SCP-1261-JP
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アイテム番号: SCP-1261-JP

オブジェクトクラス: Euclid Neutralized

特別収容プロトコル: オブジェクトは中危険度ヒト型生物収容チェンバーにて収容され、SCP-1261-JPが異常性を行使した暴動行為を行った際は、対象の健康を害さない範囲での鎮静剤の投与が許可されます。

説明: SCP-1261-JPは外見的な異常性を有さない中年男性です。SCP-1261-JPは自身から30cmの範囲内での超常的な物質操作を可能とします。SCP-1261-JPは常時浮遊しており、この異常性はオブジェクトに体力の消耗という結果を与えています。また、浮遊時は常に地表から28cmの位置を維持します。SCP-1261-JPは腕部の体温を瞬間的に増幅することが可能です。現在確認されている最高温度は47℃です。SCP-1261-JPは相対した人物に対して記憶の読み取りを可能としますが、異常性を行使した直後睡眠状態に陥ります。SCP-1261-JPは眼球の発光を可能としていますが、夜間に実施した実験により暗視効果を伴っていないことが確認されています。

SCP-1261-JPは█████████においてマジシャンとして活動を行っていましたが、██回目のショーを行った際ボールペンを浮遊させるといった芸を行いました。しかし、休暇時█████████に来場していたエージェント██によりそれが超常的なものであると発覚、収容されました。

補遺-A: SCP-1261-JPの収容から3日後、芳虹博士によるインタビューが行われました。以下はその記録です。

対象: SCP-1261-JP

インタビュアー: 芳虹博士

<録音開始>

芳虹博士: はじめまして、SCP-1261-JP。私は芳虹と申します。

SCP-1261-JP: ああ、何度言えば分かる。俺は秤だって言ってるだろうが。まあ良いけどよ。

芳虹博士: ご理解ありがとうございます。本日はあなたの事をいくつか質問するためにお呼びいたしました。

SCP-1261-JP: 俺のことか?知っても得するような人生じゃないぜ。それに、ここに来た時に生まれも名前も全部話しただろう。

芳虹博士: いえ、私が知りたいのはあなたが生まれたときからその力を持っていたのかどうかです。

SCP-1261-JP: あぁ、これね。あんまり思い出したくないんだがな。どうしても言わなきゃ駄目か?

芳虹博士: お願い致します。

SCP-1261-JP: あークソ。分かったよ。(10秒間の沈黙)詐欺に遭ったんだよ。それも最近。

芳虹博士: どういう事でしょうか?

SCP-1261-JP: あんたらが没収した俺の財布の中にビラが入ってる筈だ。まだ残ってんなら中を見て見ればいい。あと、金は取るんじゃねえぞ。絶対だ。

芳虹博士: 分かりました。後ほど拝見させて頂きます。

SCP-1261-JP: んじゃ、もう戻っていいか?

芳虹博士: いえ、申し訳ありませんが後5分程お付き合い頂けるでしょうか?

SCP-1261-JP: まだあんのかよ…手早く済ましてくれ。

芳虹博士: はい。私がお聞きしたいのはあなたが広告用紙を確認した時点からどのようにして異常性の獲得に至ったかです。

SCP-1261-JP: あー…なんであんたらはそんな物好きなのかね。ただのおっさんが詐欺に遭って落ちぶれていくだけの話を聞きたいだなんて。

芳虹博士: お願いします。

SCP-1261-JP: 分かった分かった。話すよ。(5秒間の沈黙)ビラが入ってたのは今年の3月19日だ。俺は一人暮らしだから当然金の管理も俺だ。そんなとこにあんな怪しいビラが入ってきて、目を引かないわけがねぇ。内容については後で見てくれればいい。昔から俺は妄想好きでな、超人になって凄い力を手に入れたり、ヒーローになって世界を救ったりするのを妄想してたんだよ。そこにあのビラがやって来た。そりゃ怪しいとも思ったさ。だが、誘惑に負けた。その頃の俺は仕事のストレスで頭が相当逝ってたんだろうな、裏面の電話番号に電話してみたんだ。残念ながらお試し期間は無かったがよ、本社に見学に来てもいいって言われたんだ。勿論俺はそれに乗った。

芳虹博士: 待ってください、SCP-1261-JP。その本社に行ったのですか?

SCP-1261-JP: ああ。行ったぜ。そこで実際に超能力を獲得した人を見してもらった。口から火を吹いたり、透明になったりしてたぜ。

芳虹博士: …場所は覚えていますか?

