アイテム番号: SCP-1275-JP

閉鎖後の████ランドの様子。
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-1275-JPはサイト-8104の担当班によって管理されています。現在████ランドはSCP-1275-JP以外の施設すべてが撤去された状態であり、SCP-1275-JPを取り囲むようにサイトおよび研究施設が建設されています。施設は発電施設に偽装されます。
現在、並行してSCP-1275-JP-Aの状況や動向の監視が行われています。もし、何らかの異常が発生した場合はサイト-8104の担当班に報告してください。
新たなSCP-1275-JP-AがSCP-1275-JP内部に出現した場合は速やかに対象を保護し、検査を終えた後に保護者の元へと移送してください。
説明: SCP-1275-JPは北海道 ██近隣に位置する「子供お仕事パーク」と明記された大型施設です。対象は1990年に子供の職業体験施設という名目で当時遊園地として経営されていた████ランドの敷地内に建設され、その後の経営不振などから1991年に運営会社が倒産、その直後に建物も含め園全体が閉鎖されたと記録されています。
SCP-1275-JP内部は施設外見よりも多くの面積を有します。また内部の時間経過は外部と比べて早く、1時間とされる時間も内部では2ヵ月程度であると計測されます。これによる人間の老化現象などは発生しません。
内部では大型ビルおよび公共施設などが存在する市街地が運営され、天井にある大型の電灯やスプリンクラーなどによって、朝昼晩の太陽の様子に雨といった天候の変化なども再現されています。また犬や猫、烏や鳩といった市街地に生息していると想定される生物、並木や庭などで植生している植物等も内部には存在しており、内部で使用されている物品や生物は通常の物同様に損傷しますが、それらを外部に持ち出した場合、対象は瞬時にプラスチック製の人形や物品へと変化します。
SCP-1275-JPの異常性は内部に5歳から9歳までの人間が侵入した際に発生します。該当する児童が内部に侵入した場合、対象の精神年齢は大幅に向上させられかつ30歳から40歳であると想定される人間が有する一般常識と学力を保有した状態に変化します(以下SCP-1275-JP-Aとする)。SCP-1275-JP-Aに該当しない人間等が施設内に侵入したとしても何ら影響は受けず、これらの直接的な原因や識別方法などは現在も判明していません。
SCP-1275-JP-Aは全員が日本国内にて行方不明となっていたという経緯があり、SCP-1275-JPに到達した状況など一切を記憶していません。影響下にあるSCP-1275-JP-AはSCP-1275-JP内にある物品全てを施設内に設置されている模造品であると正しく認識しており、その為SCP-1275-JP内からの脱出も容易であると理解しています。ですが、SCP-1275-JP-Aが外部に出た場合、瞬間的にこれまで確認された全ての異常性が消失するため施設内部の記憶の殆どを喪失します。現在、SCP-1275-JP-Aとなった児童らの行方不明事件がSCP-1275-JPによって引き起こされた事象であるかは判明していません。
SCP-1275-JP-AがSCP-1275-JP内部に侵入した場合に発生する工程
工程1: 行方不明となっていた児童(この時点で影響を受ける為SCP-1275-JP-Aへと変異する)が未知の原理で施設内にある玄関広場に突如出現する。
工程2: 広場に設置されている印刷機から自動でSCP-1275-JP-Aに割り当てられる職業と居住区が明記された書類が印刷される。
工程3: SCP-1275-JP-Aは指定された地区に向かう。
工程4: 既にSCP-1275-JP-Aの本名が書かれた表札のある住居にて生活を開始し、その翌日から同じく指定された職業に従事するようになる。
SCP-1275-JP-Aはどのような特殊な技能(遺伝子操作や量子物理学といった高度な研究職、危険物の取り扱いに関わる職業など)であろうともそれを行使し、SCP-1275-JP内に設置されている交通機関や金融機関、医療施設、政治的機関および警察組織などを運営することで現代の日本の都市部と同等の生活水準を有する独立した共同体を形成しています。それに伴いSCP-1275-JP内で社会的な人間関係を有するSCP-1275-JP-Aの存在も確認されています。
