
SCP-1285。根の侵入テスト中に撮影された写真。
アイテム番号: SCP-1285
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 実験していない時のSCP-1285は、サイト-56外部にある、フェンスを巡らせた3m×3mの空き地に配置します。実験中のSCP-1285は、実験プロトコルが別途必要となる場合を除き、6m×6m×3mのコンクリート製収容エリアに収容します。屋内に配置されているSCP-1285の根は、収容チャンバーに劣化が及ぶのを防ぐために、毎日検査して刈り込みます。実験はレベル4の承認が下りた場合のみ実施するものとし、必要に応じて適切に成長させるため実施2週間前に申請する必要性があります。実験後、全てのSCP-1285-1実例を除去・焼却します。
事案1285-ABに続き、SCP-1285-2実例を精製することは禁止されました。SCP-1285-2の生成を試みているのが見つかった職員は別なプロジェクトへと配置転換されます。これが失敗した場合、問題の職員は終了され、結果的に発生するSCP-1285-3個体には最終的解決策として破壊処分が行われます。
説明: SCP-1285は、コンクリート製の台座に腰かけている、腕と頭部の欠落したヒト型実体を象る木製彫刻のように見えます。肩からは根のような構造体が伸びています。台座の裏側には“自然の抱擁”という刻印があります。現在、SCP-1285が知覚力を持っているのか、あらかじめ定義された動作に従っているだけなのかは分かっていません。
当該オブジェクトの異常性質は屋外環境に配置されると発現します。像の根は、障害物が無い場合の観察下において1日あたり1mの率で、成長を開始します。非有機物質からなる物体表面に到達すると、根はその表面と一致する色素を生成し始め、存在する亀裂を通して成長を続けようと試みます。
実験により、SCP-1285の根は直近の“寝室”に向かって成長することが示されています — ここで言う“寝室”とは睡眠を取るための用具が設置された任意の部屋を指します1。寝室内に到達した根は、問題の部屋で人間が眠りに就くまでは成長を停止します。対象者が就寝すると、SCP-1285の根は急速な開花期に入り、続いて対象者の目を片方抉りだして、そこに一輪の花(以下SCP-1285-1と呼称)を残そうと試みます。MRIスキャンは、SCP-1285-1が対象者の脳に直接的に接続されていることを示します2。この過程を生き残った人物は“軽度の不快感”を訴え、暴力的行動の顕著な減少を示します。この過程は完了までに16~32秒を要するのが観察されています。
SCP-1285-1は近辺の昆虫3を引き寄せ、昆虫はSCP-1285-1を介してSCP-1285を“受粉”させます。これにより、以下でSCP-1285-2と呼称する樹液が生産されます。SCP-1285-2は[データ削除済]を使用することによって、アルコール飲料へと生成することが可能です。この飲料を消費すると、6時間後に腹痛・頭痛・出血・嘔吐などの副作用が発生し、以後72時間にわたって激しさを増していきます。影響者がこの症状を生き延びた場合、根のような構造物が全ての開口部から急速に成長し、最終的に影響者の全身を覆い尽くします。問題の影響者は、この時点からSCP-1285-3個体と見做されます4。
SCP-1285-3個体はあらゆる哺乳動物に対して敵対的であり、それらを身動きできない状態まで傷付けようと試みます。これを達成すると、SCP-1285-3は“口”を露わにして標的に咬み付きます。咬み付かれた影響者はSCP-1285-2によるものと同一の症状を、しかし遥かに急速な勢いで示し始めます5。
補遺: SCP-1285は19██/██/██、コロラド州██████における“樹木人間”(SCP-1285-3個体と判明)の報告に続き、当地にある“█████のバー&グリル”の奥の部屋から発見されました。バーのオーナー███████ █████は事案の一端を担ったことからD-1285-1として徴収されました。クラスA記憶処理が生き残りの目撃者に施され、全てのSCP-1285-3個体は終了されました。███████ █████の所持品からは1枚のメモが発見されました(文書1285-A)。
文書1285-A:
最愛のファン、█████ █████へ:
我が最新の映画“怪奇 根っこ男の襲撃!”6の製作に協力してくれたことに、心より感謝申し上げる。君の演技がどれほど貢献してくれたかを、君自身で理解していることを願っている。君は完璧な主演者であり、それ故に私は君に心から礼を言いたいのだ。しかし話を先に進めよう! 感謝の証として、メインの小道具(気付いていると思うが、森の神の像だ)の所有権を君へと譲り渡し、小さな秘密を教えようと思う。
樹木の怪物たちを作りだすために、かの卑劣なアーボル博士が森神の樹液を抽出した流れを覚えているかな? うむ、ここだけの話だが、私の愛しい小道具の力を借りれば、君も同様にそれを生成できるのだよ。必要なのはただこの像を何処か君が眠る場所に配置し、その部屋に誰かを招き、魔法が展開されるがままにすればいいだけだ!
そして君がすべきことは、得られた樹液を採取して[データ削除済]
素晴らしいではないかセ・マニフィーク!
だがこの物質には用心したまえ。これはアルコール性だ、それに私は君のような若人に早々とキャリアの終止符を打ってほしくは無いのでね!
君の才能は、君をより高みへと運ぶことができると私は請け合えるよ。君が撮影セットでこなした時と同じ程度に、君がこの驚嘆すべき芸術の力を最大限引き出せることを信じて、これを委ねる。
すぐに郵便で荷物を送るとしよう!
くれぐれもよろしく、
CtM