SCP-1261-JP: ああ覚えてるぜ。いや、すまん…どうやら忘れちまったらしい。確か病院みたいなとこだったが、すまんな。

芳虹博士: 分かりました、問題ありません。続けてください。

SCP-1261-JP: ん、どこまで話したっけか?

芳虹博士: あなたが本社に向かい実際に異常能力を獲得した人物を視認した所までです。

SCP-1261-JP: あー、そこね。実際に見してもらった後、当然俺は欲が湧いて堪らなくなった。小さい頃からの夢が叶うんだぜ、しかもその時の俺は会社で結構良いとこまでいってて、金は沢山あった。だから一個だけ試してみるって言ったんだが、担当の奴がしつこくてよ。今なら6個でも5個と同じ値段ってな。まあ面倒くさくなって俺は6個買ったって訳。そんで翌日になったら力が使えるようになってた。

芳虹博士: …6個?あなたの異常性は5つの筈ですが。

SCP-1261-JP: 実際は5個みたいなもんだ。身体強化が無能すぎた。握力が2だけ上がっただけだ。

芳虹博士: 成程。分かりましたが、会社?あなたはマジシャンでは無いのですか?

SCP-1261-JP: 月額契約の取り消しが出来ねえ上に、金が足りなくなってきたから掛け持ちで初めただけだ!クソ。もっと良い力だったらそれなりに何とかなっただろうが、唯一まともなサイコキネシスでさえ範囲30cmだぞ、ピザを持ち上げた瞬間服にくっついちまう。その上空中浮遊は解除ができねえ。そのせいで俺はずっとブーツを履いて誤魔化さなきゃいけねえ始末だ。クソが。

芳虹博士: 分かりました。これにて記録終了です。ありがとうございました。

<録音終了>

終了後報告: 記録収容後SCP-1261-JPより回収を行った財布内部を探査した結果、一枚の広告用紙と思われる用紙を発見、回収されました。以下はその内容です。

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推察: SCP-1261-JPはこれらの企業により異常性を付与されたと推測され、当組織との月額契約が組まれているSCP-1261-JPの銀行口座からは月250万が支払われています。また、販売元の企業に対する逆探知は成功しておらず、依然その足取りは掴めない状況にあります。さらに、裏面に記載されていたと考えられる電話番号は何らかの異常干渉によってその大半の消去が行われています。

補遺-B: オブジェクトの収容から約3ヶ月が経過後、突如としてオブジェクトの異常性が消失。その後1ヶ月間の保護観察期間を終えた際に行われたSCP-1261-JPとの最終インタビュー記録です。

対象: SCP-1261-JP

インタビュアー: 芳虹博士

<録音開始>

芳虹博士: お久しぶりです、SCP-1261-JP。

SCP-1261-JP: ああ、そうだな。

芳虹博士: あなたの異常性が消失した事に対し、なにか心当たりはありますか?

SCP-1261-JP: あるさ。大アリだ。あんたらはあのビラを見なかったのか?

芳虹博士: 拝見しましたが何か?

SCP-1261-JP: まだわからねえのか?俺の力は商品なんだよ!それも大ボラ付きのな!

(SCP-1261-JPが癇癪を起こし周囲の物品を破壊する。)

芳虹博士: 落ち着いてくださいSCP-1261-JP。

SCP-1261-JP: ああ、悪かった…。あんたらもビラを見たなら分かるだろ。丁寧に商品を美化して、何が充実したサービスだよ。これじゃスーパーマンどころか科学技術にも劣ってる欠陥ばかりじゃねえか…まあいい。んで、月額契約で月々250万。契約を止めたくても受話器の向こうから帰ってくるのは機械音声だけだ。まあ、察するに俺の金が尽きて契約が終了したんだろうよ。クソが。[削除済み]しやがれクソが。

(芳虹博士がSCP-1261-JPの預金を確認する)

芳虹博士: …確かに今のあなたの預金は296円です。

SCP-1261-JP: 296円だと?クソが。俺が23年間働いて、その上マジシャンにまでなって集めた金が…。巫山戯るな…。

芳虹博士: それは気の毒に思いますが、申し訳ながら我々にはどうしようもありません。それでは、これにてインタビューを

(SCP-1258-JPが机を叩き立ち上がる)

SCP-1261-JP: おい…まさかこのまま俺を開放するつもりじゃねえだろうな? 俺は今財布の金と296円しかねえんだぞ?そんな状態で社会に戻す気か?会社だって辞めちまったし、どうやって生きていけっていうんだ!

芳虹博士: その質問にお答えすることは出来ません。

<録音終了>

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