2017年現在、確認されている全てのSCP-1275-JP-Aは財団機動部隊により保護され、その後の精密検査を終えた上で保護者の下へと帰されています。ですが、今後発生する異常性発現の可能性も考慮してそれぞれに対しエージェントによる監視が行われています。なお、現在対象の殆どがSCP-1275-JP内で担当していた職業と同様の職に就いており、しかしこれらの事象はあくまでSCP-1275-JP-A等の自由意志により決定された物であると確認されています。
以下は現在のSCP-1275-JP-Aの動向をまとめたリストの抜粋です。SCP-1275-JP-A-1 | 職業:医師 対象はSCP-1275-JP内でも医師として活動しており、現在も内科医院を開業している。しかし、エージェントの報告からもこれの決定に何かしらの強制があったようには見えなかったとされ、開業した医院の方針や周囲の人間関係などSCP-1275-JP内で生活していた時とは大きく異なる点が確認されている。 |
SCP-1275-JP-A-27 | 職業:元アパレルショップ店員 対象は2016年7月28日に酒気帯び運転をしていた普通乗用車に撥ねられ死亡した。職業はSCP-1275-JP内で担当していた物と同じだが、内部でこのような事象は確認されていない。 |
SCP-1275-JP-A-98 | 職業:企業の経理担当 職業に関してはSCP-1275-JP内で担当していた物と同様であり、また対象はSCP-1275-JP内で婚姻関係にあったSCP-1275-JP-A-99と現在も婚姻関係にある。これらの現象もあくまで双方の自由意志によって決定されており、対象二名が接触した経緯もSCP-1275-JP内で発生した事象とは異なる形で発生している。なお、SCP-1275-JPに関する記憶が復活した等の兆候も見られていない。 |
SCP-1275-JP-A-120 | 職業:検察官 SCP-1275-JP内では弁護士を担当していたが、現在は検察官として働いている。なお、これらの経緯について監視を行っていたエージェントの報告によると、当初こそ対象は弁護士を目指してはいたが、当時通っていた大学の恩師が不当な方法で無罪判決を促したという報告を受け目標を変更したと確認されている。この事からも、あくまでSCP-1275-JP-Aの就く職業や周囲で発生する事象、行動原理などは対象の自由意志によって決められており、SCP-1275-JPからの強制などは受けていないと思われる。 |
SCP-1275-JP内で確認されている職種の種類は「子供お仕事パーク」の企画書などに明記されている職種以上が存在しています。これらの増幅は新たなSCP-1275-JP-Aの出現に伴う構造物の出現という事象により発生します。
食料や医薬品等の消耗品、ガソリンと言った燃料などの物品の生産に関しては閉鎖的なコミュニティーである性質上常に人員が不足している為、一部施設内に設置されている供給装置から未知の原理で生産、補填されています。電力などはSCP-1275-JP内に設置してある発電施設によって賄われており、それらの操作はSCP-1275-JP-Aによって行われています。
補遺: SCP-1275-JPは1994年の北海道 ██にて発生した事案により発見されました。当時、鹿児島県 ██町にて家族と旅行に来ていた██ ██氏(男性:当時8歳)が海岸沿いで失踪するという事案が発生しました。なお、当時の捜索活動では対象の発見には至りませんでした。しかし、それからおよそ3ヵ月後、北海道の██近くに敷かれている国道█号線付近にて対象が保護されたという報告が上がり財団がこれを察知、これに関する調査を開始。結果、エージェント・Peetが現SCP-1275-JPを発見し、機動部隊を起用した内部の調査を行った際にオブジェクトの全貌が明らかとなりました。なお、発見当時のSCP-1275-JP内には204名のSCP-1275-JP-Aが生活しており、その後の調査で全員が全国で行方不明となっていた児童であることが判明しました。
以下はSCP-1275-JP-A-98・本名:橘 ██氏(男性:当時7歳)へ行ったインタビュー記録です。
追記: 20██年現在、新たなSCP-1275-JP-Aの出現は確認されていません。しかし、SCP-1275-JP内部での空間的異常は確認されている為、以降も監視は継続されます。
また、SCP-1275-JP-Aの保護後に行われた内部調査の際に以下の文章が印刷機から印刷されました。これに関する異常は発生していませんが、内容からSCP-1275-JPがこちらを認識している可能性が浮上しました。