-8109"藤吉 朱里"によって借り入れられた2階建て貸し住居です。SCP-1260-JPには、漫画家の大川福夫氏によるの著作物、あるいはそれらに関係する創作物、メディアミックス作品が膨大な数保管されています。これらは劣化の兆候を見せず、現状試みることができる一切の破壊行為に対して異常な耐性を持ちます。また、SCP-1260-JP外にこれらの物品を持ち出すことも不可能です。
SCP-1260-JPの2階部分には、SCP-1260-JP-Aに指定される異常実体群が複数存在します。外見的特徴がいずれも異なり、多くの場合不定形実体ですが、一定数の人型実体が存在します。これらの実体はいずれも大川氏を名乗り、日本語による対話が可能ですが、いずれも財団が確認している大川氏の人物像には合致せず、大抵支離滅裂な発言を繰り返します。これらの実体をSCP-1260-JP外に移動させることは不明な原理により不可能です。
PoI-8109"藤吉 朱里"はGoI-093"PAMWAC"のメンバーであることが知られています。財団の調査により、PoI-8109の個人情報並びにSNSアカウントの特定に成功しています。PoI-8109は大川氏の著作を愛好しており、大川氏の著作に登場するキャラクターの二次創作を精力的に行っていたことが判明しています。また、大川氏のSNS上での発言に対し妄信的に賛同を表面するなど、大川氏に心酔していると評価される振舞をSNS上に残しています。大川氏とのSNS上での会話も確認されており、2名はお互いに連絡を取り合っていたことが推測されます。
補遺1260-1: 大川氏の実母"大川 久代"へのインタビュー記録
大川氏は交友関係や行動範囲が狭く、人物像の特定や足取りの調査が難航しました。このインタビュー記録は、SCP-1260-JP-Aの人物像と大川氏の人物像を比較する目的のもと、大川氏の人物象調査として行われました。
インタビュアー: エージェント・天沼(以下、天沼と呼称)
付記: 天沼は警察関係者を名乗りインタビューを実行しています。
≪再生≫
[重要度の低い会話につき割愛]
久代氏: 息子と連絡がつかなくなってそろそろ1年です。連載も長らく休んでいるようですし、心配で心配で。
天沼: 心中御察しいたします。我々も息子さんの消息について掴みかねています。ところでお母様はこちらの人物に見覚えはありませんか?藤吉朱里といい、息子さんの足取りを追う上での重要参考人になっていますが、やはりコチラも足取りが掴めていません。
天沼がPoI-8109の写真を提示する。
久代氏: あら、朱里ちゃんじゃない。知ってるも何も息子の元カノですよ。そういえば息子と連絡がつかなくなったのも、息子と朱里ちゃんが別れた頃だったかしら。[数秒無言]、まさか朱里ちゃんに何かされたんじゃ。
天沼: それはどうだか判りませんが。そうお思いになるということは、藤吉朱里が息子さんに危害を加える予兆に心当たりがあるのですか?円満な破局では無かった……であるような。
久代氏: うーん。コレというものは無いけども、あの子ちょっと変わった子だったから。
天沼: 変わった子。よろしければ詳しくお聞かせ願えますか?藤沢朱里の人物像は大変参考になります。
久代氏: ええ。私が朱里ちゃんの存在を知ったのは1年半ぐらい前ね。息子の漫画があんまりに売れないものだから「定職に就きなさい」って説教するために呼び出したんだけど、その時息子が"熱心なファンの子がいる"って見せてきたのが朱里ちゃんのSNSね。
天沼: 1年半っていうと丁度息子さんが█████を連載していた頃ですね。
久代氏: そうね。█████に出てくるキャラクターの絵を沢山描いているみたいだったわね。息子より絵が上手だったもんだから笑っちゃったのを覚えてるわ。
天沼: 申し上げにくいですが█████は人気のある漫画とは言えませんでしたね。連載から間もなく打ち切られているはずです。その時代からのファンでしたか。
久代氏: [忍び笑い]。息子の漫画はそんなのばっかりよ。それから1か月後ぐらいよ、息子が朱里ちゃんをウチに連れてきたのは。どうやって繋がりを得たのかわからないけど、まさか交際にまで発展するなんてねぇ。私の考えが古いのかしら。
天沼: いや、それは確かにすごいですね。
久代氏: それから定期的にウチに来るようになったんだけど、私が変だと思ったのは付き合い始めて2か月目ぐらいね。最初は私にもよく懐いてくれて「いい子だな。」って思ったんですけど、あの子ったら息子の私物を持ち帰るんですよ。小さい頃のアルバム写真。小学校の通信簿。小さい頃好きだった玩具。そういうのを持ち帰るの。
天沼: 奇行ですね。その時、息子さんはどのような反応を?
久代氏: よほど惚れてたのかしらね、何も拒否しなかったわね。小さい頃の写真なんて持っていってほしくないから私は拒んだんだけど、あの子が制止してきてねぇ。█████████なんて描いてた頃だし、ちょっとおかしくなってたのかもしれないわ。
天沼: █████████は私も覚えています。作風の大きな転換は話題になっていましたから。
久代氏: それから3か月後ぐらいかしら。息子がメールで「別れた」とだけ送ってきたのは。返信したけど返事は無かったわね。それからはもうそれっきり。あれだけ独占欲が強そうな子だったのに、意外とアッサリしてたわねぇ。
[重要度の低い会話のため割愛]
≪終了≫
補遺1260-2: 未解決インシデントとの関連性
財団のインシデントアーカイブにPoI-8109に関連するインシデントが存在することが判明しました。このインシデントはPAMWAC主催の同人即売会であり、PoI-6621"腐女子 種梨"がモンゴロイド系成人男性の外見的特徴を持つ人型実体(AO-5631に指定し、セクター-81JHに収容。)を配布していた事実が記録されています。財団の調査により、このPoI-6621とPoI-8109は同一人物であることが判明し、収容されているAO-5631の外見的特徴は大川氏のものと酷似しています。このインシデントではPoI-6621"腐女子 種梨"の確保に成功していません。詳しくはインデントアーカイブを参照してください。
補遺1260-3: 追跡結果
"腐女子 種梨"名義のSNSアカウントの特定に成功しました。アカウント作成時期は大川氏とPoI-8109が破局した時期と一致し、発言に大川氏の著作に関係するものは存在しません。現在、PoI-8109は████████の作者として知られる█████氏の作品群を愛好していると思われ、SCP-1260-JPと同一の事象の発生が懸念されています。