SCP-1285-JP
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アイテム番号: SCP-1285-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1285-JPは標準型ヒト型収容室に収容し、周囲にはXACTS16基を配置します。XACTSは1ヶ月に1回定期検査を行い、不調の徴候があった場合は可能な限り早く修理または交換してください。SCP-1285-JP-A-1~24は標準型死体安置所に安置し、時間経過による実体の変化を観察して下さい。

説明: SCP-1285-JPは岩手県██市で発見された即身仏2です。通常の即身仏と異なり、推定201█年前後に即身仏となったものです。SCP-1285-JPはクリプトビオシス3状態にありながら意識を保っています。SCP-1285-JPは東北地方の真言宗門徒の心理状態を有意に平穏へと導く異常性を保有しています。

SCP-1285-JPの本名は佐伯██氏です。SCP-1285-JPとなる前の佐伯氏は、岩手県██市の██寺住職にして、真言宗の中僧正という高僧でした。しかし、201█年に生入定を試み、警察に阻止されるという事件を起こした後、201█/█/██に消息不明となっていました。財団は東北地方の真言宗門徒の心理状態が有意に改善していることに疑問をいだき、「岩手県のために即身仏となった高僧がいる」、「██寺に参拝に行くとどんな心境の時でも心が安らぐ」などの噂を受けて調査を行い、佐伯氏の住居である██寺近くの██山に埋没したSCP-1285-JPを発見し、秘密裏に収容を行いました。これに伴い、財団は██寺の調査を行い、以下の文書を発見しました。

日記 201█/█/██

この未曾有の災害に苦しむ衆生に対して私がなせることは一体何であろうか。大勢の死者が弔われることもなく放置されているのみならず、今もなお大勢の衆生が家族を失った悲しみを抱え、定住の地もなく不便で苦しい生活を送っている。旧来の地縁・血縁集団から切り離され、孤独に死すものも多い。そこに御仏の救済の分け入る余地はないものか。
つらつらと考えた結果、私は衆生の魂の救済のため、永遠の瞑想を行う生入定を行わなければならないと決意した。しかし現状では生入定は法律的に禁止されている。警察にも実際に阻止された。協力者が必要だ。
更にいえば、生入定はこれまで成功例が少ない、いや皆無と言ってよい。即身仏の殆どは体が朽ち果て、すでに人の形をわずかに留めるに過ぎない。あのような状態で永遠の瞑想などと呼べるものだろうか。ああ、永遠に朽ちない体で、永遠の瞑想を行いたいが、あまりにもそれは身に過ぎた煩悩なのだろうか?

日記 201█/██/█

社会福祉法人四盤会なる組織からダイレクトメールが届いた。怪しげな提案だが、同時に検討に値する。連絡をとってみよう。

佐伯██氏宛所状(eメールですが、宛先などは省略)

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前略 佐伯██様
この度は我が社会福祉法人四盤会のクリプトビオシスサービスにご興味を持たれたとのこと、恐悦至極に存じます。
クリプトビオシスは属に擬死状態と呼ばれる、代謝などの活動を肉体が停止した状態です。擬死状態になった肉体は肉体としての機能を停止しつつも、条件次第でいつでも蘇られる強靭性を保ちます。佐伯様には、我々のクリプトビオシスサービスを生入定の段階に合わせて提供し、最終的には永遠の瞑想に至っていただけることをお約束致します。衆生救済を行いたいとの佐伯様の志に沿う手段として、これ以上適切なものはないと思います。是非ご利用を検討いただきたく存じ上げる次第です。

社会福祉法人四盤会代表 河埜文彦 拝

佐伯██氏の送信済みメールフォルダに残っていた書状(宛先などは省略)

前略 社会福祉法人四盤会様

拙僧はすでに生入定することを決意しております。あなた方の技術と協力をもって、即身仏となれるのであれば、これに過ぎたことはありません。契約の遂行、よろしくお願いいたします。

佐伯██ 拝

上記文書により、財団はGoI-██(”社会福祉法人四盤会”)がSCP-1285-JPの発生に関与していると断定しました。またGoI-██の代表を名乗る人物をPoI-████(”河埜文彦”)として指定しました。河埜文彦が使用していたメールアドレスはすでに消去されており、メールサービス提供会社に対して問い合わせしたところ、河埜文彦なる人物が契約した記録は存在しませんでした。

上記調査と並行し、財団はSCP-1285-JPの生理学的精密検査を実行しました。以下はその報告です。

SCP-1285-JPの生理学的ステータスについて

SCP-1285-JPは生理学的にはクリプトビオシス状態にありながら、脳波は(脳もミイラになっているのにも関わらず)SCP-1285-JPに使用されたアノマリーによるものと推測される成人の覚醒状態のステータスを保っています。脳波検出器による思考スクリーニングを行った結果、SCP-1285-JPは深い瞑想状態に入っていると考えられます。
なお、対象の異常性である精神影響能力については、ヒューム値の変化、EVE粒子の変動などが見当たらないことから、極めて特殊なものと言わざるを得ません。推測ですが、SCP-1285-JPはその深い瞑想状態により無意識界とされる形而上空間と接続し、他の人間、特に宗派を同じくする真言宗門徒への無意識に影響するという機序で発現しているのではないかと考えられます。この仮説の立証のためには、XACTSによりSCP-1285-JPを我々の宇宙の時空間から切り離した小宇宙に収容することが必要と提言します。

報告者: サイト-8181医療部門責任者 医学博士 天宮律子

上記報告書を受け、現在の収容プロトコルが策定されました。

補遺1: SCP-1285-JPの収容後、東北地方の真言宗門徒の心理状態が有為に悪化しました。SCP-1285-JPによる精神影響によってもたらされていた恩恵が、SCP-1285-JPの収容に用いられたXACTSによって遮断され、取り除かれた結果と推測されます。

補遺2: 202█/█/█、東京都██区██のホスピス[編集済]において「集団変死事件」の急報を受けた財団は、事件現場でSCP-1285-JP類似のオブジェクトを24体発見しました(以下SCP-1285-JP-A-1~24と呼称)。オブジェクトはいずれもホスピスの入所者で、癌の終末期患者でした。現場には社会福祉法人四盤会のパンフレットと契約書類、「永遠の生のために現世を捨てる」という大意の遺書が残されていました。財団はSCP-1285-JP-A1~24を収容するとともに、カバーストーリー「ホスピスでの集団自殺事件」を流布しました。

収容後の精査の結果、SCP-1285-JP-A-1~24の全員が、脳波スクリーニングによると重度の精神錯乱状態に陥っていることが判明しました。クリプトビオシス化による感覚器官の全感覚喪失が原因とみなされています。なお、SCP-1285-JP-A-1~24のクリプトビオシス化解除は、現状で方法が不明のため、無期限に延期されています。

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