以下は、記憶補強剤を用いたDクラスによるSCP-1277-JP-Aの探査記録です。
探査記録1277-1 - 日付20██/█/█
対象: D-811277
インタビュアー: 富士博士
<録音開始>
富士博士: それでは、探査記録のインタビューを開始します。D-811277、順を追ってSCP-1277-JP-Aで起きたことを説明してください。
D-811277: はい。えぇと…まず、SCP-1277-JPを発言して3秒後に、ムシ、全体的に緑色をしたムシが出現したんです。そして、そいつは、こちらへどうぞって俺を案内しました。こんなの言ったって信じてもらえないと思うけど。
富士博士: 続けてください。
D-811277: はぁ。そして、そいつについていったら、いつの間にか周囲の景色が変わっていて、気づいたときには変な、部屋にいました。その、でっかいワニがいたんです。それで俺は緑のムシに、おいこれは一体どういうことだ、って聞いたんです。そしたらムシが言うことには、
D-811277: 「ご安心ください。あなた方の肉体には一切の危害は加わりませんので。さぁ、最高の被食体験をお楽しみください。」って。
D-811277: それと同時に、目の前のワニが口をひらいて、[沈黙]
富士博士: それで?
D-811277: いや、あの中は、とてもにゅるにゅるというかそうなんか、変に気持ちよかったんです。それで、わかんないけどだんだん意識が朦朧としてきて、腕とかちぎられてるのに変に気持ちよくなって…
D-811277: 気づいたら戻ってきていました。
富士博士: なるほど。経験前と経験後に変化は?
D-811277: 肉体的にはないんですが、精神的に、こう、少し気持ちが楽になった気がします。
富士博士: なるほど。では、インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: 緑色のムシと、彼らの目的について更なる調査が必要そうだ。
探査記録1277-2 - 日付20██/█/█
対象: D-811277
インタビュアー: 富士博士
付記: 今回の探査はSCP-1277-JP-1(緑色のムシ)へのインタビューをメインとし、D-811277にはあらかじめ質問内容を定めておいた。
<録音開始>
富士博士: それでは探査記録のインタビューを開始します。D-811277、まず、SCP-1277-JP-1について判明したことを説明してください。
D-811277: えっと、あれはおそらくハンミョウです。それで、彼らには意思疎通ができました。
富士博士: なるほど。では質問の回答を説明してください。
D-811277: はい。まず、SCP-1277-JPの内容と目的について、SCP-1277-JP-1は「私たちは常にあなたたちの周囲を漂うイマジンであり、そのお互いの視覚的な干渉を可能にするおまじない。」と証言してました。おそらくそれがその、情報を秘匿する異常性の解除トリガーだとも思います。
D-811277: 次に、SCP-1277-JP-1自身の目的を質問すると、「私はただの給仕で、案内役にしかすぎません。私たちはあなた方を最高の体験へといざなう、そのためだけの者です。」と言っていました。
D-811277: 被食体験の目的を質問すると、「少し説明は難しいですが、捕食、という言葉を用いて説明するなら、私たちの選択的捕食性を用いてあなたたちの中の特定の部分を捕食することで、セラピー的な効果があることに気が付いたのです。なので、食べきれる分だけ、おまじないを使った人だけに限定して捕食し、こうして共生的な関係を持つため、ですね。」と言っていました。
富士博士: そうですか。では、その後の動きについて、前回との変化は?
D-811277: 今回は巨大なライオンでした。その後は前回と一緒です。
富士博士: なるほど。インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: おおむね探査は順調に成功している。まだ不透明な点は多い。さらなる実験が必要だ。
その後、D-811277はSCP-1277-JP実験への参加を多く志望する様子が見受けられたため、記憶処理を行いました。また、他のDクラスを用いた探査においても同じような証言が得られました。